【レポート】<RED BULL MUSIC FEST
IVAL TOKYO 2017>、<SOUND JUNCTI
ON>は4つの異なるアーティストが四
方からフロアを囲む新たなスタイルの
音楽イベント

<RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017>(以下、RBMF2017)は10月22日から約1ヵ月、日本の音楽に“翼をさずける”べく、都内各所で音を軸とした多面的なアプローチでイベント開催をしている新たなスタイルのフェスティバルだ。今回は開催イベントの中で、ライブ色が強い<SOUND JUNCTION 渋谷音楽交差点>の模様をお伝えしよう。
東京・ベルサール渋谷ガーデンで開催された<SOUND JUNCTION>は、人気や実力は言わずもがな、各々が強い個性と独特なスタイルを持つ、KICK THE CAN CREW水曜日のカンパネラ中田ヤスタカNulbarichの4組が出演し、第一部でオリジナルの楽曲を、第二部ではアーティストの個性をそのままに日本音楽のカバーを披露する、二部構成になっている。フロアには観客を囲むように四方にステージが設置され、開演までは“誰が、何処から、どのように登場するのか”、まったく分からない。観客はフロアを見まわし、場所取りへ動き、「どこから始まるの?」といった、話し声がそこかしこから聞こえた。さらに、天井に設置された12基のLEDディスプレイが演出への想像を掻き立て、期待をあおる。
しかし、開演を迎えたフロアは意外にも落ち着いており、参加者は初体験を自然体で受け止めているように感じた。オープニングのSEが流れ、ライティングとLEDディスプレイの演出が、目と耳にヒントをあたえ、最初のステージへ誘いだす。すると、球体状のものが膨らみ、1組目のアーティスト、水曜日のカンパネラ=コムアイが登場。おそらく多くのイベントでアーティスト登場の瞬間は、会場が沸き立つ場面だと感じるが、大きな拍手も歓声もない。盛り上がっていないのではなく、物語を紡ぐような演出の導線が、無意識のうちにフロア全体が水曜日のカンパネラの世界観へと、自然に引き込んでくれたのかもしれない。
(c)Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool
「バク」の前にステージを遮る幕が表れ、フロア前方から中央へと広がっていく。この様を眺めていると、幕の先端にいるのは、なんと、コムアイ。ステージからフロアまで降り、観客に大接近する大胆さと、自由にくり広げられるパフォーマンスにより、会場の熱が上がっていく。
1組目とは思えないほどに、最高の状態で終えた水曜のカンパネラへのパフォーマンスへと大きな拍手と歓声が送られたが、間髪入れずに真反対のステージに2組目のKICK THE CAN CREWが登場する。20周年再始動時に発表した「千%」でパフォーマンスをスタートし、フロア内で観客が大移動した。<SOUND JUNCTION>が打ち出す、斬新な演出に会場全体がハマっている。KREVA、MCU、LITTLEの3MCがマイクでフロアをあおり、観客はハンズアップ。余談だが、おそらくメンバー3人の衣装は”Red bull”にちなんで、赤で統一されていたようだ。
(c)Yasuharu Sasaki/Red Bull Content Pool
3組目は、今回出演したアーティスト唯一のバンドセットのNulbarich。ノンストップで続いた2組とはことなり、生演奏である。次はどのような交差が行われるのか。この時点で、すでに<SOUND JUNCTION>の見どころのひとつとなっていたが、Nulbarichは落ち着いたイントロからバンドサウンドを組み立てる。メンバーはフロアと音で掛け合いをしながら、リズムを刻み、メロディラインを作り、フロアと音楽を作る。これがバンドセットの魅力だ。徐々にフロアの観客を移動させ「Spread Butter On My Bread」のころにはフロアの音楽交差を遂行し、4組目の中田ヤスタカへとバトンを繋いだ。
(c)Keisuke Kato/Red Bull Content Pool
第一部ラストの中田ヤスタカがDJを始めると、またたく間に会場をダンスフロアへ様変わりさせたが、ハンズアップに手拍子と会場をしっかりとアジテーションし、プレイにシンクロする天井のLEDディスプレイの演出も相まって、3アーティストがつなげた高揚感を崩すことなく、よりいっそう観客を勢いづけ楽しませた。
(c)Suguru Saito/Red Bull Content Pool
第二部への切り替えは、昔話の語り部のように日本音楽の素晴らしさを伝えるアナウンスから始まった。第一部との区別をここでハッキリと示したが、決してクールダウンしたわけではない。どこのステージ側でもなく、上層から聞こえる語り部は会場全体に反響し、耳からではなく、直接体に入ってくるよう。
