【インタビュー】<RED BULL MUSIC
FESTIVAL TOKYO 2017>スピンオフ、
Nulbarich「僕らは人間味あるバンド
だと思いますよ」

11月4日(土)に東京・ベルサール渋谷ガーデンにて開催されたライブイベント<SOUND JUNCTION 渋谷音楽交差点>。こちらはレッドブルによる音楽フェス<RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017>のプログラムの一環として開催されたもの。この<SOUND JUNCTION>にて、KICK THE CAN CREW水曜日のカンパネラ中田ヤスタカらに混じって、唯一バンドセットを繰り広げたのが、シンガーソングライターのJQがプロデュースするバンド、Nulbarichだ。BARKSでは今回特別に<SOUND JUNCTION>終了後のJQをとらえ、話を聞かせてもらった。
■僕たちが唯一その場でできること

■“ライブ感”は意識したかも
──今回、<SOUND JUNCTION>出演アーティストの中では唯一のバンドセットかつ、フレッシュな存在でしたね。
JQ 一緒に出演させていただいた3組のアーティストさんは僕らとはレベルが違うし、四方向からフロアに向けたライブということで、どういうふうに挑もうかは事前に考えましたね。だけど僕たちは唯一のバンドですし、メンバーとは気合をいれて一生懸命やろう、それだけでした。だけど本当に楽しかったです。
──唯一のバンドセットということで、セットリストなど気を使った部分はありましたか?
JQ セットリストはある程度決めた状態で、曲間や音源通りじゃない、生でしかできないアレンジだったり……僕たちが唯一その場でできることは“ライブ感”なので、そこは意識したかもしれない。
──水曜日のカンパネラ、KICK THE CAN CREWと、最初の2組の流れからバンドセットということで、フロアは大移動というより徐々に演奏につられて、自然の流れでステージ前へ集まってきたという印象がありました。
JQ 演奏時間は30分ですし、演奏できる曲数は限られています。それに他のアーティストのみなさんは、お客さんたちがほぼ知っている曲でした。どうしようかなとも思いましたが、ライブで魅せて少しずつお客さんの気持ちを掴んでいくしかない。ステージから後ろの方で手を挙げている人が見えたんですけど、そのときに自分の中でバイブスあがりましたね。いいライブができたと思います。
──ところで加山雄三さんとのセッションはいかがでいたか?
JQ マジで怖かったです(笑)。
──一緒に歌うのかなと期待もしていました(笑)。
JQ 今回の<SOUND JUNCTION>は音が交差して行きかう場所なので、急遽演奏させていただける機会をいただけることになったので、「やるぞ!」という感じでした。会場がめちゃめちゃ湧いていましたね。あのセッションからのカバーは、かなりのプレッシャーでした(笑)。加山雄三さん本人の登場後のカバーですから、難しかったですよね。だけど、本当に楽しかった。
──小泉今日子さんの「あなたに会えてよかった」はポップな曲なので、Nulbarichがカバーする曲としては意外な印象でした。
JQ 単純に好きなんですよね。いわゆるフル日本語。歌詞カードを見てみるとカタカナで“サヨナラ”がある程度……ってサヨナラ日本語やしね(笑)。カタカナ英語もひとつも入っていない曲を歌うのは初めてなので、Nulbarichの新たな一面が観せられたのかなと思いました。
──昨年、今年と活動の幅が広がり続けて、数多くのお客さんがNulbarichの音楽を知り、メンバーの顔も知られてきました。特に夏は何本もの大きなフェスにも出演しましたが、変化やなにがしか感触を得たと感じた瞬間はありしたか?
JQ 僕たちはビジュアルをはじめ、表に出していないものがまだ多くて、音楽そしてライブでしか勝負ができない。だからライブでハマってくれないと、どうしようもないんです。基本的には僕たちにはライブにしか入り口はなくて、ライブを重ねて入り口を広げて、ライブでそれを締める。それをやり続けられなければ先はないと思うんです。
「出来あがらない(完成しきらない)こと」が、僕らのスタイル。だから今年得た経験があったから、次はこうしようというよりも、常に進化を求めて塗り替え続けることで、聴いてくれる人たちにサプライズをしていくことが、自分たちのスタイルであって、唯一飽きられない方法なのかなと……今年のフェスでは自信を得る経験も少しありましたし。
それと、今日のように同じステージに立つアーティストが、今より来年はもっと、とんでもない方々になっていって、そうなったときに、僕ららしいスタイルの在り方を持っていないといけないなとも感じます。
■コアにとどまらないで

