【AK-69 ライヴレポート】
『DAWN in BUDOKAN』
2017年10月18日 at 日本武道館

 AK-69が10月18日に日本武道館公演を開催した。AK-69にとって武道館は、2014年3月5日以来、約3年半振り通算2度目。前回はあえてひとりで挑んだ武道館だったが、今回は多数の豪華フィーチャリングアーティストを迎えての公演となった。

 巨大なLEDビジョンに映像が流れ、超満員の観客が沸き立つ中、心音からパワフルなビートが刻まれる「Dawn」でライヴはスタート。周囲をダンサーが踊り、まばゆいライティングに照らされたAK-69は渾身の力でラップしていく。一気に観客を自分の世界観に引き込んでいくパワーは、百戦錬磨のAK-69ならではだ。

 ここからは、CITY-ACE、HIDE春との「Flying Lady」、NORIKIYOとの「ロッカールーム」と、AK-69とつながりのあるアーティストが続々登場。「Click da trigger」では、名古屋でAK-69がラッパーになるきっかけとなったG.CUEをフィーチャー。AK-69の盟友で、今は亡きTOKONA-Xと「WHO ARE U ?」で映像とラップで共演し、「ビートモクソモネェカラキキナ 2016 REMIX」では、Zeebraも加わってのパフォーマンスを繰り広げた。

 まさに、今回の武道館ライヴは、AK-69の歴史が楽曲を通じて体感できるものとなっていた。名古屋と川崎のストリートで生き抜いてきたリアルさを、2WINのT-PablowとYZERRとともに「Streets」でラップする。一転して「A Hundred Bottles」では“倶楽部日本武道館”のネオンサインの下、足元にシャンパンボトルが並ぶ中で、DJ TY-KOH、KOWICHI、SOCKSとパーティを繰り広げる。
メロウナンバーを聴かせるタームでは、清木場俊介をフィーチャーして「Rainy days」を歌唱。さらにバラード「With You ~10年、20年経っても~」をドロップ。清木場のヴォーカルとAK-69のラップが絶妙に絡み合い、観客の心をグッと掴んでいった。

 そして、“ロック代表、来たぜ!”の声とともにUVERworldが登場すると、グルーブ感あふれる「Forever Young」を披露。TAKUYA∞は“お前らの本気見せてくれ!”と観客を煽り、AK-69に負けない熱さで会場を盛り上げる。また、AK-69は人生で経験してきたことを楽曲に落とし込んできたわけだが、彼はここで昨年末に亡くなった父に捧げるナンバー「Stronger」を歌唱。父から学んだものをストレートにラップする姿に、観客の感情も大きく揺さぶられた。

 ライヴ後半戦に入ると、AK-69はChe'Nelleをステージに招き入れ、新曲「I Still Shine」を披露。さまざまな出来事が起こる日常でも、折れない心を持って前に進んでいくという力強いメッセージを、AK-69のラップとChe'Nelleの伸びやかなボーカルで武道館に響かせた。続けて、DORBERMAN INFINITYをフィーチャーした「Shatter」をエナジーたっぷりにパフォーマンス。躍動感あふれるステージに、観客の熱量もますますヒートアップ! 会場のテンションをさらに高めるように、AK-69は般若とともに「もう1ミリ」をパワフルにラップ。熱い両者のバチバチの戦いを見せたあとは、エレクトロニックのビートが炸裂する「KINGPIN」をドロップ。ライヴ本編のラストナンバーの前にAK-69は、ラッパーとしてステージに立つ思いの丈を語るーー。

