【インタビュー】Silex「あの初期衝
動が間違いなく詰まっている」

Silexが、1stアルバム『ARISE』を2017年12月20日にリリースする。ライブ会場では先行発売も11月17日よりスタートとなる。
Silexは、2016年にギタリストのMASHAを中心に結成されたメロディック・メタルバンドだ。メジャーバンドで数々の活動歴を持つベーシストのhibiki、日本のTV・CMでの歌唱やナレーションなどタレントとしても活動するカナダ出身ボーカリストのピート・クラッセン、Kelly SIMONZ's BLIND FAITHなどで活躍するドラマーYosukeという布陣による4ピースバンドだ。
これまでシングル2枚と再リリースシングル1枚をリリースしているが、2017年はスチールハート来日公演のサポートアクトに抜擢された事もあり、洋楽ファンからも注目を集めることに成功している。ドラマティックで美しく響く『ARISE』の発売にあたり、MASHA(G)とピート(Vo)に話を聞いた。
──Silexの結成はいつごろですか?
MASHA:僕が大阪で活動していた頃から、当時LIGHT BRINGERだったhibiki(B)と、Kelly SIMONZ's BLIND FAITHで活動していたYosuke(Dr)とは個人的に知り合いだったんです。hibikiには「LIGHT BRINGERに加入しないか?」と真剣に誘われた事もあったのですが、僕もバンドがありましたからその時はお断りしたんです。ある時、hibikiからLIGHT BRINGERの活動を休止する連絡をもらって、同時期に自分もやっていたバンドが解散する事になり、どうせなら一緒にやりたいね、と。Yosukeともそんな話をしていたので、それなら3人でやろうとなったんです。歳も近いし、活動拠点を大阪から東京に移してスタジオに入るようになりました。それが2015年ですね。
ピート:僕と連絡を取ったのはその1年後になりますね。
MASHA:2015年の春から1年くらい地下活動をしていて、友人を介してピート本人から連絡をもらったんです。
ピート:僕のバンドもちょうど解散したばかりの時で、<CLASSIC ROCK JAM>のイベントプロデューサーの方に相談していたんですよ、そしたらMASHAという凄いギタリストがいるよって。
MASHA:連絡が来たときにピートの曲を聴かせてもらって「マルチな才能あるシンガーだな」と思いました。僕も名刺代わりに自分の曲を渡していたんですが、それにピートが歌をつけて返してくれたんです。自分が歌ったらこうなりますよ、と。それがもうドンピシャで即座に決めました。自然なタイミングでしたけど、メタル・シーンに新たな風を吹かせようと結成したのがSilexなんです。
──そもそも皆さんのルーツやヒーローは?
ピート:洋楽だとメガデス、アイアン・メイデン、ジューダス・プリーストを兄の影響でオムツ付けている頃から聴いてました。ヨーロピアン・メタルのプライマル・フィア、ビブリア、ストラトヴァリスあたりのハイトーンなメタルも大好き。でも日本に来た理由は、日本のメタルが好きだったからなんです。アンセム、セックス・マシンガンズ、サーベル・タイガーとかね。
MASHA:僕はオムツの頃ではないんですけど(笑)、2つ上の兄の影響で派手な洋楽を聴くのが好きでしたね。すでにギターも弾いていたのでオジー・オズボーンのランディ・ローズ、そしてイングヴェイ・マルムスティーン、ギターヒーローの居るヘヴィメタルやハードロックが大好きになりました。よくあるギターキッズの流れですね。メンバーとは2000年代頭のソナタ・アークティカやストラトヴァリウスあたりが共通しています。
──1stフルアルバム『ARISE』はどんな作品になりましたか?
MASHA:自分たちがやりたい音楽がそれぞれのバンドキャリアで明確になってきて、技術的にも理想に近づき「じゃあそれを活かせるバンドをやろう」と言うのが最初の目的だったんです。活動を始めて、丸一年かけてバンドで奏でる音を磨いて、ようやく1枚にまとめられた作品が『ARISE』です。
ピート:スタートしたところから1年かけて上昇した意味での『ARISE』なのかなって思ってます。とにかくずっと日本に来たくて、日本のメタル・ミュージシャンと一緒にやりたくて、自分がいる事で洋と和の交わりできたらなと思っていたので、そういう作品になりました。
