【ライヴレポート】umbrellaワンマン
「うちの曲を好きと言ってくれる人た
ちがいるから、ここに立てている」

10月に6枚目のシングル「管」をリリースしたumbrellaが、11月12日(日)高田馬場AREAにて<【Chapter.5「切開」】>と題したワンマン公演を行った。オフィシャルのレポートでその模様をお届けする。
心地好い穏やかな幕開け。やがて悲しみの淵へと導くよう、厳かな音色が波紋を広げて会場中に染み渡りだす。ジワジワと沸き上がる気持ちの昂りを音と唄に乗せ、umbrellaは「管」を唄いだした。想いを忍ばせ揺れる音の波は、ゆっくりとフロアを呑み込んでゆく。荘厳壮麗な音のうねりに呑み込まれながら、しばし夢見心地に酔いしれる。
将(Dr)のカウントを合図に、一気に演奏は躍動。シューゲイズしたギターの音とタイトなビートへ導かれ、観客たちが「ヨルノカーテン」に乗せ一斉に跳ねだした。熱を持った感情を解き放つように歌う唯(Vo)。柊のギターがザクザクとした音を突き付けた。唯の「拳、ください」の言葉を合図に、演奏は「掌ドロップ」へ。ノイジックな音が、唸るグルーヴが、この空間を熱色に染め上げた。唯は沸き上がる感情を、腹の奥底まで響くビートに乗せ突き付けてゆく。「スカイフィッシュ」が、フロア中の人たちの感情へ瞬時に翼を生えさせた。なんて懐の大きな楽曲だ。躍動と興奮、二つの翼をこの唄は授けてゆく。umbrellaは僕らに自由を与えてくれた。広大な荒れ野から吹きすさぶ大地の音が、身体をリズミカルに揺らす。「Frontier」に飛び乗り、雄々しく音の荒野を駆け抜けろ。熱した轟音と化した演奏が、感情を野生へ揺り戻す。そう、もっともっと荒ぶれと。
「umbrellaが誇らしげに思えるライブをみなさんに届けたいと思います」(唯)
蒼白な音を塗り重ねる「ワスレナグサ」の唄と演奏に心は釘付けだ。一緒に切ない色を抜きながらモノクロームな姿へと変えてゆく、その哀しい心模様へ寄り添い続けたい。夜空へ蒼い色を塗り重ねるように、アンニュイな表情の絵筆で奏でた「月」。光を携え、一気に駆けだした演奏。心でハミングするように、「僕達が描いたパノラマ」を彼らと一緒に口づさむ。umbrellaは目の前に広がった音のパノラマへ時間や感情の流れをまぶしながら、胸をギュッと締めつける痛心地好い想いを次々と描き出してゆく。
「9年前くらいに出来た曲です」。壊れそうな心の叫びを憂いた「スロウレイン」は、umbrella誕生以前から大切にしてきた楽曲。悲哀を抱いた三拍子のリズムが、悲しみの涙の滴によって生まれた深淵へ心を導いてゆく。「本当に愛している人を見つけてください」。哀切さを抱きながら弾む音色が、ときめきの影を映してゆく。そして刹那く、美しくも悲哀なラブソング「LoV」へ。ジワジワと胸に染み入るその愛しさを、このまま感じ続けていたい。押しつけな愛情よりも、壊れそうなくらい脆い愛情のほうが、抱きしめたくなるほど愛おしい。
サイコティックなエレクトロシューゲイズナンバー「アンドロイドと果実」が、意識を夢想と現実の中で混濁させる。アバンロックな演奏の上で秘めた情熱をぶつけるように歌う唯、何時しか大勢の人たちが、大きく手を振り音のうねりへ身を寄せていた。意識を震撼する重厚な演奏が炸裂。「Labo」に合わせ、大きく身体を折り畳み、熱狂へ墜ちてゆく観客たち。果ての世界へ意識をトリップさせるヒステリックな音の衝撃が、今宵はたまらない快楽だ。
「暴れるとき暴れたらいいじゃない!」春の重厚なベースの演奏が狂喜への合図だった。猛々しく轟きだした「黒猫が通る」へ飛び乗り、轟音と一緒に熱狂へドライブだ。沸き上がる気持ちのままに騒げばいい。ここは、己を開放してゆく自由区。自分を野生に変えてゆく無法地帯。激しい熱を抱いたまま、演奏はumbrella流EDMダンスロックな「Witch?」へ。サイコパニックな楽曲に触発され、大勢の人たちが踊り狂う。止まることなく跳ねる観客たち、2STEPを踏みながら歌い踊る唯。興奮が凄まじい速度で増殖してゆく。
「唄物だからとか、静かだから盛り上がらないとか無視しませんか?売れるためにとか、そういう奇麗事は通用しない時代なんですよ。いろんな音楽を楽しむためにumbrellaがあるように、幅広いんです。僕、辞める理由がないんで音楽を続けています。好き勝手やってるし、うちの曲を好きと言ってくれる人たちがいるから、ここに立てています。続けるって難しいんですけど、みんなが必要としている音楽が出来ているように、これからも会いに来てください」
掻き鳴らす唯のギターへうねるように絡む春のベース、タイトな将のドラムと歪みを上げた柊のギターが重なり、楽曲は「レクイエム」へ。あの頃の記憶を思い返し確かめるよう、感情のままに唄を放つ唯。物語るように唄うその想いを、ギュッとつかみたい。荘厳に揺れる音の景観の中へ溶け込み、一緒に哀切な想いを抱きしめたい。最後にumbrellaは、ほとばしる情熱を濃縮しぶつけるように「箱庭」を演奏。すべてのわだかまりを吐き出し、彼らと一緒に浄化したい。歪んだ意識さえ、熱した興奮が何もかも燃やし尽くしてゆく。突き上がる無数の拳に感情を乗せながら、彼らは演奏という懐ですべてを呑み込んでいった。
アンコールは、この日に会場無料配布した音源に収録されている「Loop」からスタート。明るいギターロック/ビートナンバーな楽曲なのが嬉しい驚きだ。これまでのダウナーな印象を一気に覆す表情へ、この日は戸惑う人たちも多かったのが正直な反応。とはいえ、とてもノリの良い楽曲だけに、この「Loop」が今後のumbrellaのライブにおいてどんな立ち位置を持った楽曲として成長してゆくのか楽しみだ。
「今回の「管」は、何時死んでも誇りに思えるシングルになったと思っています。TSUTAYA O-WESTを決断したように、決断力って本当に大事なこと。この家族と一緒にTSUTAYA O-WESTへ行って、今日以上の景色を見たいと思います。死に物狂いでumbrellaを加速させていきます」(唯)
そう言うと、最後に「アラン」を投影。タクトを手にした唯の振りに合わせ、会場中の人たちが共に歌いだした。場内から響き渡る観客たちの合唱。その興奮と高揚を後々まで語り継ぐかのように、彼らは「アラン」を通し、その存在を眩しい輝きに変えていった。
umbrellaは、2018年3月14日<傘が生まれた日>にTSUTAYA O-WESTでワンマンを行うことを告げ、この日に向かって進みだした。これからumbrellaが何を仕掛けてゆくのか、今後の活動にも、ぜひ熱い視線を注いでいただきたい。
文:長澤智典

