感覚ピエロのO・P・P・A・Iは嫌われるためのラブソング?

感覚ピエロのO・P・P・A・Iは嫌われるためのラブソング?

感覚ピエロのO・P・P・A・Iは嫌われ
るためのラブソング?

『O・P・P・A・I』とは隠語でもメタファーでもなく、まさにあのOPPAIのことだ。このタイトルだけで、聴くことをやめる人もいるかもしれない。
しかし『O・P・P・A・I』は真っ当で純粋なラブソングであり、ノリもいいため女性にもオススメだ。しかし、この「女性にオススメのラブソング」という点に、感覚ピエロの落とし穴がある。

感覚ピエロのO・P・P・A・I

やはり「女性にオススメ」という紹介の仕方は詐欺かもしれない。歌いだしからサビにかけて、「OPPAI」大連呼である。歌詞を全て読んだ人なら、この楽曲が「純粋なラブソング」という点にはうなずいていただけるはずだ。
「OPPAI」にホンロウされつつも、それすら含めて君が好きだ!と力いっぱい叫んでいる。欲望と感覚を素直すぎる歌詞にすることで、純粋さが生まれているのだ。
しかし、いくら君が好きだ!と叫んでも、実際に使っている単語は「OPPAI」だ。もしこの楽曲を好きな女性の前でカラオケしたらどうなるか。結果は目に見えている。
感覚ピエロの純粋さは、純粋すぎるがゆえに、女性に嫌われてしまう危うさを秘めているのだ。実際に歌ったり、演奏することで、意中の女性に嫌われてしまう……。それでも「OPPAI」と君が大好きだ!と感覚ピエロは声をはりあげる。まさに「ピエロ」のアンバランスさそのものだ。
サーカスなど職業としての実際のピエロは、笑い顔でコミカルな演技をし、泣き顔で笑われることの悲哀を演じ、さらに笑われる。「OPPAI」を連呼する歌詞はコミカルで笑いをさそうが、滑稽さのために嫌われて、その様すら笑いに転換してしまう。
このアンバランスさを否定するか、愛しく思うかが、『O・P・P・A・I』を読み解くための鍵となる。
語学の限界に挑んだ歌詞

発音は同じでも、ローマ字で「OPPAI」は許されるが、ひらがなは伏せ字にされる。語学の限界に挑んだ勇気ある歌詞だと思う。
「君のボディで」と書くことで、ただの「OPPAI」ではなく「君の」OPPAIだからイイ!と歌詞の主人公は主張している。やはり純粋すぎるラブソングだ。加えてここではヘンタイ性も垣間見える。
感覚ピエロが生み出す新たな「ゆれ」

ここではOPPAIが物理的に「ゆれる」ことと君に精神的に「ゆれる」ことがかかっている。純粋さの中に垣間見える、コミカルな遊び心がある。
しかしここではピエロのような悲哀から誘う笑いは感じ取れない。コミカルでありつつ、やや切羽詰まった切ない衝動が、「君」に本気だと思わせる。
「そうでしょ?」という歌詞は、同志である男性諸氏に問いかけるようでもあり、女性である「君」に向かって、君も俺のことで壊れそうでしょ?と確認しているようでもある。虚栄心で隠した自信のなさがうかがえる。
感覚ピエロの純粋さは、滑稽なラブソングを生み出し、本気のラブソングも生み出した。ひねくれた彼らの衝動が、私たちの日常に新たな「ゆれ」を引き起こしてくれるだろう。

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