【八王子天狗祭クイックレポ】忘れら
んねえよ 思いっきりハチャメチャな
ライブが胸を打つ理由

八王子天狗祭【天狗ステージ】 忘れらんねえよ
「サンキュー、セックスー!」と土曜の真っ昼間から大声を張り上げる柴田隆浩(Vo/G)は、リハから絶好調。四星球の次という誰もが嫌がりそうな出順も、彼らには関係ないようだ。
いったん袖に引っ込んでからの出囃子は、[Alexandros]「ワタリドリ」。他人の名曲でひとしきり盛り上がったあとは、コールアンドレスポンスでグッドモーニングアメリカ・たなしんの本名を叫び合い、よくわからない勢いでオープニングナンバー「スマートなんかなりたくない」へと突入。「お前ら自由に飛び跳ねられますか!」と観客を煽り、演奏を止めたら死ぬ呪文がかけられているかの如く、慌ただしく次の曲へと移る。このハチャメチャな性急さがいい。
忘れらんねえよ

忘れらんねえよ

菅田将暉です!」という柴田の自己紹介、それに続く「グッドモーニングアメリカのフェスですよ! 何が起こるかわからないですよ! 米津玄師が出てくるかもしれないじゃーん!」としつこく菅田になりきったMCも訳が分からない。そんな柴田の様子を次の曲タイトルがよく表していた。「ばかばっか」。歌詞の内容からはズレるが、“同じバカなら踊らにゃ損”とばかりにロックンロールする4人の勢いにあてられ、フロアの熱もグッとあがる。間奏では、肩車をされたたなしんが突如フロアに現れ、柴田もすかさずクラウドサーフでフロアへ突入。そして、「1、2、3、ファイヤー」と雄叫びを上げたあと、再びクラウドサーフでステージへと戻っていった。モッシュダイブは禁止されているフェスなのに、出演者自ら禁を破るスタイル、嫌いじゃない。
忘れらんねえよ

忘れらんねえよ

この文章だけを読むとさぞめちゃくちゃなライブをやってるんだろうと思うかもしれないが、実はそんなこと全くない。梅津拓也の存在感のあるベースを中心に、演奏は重心低くどっしりとしているし、柴田のボーカルも非常に安定していて、どんなにふざけたことをやっても、どんなにふざけたことを言っても、忘れらんねえよの歌を、想いを届けるという一番大切なことは絶対に忘れていない。彼らの突拍子もない行動に驚いたり笑ったりしながらも気付けば感動してしまう理由は、そんなバンドの姿勢にあるのだ。柴田の提案で観客がスマホのライトを一斉に掲げるなか届けられたロックバラード「忘れらんねえよ」を聴きながら、ふとそんなことを思った。ステージとフロアが一体となったシンガロングが美しかった。

取材・文=阿刀“DA”大志 撮影=安藤 みゆ(@ad_miyu)
セットリスト
八王子天狗祭【天狗ステージ】 忘れらんねえよ
1. スマートなんかなりたくない
2. 体内ラブ ~大腸と小腸の恋~
3. ばかばっか
4. ばかもののすべて
5. いいひとどまり
6. 忘れらんねえよ

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