写真:荒川玲子/chi.yow
umbrella ONE-MAN 【Chapter.5 「 切開 」】SETLIST


M1.「管」

M2.ヨルノカーテン

M3.掌ドロップ

M4.スカイフィッシュ

M5.Frontier

M6.ワスレナグサ

M7.「月」

M8.僕達が描いたパノラマ

M9.スロウレイン

M10.LoV

M11.アンドロイドと果実

M12.Labo

M13.黒猫が通る

M14.Witch?

M15.レクイエム

M16.箱庭

-ENCORE-

En1.Loop

En2.アラン

最新情報

umbrella ONE-MAN<Chapter.6 「 傘が生まれた日 」>

2018年3月14日(水)TSUTAYA O-WEST

開場 18:00 開演 18:30 終演予定時間 20:30

チケット料金:前売 4,000円 / 当日 4,500円 (入場時ドリンク代別途)

チケット先行受付:チケットデリ http://ticket.deli-a.jp/

受付期間:11/12(日)21:00〜11/30(木)16:00
umbrella 年末感謝祭acoustic oneman<雨やどり-其ノ2->

12月16日(土)Bigtwin Diner PANHEAD GROOVE

開場 17:00 開演 17:30

前売 3,500円 / 当日 4,000円(入場時ドリンク代別途)

チケット:11月18日(土)〜


6thシングル「管」NOW ON SALE

収録曲:01.管 02.アンドロイドと果実 03.箱庭

DCCNM-008 / 1,500円(税込:1,620円)

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

新着