MASHA:もともと洋楽の影響を凄く受けているので、外国人ボーカリストと作品を作る事も夢でしたから、今の状況はとても幸せですね。メンバー全員が全力で今できる限界に挑戦しましたし、洋楽っぽさも邦楽っぽさも出したかった。
MASHA:ピートは凄く珍しいタイプのボーカリストなんです。メタルってメロディの起伏が激しい事も美しい楽曲を彩る要素だと思うんですけど、彼には音域の制約が全くないんです(笑)。低いところから高いところまで何も心配ない。
ピート:いやいや、大変だよ(笑)。
MASHA:ボーカルに何も制約がないおかげで自由に制作できた。実はリスペクトする偉大な人の要素を1曲1曲に採り入れて表現したんです。例えば『ARISE』はメロディアスでラウドなビート、パッション溢れるギター…これはイングヴェイ・マルムスティーン。
──面白いですね。ライブでもお馴染みな「Metal Nation」は?
MASHA:これはストラトヴァリスにインスパイアされた曲。和洋問わず気に入ってもらえる構成も考えながら作りました。
ピート:ヘヴィメタル好きな人って良い意味で変わってるし、この道を信じられる人だと思うんです。1980年代の盛り上がっていた時代から今はマイノリティになってきたけど、メタルはひとつの文化だと思うんです。国も宗教も問わない共通点があって、この繋がりはひとつのコミュニティであり国家のようなものではないかなという曲です。SNSで音源化しないかな?という声が多かったのも嬉しかった。
MASHA:僕はジーノ・ロートというギタリストが大好きなので、ああいうドラマティックなギターをスピードメタルにしたらどうなるのかな?と思って作ったのが「Everlasting Symphony」と「Cry for You」。
ピート:そういう事なんだ…僕も知らなかったよ(笑)。
MASHA:曲自体にもドラマを作りながらボーカルと一緒にドラマを語るリードギター、という感じですね。それから僕とhibikiはかなりメロハー(メロディアス・ハードロック)が好きなので、僕が曲の方向性を大まかに決めて、そこにhibikiのアイディアを足したらどんなケミストリーが生まれるかを考えたのが「One Evening in Paradise」。ライブでもしっとりせずにジワジワと高揚して行く曲になればいいな。ピートもとても気に入ってくれている曲だよね。
ピート:そうだね、フェア・ウォーニングあたりの影響が入った曲ですね。
MASHA:ワーク・オブ・アートとかも入ってます。
──インスト曲「Forevermore」はイングヴェイのレニングラードの頃な感じですか?
MASHA:ですね(笑)。これは10年くらい前にパソコンを買って自由に曲作りができることが凄く嬉しくて、初めて作ったインスト曲なんですが、今回アルバムにどうしても収録したかったんです。このために10年間ギターを練習してきたと言ってもいいくらい(笑)。兄のキーボーディストYOSISIくんもソロを弾いてもらって参加してますが、兄弟で「ライブ・イン・レニングラード」を観て育ったので。
──なるほど。
MASHA:ベースのhibikiはバランスを取るのが凄くうまいんです。ジャズ・フュージョンまで音楽性も幅広いし、今回の「Somewhere in Between」はhibikiの楽曲なんですが、見事にアルバムにマッチした曲を持ってきてくれました。ピートのシンガーとしての良い部分も活かしてくれましたし。
ピート:普段のハイトーンより低めで優しめの声も試せたので、僕の幅が広がった曲ですね。
MASHA:「Cancion De Amor」はピート加入前に作っていた曲で、当初は日本人ボーカルでやってみようと思っていたのでジャパメタな曲なんですが、ピートが歌って和洋折衷なSilexの良さが出ました。これとマイケル・シェンカーを意識した「Standing on the Grave of Yesterday」はとてもSilexらしい2曲ですね。
ピート:僕らは自分たちが聴きたいと思う曲を作っているんです。
──シングル曲はリレコーディング収録ですね。
MASHA:ライブを重ねるたびにアレンジされていったので、それを今のSilexで表現したものです。