そしてまた、どこから誰が。観客たちは四方を見渡し期待とともに待つ。すると水曜日のカンパネラ、コムアイが加山雄三「海 その愛」をアカペラでカバーしながら現れ、LEDディスプレイには「海よ俺の海よ」と、ポップな書体で歌詞がループされた。第一部と違った雰囲気ではあるが、今回も自然な演出から水曜日のカンパネラの世界観へ導かれる。
(c)Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool
曲の間奏が訪れると、突然コムアイが「スペシャルゲストを呼んでいます!」と、加山雄三本人をステージへと呼び込み、会場がざわめいた。しかし、そのざわめきもふたりが歌い始めると、大きな歓声へと移り変わった。歌いあげ、つないだ手を高く掲げ挙げて礼をし、コムアイはステージからおりたが、加山雄三はそのままステージにとどまり、赤いエレキギターを手にとる。
(c)Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool
(c)Keisuke Kato/Red Bull Content Pool
弦を弾き、ギターの音色がフロアにひろがると、隣のステージへとスポットがあたりNulbarichが登場。そのまま加山雄三の「Black Sand Beach」をセッション。加山雄三はセッションを終えると大歓声に送られながらステージからおりたが、Nulbarichはノンストップで小泉今日子「あなたに会えてよかった」をカバーを披露した。胸が締め付けられるような日本語歌詞をオリジナリティあふれる表現方法で歌い上げた。演奏が終わると、間を置かずに、中田ヤスタカだ。自身がプロデュースする、きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」のマッシュアップで、観客を沸かす。
(c)Yasuharu Sasaki/Red Bull Content Pool
そして、<SOUND JUNCTION>のトリとなるKICK THE CAN CREWが登場し、「クリスマス・イブRap」を披露。クリスマス時期になれば誰しもが耳にするほど、時代などKICK THE CANじない、山下達郎の「クリスマス・イブ」をサンプリングした名曲で、会場にひと足早いクリスマス・プレゼントを届けてくれた。
(c)Suguru Saito/Red Bull Content Pool
<SOUND JUNCTION>が提案した「ジャンルの異なる」「4アーティストが」「4つのステージで」「観客を囲む」新たなスタイルのイベントは、アーティスト、観客。会場へと集ったすべての人の初体験となった。4アーティストそれぞれのファンに向けて、フロアを中心に観客を囲む4つのステージから繰り広げられるパフォーマンスと演出が交差し、世代やジャンルのギャップを埋め、“客層”という概念を越えていたように見えた。終焉後の混雑したエントランスにて、「初回(初開催)に来て良かった。伝説を観に来た感覚」という声が聞こえたが、近くでその言葉を聴いた人たちだけでなく、参加した多くのひとがこの言葉を共感できるイベントになった。
取材・文:小間正也
<SOUND JUNCTION 渋谷音楽交差点>


日程:2017年11月4日(土)

日程:開場16:00/開演17:00

場所:ベルサール渋谷ガーデン(渋谷)

料金:5,000円

チケット購入:http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002238982P0030001

出演:KICK THE CAN CREW, 水曜日のカンパネラ, 中田ヤスタカ, Nulbarich

オフィシャルサイト:https://www.redbull.com/jp-ja/sound-junction

<レッドブル・ミュージック・フェステ
ィバル東京2017>

2017年10月22日(日)~11月17日(金)

会場:都内各所(渋谷・恵比寿・六本木など)

チケット:https://eplus.jp/ath/word/114863

オフィシャルサイト:http://tokyo.redbullmusicfestival.com #redbullmusic

主催:レッドブル・ミュージック・フェスティバル実行委員会

後援:一般財団法人渋谷区観光協会

*未就学児は入場不可。一部イベントは20歳未満入場不可

*実施内容は予告なく変更となる場合がございます

*会場内での出演者及びライブの撮影・録音・録画等は禁止いたします

*客席を含む、会場内のオフィシャル映像及び写真は公開されることがあります

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