 “俺は名古屋のただのゴロツキでした。でも、ヒップホップに救われ、いろんなものをもらって、俺を変えてもらいました。なんでこうなれたのか、答えはひとつです。俺は自分を信じたからです。俺は口だけの男になりたくないんです。自分がなりたい自分に死んでもなる。自分の夢に向かって走り続けて、もう21年が経ちました。俺には特別な才能なんてなかった。いや、ひとつだけ才能があったかもしれん。それは、誰よりも努力をすること。誰よりも夢について考え続け、そして夢を強く強く胸に抱いてきました。みんな、この音楽の力を忘れないでくれ。俺が身をもって発してるメッセージをみんな誇りに思ってくれ。そして、自分と重ねてくれ。お前らも頑張ってるんだろう? 負けそうになるんだろう? でも、いいじゃねえか。死ぬ気で頑張ってる、才能なんてない男がここにいるんだ。俺らはまだ絶対戦えるはず。絶対諦めるんじゃねぇ。俺はみんなに武道館の最後に伝えたいんだ。絶対負けないでくれ。絶対負けいないでいこう。そう、このメッセージこそがオレの音楽。そう、これがAK-69のヒップホップ!”


 熱い言葉を発し、AK-69は戦い続ける姿勢を歌った「Flying B」を渾身の力で披露。武道館に強烈な一体感を作り上げライヴ本編を締め括った。そして、観客からの鳴り止まないアンコールに応えて、再びステージに姿を現すと「THE RED MAGIC」を投下。赤いライティングと炎が立ち込める中、ブチ上がりチューンで会場のボルテージをレッドゾーンに振り切ると、ビジョンに“DAWN”を意味する夜明けの映像が映されライヴはフィニッシュとなった。

 たくさんのゲストをフィーチャーしながらも単にオムニバスショーにするのではなく、あくまでライヴの主軸にあるのは、AK-69の生き様やメッセージが詰まった音楽。それを最高のショーとして昇華し、観客の心を鼓舞していくさまはまさに圧巻。AK-69は彼にしかできない彼流のヒップホップで、2度目の武道館を凌駕の渦に巻き込むことに見事成功した。

取材:土屋恵介


セットリスト

  1. 1. Dawn
  2. 2. Flying Lady feat. CITY-ACE, HIDE春
  3. 3. ロッカールーム -Go Hard or Go Home- REMIX feat. NORIKIYO
  4. 4. IRON HORSE -No Mark-
  5. 5. Click da trigger / G.CUE(Phobia Of Thug)
  6. 6. WHO ARE U? feat. TOKONA-X / DJ RYOW
  7. 7. ビートモクソモネェカラキキナ 2016 REMIX feat. Zeebra & AK-69 / DJ RYOW
  8. 8. We Don’t Stop
  9. 9. Streets feat. 2WIN (T-Pablow & YZERR)
  10. 10. Hangover
  11. 11. CHAMPAGNE BOYZ
  12. 12. A Hundred Bottles REMIX feat. DJ TY-KOH, KOWICHI & SOCKS
  13. 13. Rainy days feat. 清木場俊介
  14. 14. With You 〜10年、20年経っても〜 feat. 清木場俊介
  15. 15. Baby
  16. 16. IT'S OK
  17. 17. Forever Young feat. UVERworld
  18. 18. Stronger
  19. 19. 上ヲ向イテ
  20. 20. START IT AGAIN
  21. 21. I Still Shine feat. Che'Nelle
  22. 22. Shatter / DORBERMAN INFINITY × AK-69
  23. 23. もう1ミリ feat. 般若
  24. 24. KINGPIN
  25. 25. Flying B
  26. <ENCORE>
  27. THE RED MAGIC
AK-69 プロフィール

エーケーシックスティーナイン:唯一無二のラップと歌の二刀流の先駆者としてアーティスト活動をスタート。マスメディアに一切見向きもされない名古屋時代に全国のクラブで年間180本のライブをこなし、ライブを見たファンの評価のみでインディーズながらアルバム2作でゴールドディスク、オリコンDVDチャート1位を獲得。その後、渡米しニューヨークのNo.1 HIP HOPラジオ局と名高い“HOT97”に日本人として初のインタビューを受け、同局主催イベントへのライブにも出演。そして、アメリカの伝説的なHIP HOPレーベル「Def Jam Recordings」との契約を果たすまでに至った。己の生き様から生まれる“言霊”が男女問わず競争社会で戦っているトップアスリートや経営者にも共感を生み、高級自動車メーカー、高級時計ブランド、スポーツチームなどさまざまな企業のアンバサダーも務めている。AK-69 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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