ピート:1年かけて色々と気付く部分もあったりしましたからね。こうしたらもっと上手くできるとか、これの方が面白いというパートとか。
MASHA:hibikiは、ベーシストに止まらないところが好きなんです。僕は彼に単なるベーシストを求めているわけではなくて(笑)トータルで音楽を捉える事ができるって言うのかな…彼が上に上がってくるときは自分はストラトのレンジの広さを利用して楽曲の重みを出せたり…それが好きで彼とやりたかったので、ベースというよりhibikiというパートですね(笑)。ドラムのYosukeはケリー・サイモンさんとずっと演っていたので、メタルだけでなくAORやカントリーなどそこで培われたエッセンスをバンドに与えてくれるんです。彼の音はデカくてメタル向きなんですけど、細かいニュアンスやバンドが要求する事のレスポンスが早いところが魅力です。
──YOSISIはレコーディングもライブも参加していますが、正式メンバーではないのですか?
MASHA:サポートか正式メンバーかの二つの選択肢ではなくて、例えばフェア・ウォーニングもトーステン・リューダーヴァルト(Key)は結成当時から現在も正式メンバーではないんですが家族という感じなんですよ。YOSISIくんも全面的に協力をして貰っている家族という事ですね。
ピート:ライブはほぼ全部いてくれているもんね。
MASHA:ファンの皆さんが「どうしても彼を正式メンバーにしないとダメだ」って事でしたら、検討します(笑)。
──フルアルバムをすぐに作らなかったのは理由があるのですか?
MASHA:結成当初からアルバムは1年後に作ろうと念頭に置いていたんです。楽曲をバンドの中で育てたかったから。でも1年間、何もリリースしないよりは途中経過でも作品に残したかったので、シングルをリリースしていました。
ピート:僕たちが成長して行く様も聴いてもらいたいなと。
MASHA:日本の普通のやり方とは違うかもしれないですが、ピートの外国人エッセンスもあってね。
──ツアーも目前ですが、リハーサルは順調ですか?
MASHA:ライブで披露していない曲にも手応えあって順調です。ライブを観たことのある方も初めての方も、満足してもらえるような内容になっていると思います。
ピート:いつもライブに来てくれたり、フォローしてくれるファンのみんながいなかったらアルバムは作れなかったんじゃないかな。サポートにとても感謝です。みんなで楽しもう。
MASHA:ヘヴィメタルを聴き始めた頃のドキドキした感じが、今、自分たちの中にあるんです。皆も感じたことのあるあの初期衝動が間違いなく詰まっているので、ぜひアルバムを聴いて下さい。そしてライブ会場でお会いしましょう。
取材・文 Sweeet Rock / Aki
Silex『ARISE』


2017年11月17日(ライブ会場先行)発売

2017年12月20日(全国流通)発売

SLCD-0004 3,240円

1.A Thousand Miles(Intro)

2.Arise

3.Metal Nation

4.Everlasting Symphony *

5.One Evening In Paradise

6.Forevermore(Instrumental)

7.Somewhere In Between

8.Cancion De Amor *

9.Cry For You *

10.Cry For The Moon *

11.Standing On The Grave of Yesterday *

* 再レコーディング、リミックスバージョン

<Silexライブ>

11/17 大阪・梅田 SEVENTH

11/18 大阪・心斎橋 BigTwin Diner SHOVEL

11/19 愛知・名古屋栄 R.A.D

11/23 東京・渋谷 RUIDO K2

12/9 福岡・INSA(インザ)

12/10 広島・SUMATRA TIGER(スマトラタイガー)

12/22 東京・四谷 GROTTO

[問]Silex Website: http://www.silex-japan.com/

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