■可能性を感じていたいなと思い続けたい
──数多くの媒体で取り上げられ、今年はリリースやタイアップなどもありましたが、バンドとして心境や心持が切り替わる瞬間はありましたか?
JQ 常に全力で素振りをしているようなもので、当たったときは当たるんですけど(笑)。僕たちはバントなしのグループなので、みんなフルスイングだから、当たったときの感触は身に染みて分かりますね。
──それは大きなフェスへの出演を重ねてですか、それともリリースやタイアップなどから感じるものですか?
JQ フェスを重ねて、打率は上がったというのは自分の中にはあります。ラジオやCMで曲を聴いて知ってもらったというのもありましたけど、その答え合わせも結局はライブなんです。そう考えてみると、ホームランを打った感覚がフェスでも何回かあったので、自信に繋がりました。
──11月2日から、初となるワンマン<Nulbarich 1st ONE MAN TOUR “Change The Track”>がスタートしましたが、チケットはすぐソールドアウト。感触はいかがでしょう?
JQ まず、地方に僕たちのファンがいるという感覚が全くなかったですし……今回が初ツアーなので、とても大切です。「絶対に来てくれた方をガッカリさせないこと」、これはバンドメンバーみんなとも話しています。
ワンマンのチケットは半年前にはソールドアウトしていて、お客さんはそのチケットを握りしめて半年待っているわけじゃないですか? そう考えたら、普通のライブはできない。多分握りしめて、チケットがシワシワになっていると思うんですよ(笑)。そんなお客さんお熱に助けられたし、来てくれたお客さんがステージに向けて熱を送ってくれたので、とても嬉しかったですね。
──ツアー初日公演のことをお伺いしてもいいですか?
JQ なんだかあっという間だったなって……いろいろな想定をしてライブに挑んだんですけど、何ひとつ思い通りにはいかない。お客さんの熱量にバイブスを持っていかれて、言いたかったことじゃないことを言ったり……やっぱり、ライブはライブ。生のディスカッションなんですよね。フェスだと限られた時間の中で、お客さんとの距離感を確かめつつ、最後に持ってくるイメージがあるけど、ワンマンは最初から「ドン!」ときたんです。
──Nulbarichを求めて、チケットしわしわにしてワンマンライブを待ちわびていた方たちですし。
JQ オムニバスでは感じられない、「ああ、こういうことなのか」という部分もあります。ワンマンってハードルが高いので、もうちょっと絞めていかないといけないかな(笑)。
──ファンにとっては、ワンマンに行くことで、やっとNulbarichのパーソナルな部分に少しでも触れられる場所ができたと思います。これまで出さなかった部分をワンマンではどこまで出すのか? そういった線引きはあるものですか。
JQ その部分はまったく重要だと思っていなくて、マイナスにならなかったらいいかなと思うくらいです。それよりも、なにがベストなのか。こうやって「何者?」となったのも、キャラクター(ナルバリくん)のお陰だったりもするので、また次に何かを考えなくちゃいけない。だけど、このキャラクターも当初は想定外だったので、その部分にビジョンは立てず、流れがきたら考えます。
──ワンマンのMCは、フェスとはまた違ったものになりますよね。そんな姿をワクワクしながら、待っていたファンも少なくないと思います。
JQ 普通にしゃべりましたね。待っていてくれた、みんなの熱に喋らされている感覚で……「あ、俺ってこんなこと言っちゃうんだな」とか。熱いこと言ったりしましたね。こんな仮面バンドが、熱いこというんだって(笑)。僕の感覚では、最初の方はクールにやろうと思っていたんですけど、序盤から感極まって「ありがとう!」って言ったり。僕らは人間味あるバンドだと思いますよ。
──今年はリリース、今回の<SOUND JUNCTION>含め大きなフェスへの出演、初めてのワンマンツアーなど濃密な1年になったと感じますが、現時点での今年の総括と来年に見据えていることはありますか?
JQ 来年のために今年動いていたし、来年は再来年のために動く。常にアップグレードして、常にあがっていく。僕らはポップロックバンドと言われていて、常にポピュラーミュージックであるべきだと思うので、コアにとどまらないで可能性を感じていたいなと思い続けたい。なので、もっと広く、かつ自分たちをブレさせない。単純にもっとデカくなりたいですね。このまま、この好きな音楽で自分たちを大きくしていく、それが来年の目標です。そしてオリンピックが待っている2020年には野望もたくさんあります。それでも着実に、今年経験したことにしっかり感謝しつつも、当たり前にしていかないといけない。常に次に行かないと、今年与えてもらったチャンスに申し訳なくなる。みなさんからいただいた期待を来年しっかりと返す、そしてその繰り返しを続けていきます。
文:小間正也

写真:Keisuke Kato/Red Bull Content Pool
2nd EP「Long Long Time Ago」


2017年12月6日(水)リリース

NCS-10174 1,200円+税

<収録曲>

In Your Pocketほか

※その他の収録内容及び作品情報の詳細は近日公開予定

<レッドブル・ミュージック・フェステ
ィバル東京2017>

2017年10月22日(日)〜11月17日(金)

会場:都内各所(渋谷・恵比寿・六本木など)

チケット:https://eplus.jp/ath/word/114863

オフィシャルサイト:http://tokyo.redbullmusicfestival.com #redbullmusic

主催:レッドブル・ミュージック・フェスティバル実行委員会

後援:一般財団法人渋谷区観光協会

*未就学児は入場不可。一部イベントは20歳未満入場不可

*実施内容は予告なく変更となる場合がございます

*会場内での出演者及びライブの撮影・録音・録画等は禁止いたします

*客席を含む、会場内のオフィシャル映像及び写真は公開されることがあります

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