DEZERT/(撮影・さわきみのり)

DEZERT/(撮影・さわきみのり)

【V系】「生きてるか? 俺もだよ!」ホ
ールが揺れた、DEZERT中野サンプラザ
ワンマンレポート【写真満載】

10月8日に東京・中野サンプラザホールにて行われた「DEZERT LIVE TOUR “千秋を救うツアー 2”」ファイナル公演のもようを写真満載でレポートします。

DEZERTが10月8日、東京・中野サンプラザホールにて「DEZERT LIVE TOUR “千秋を救うツアー 2”」ファイナル公演を行った。なお彼らにとっては本公演が初ホールワンマンとなる。
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年明けから30箇所以上をまわるロングツアー「千秋を救うツアー」、続いて夏から「千秋を救うツアー2」を敢行、ひとつの節目であろう本公演には多くの人が足を運んでいた。心なしか以前より客層の世代が広がっている印象がある。
15年、16年にはMUCC・ミヤ主催の「COMMUNE」に、昨年は「VISUAL JAPAN SUMMIT」に出演し、今年はMUCCやD’ERLANGERのトリビュートアルバムへの参加、そして上の世代のバンドも招いた主催フェス「This Is The "FACT"」など活動の幅を広げていることも良い効果を生んでいるのだろうか。
本サイト最初のインタビューで”無理なキャパあげはしたくない”と公言していたDEZERT。あれから3年、”バンドの身の丈”がこの規模のホールライブになったということだ。
開演前のBGMはいつもどおりビートルズの『イエスタディ』、ステージは大掛かりなセットやスクリーンもないシンプルなもので、それは今のバンドの自信をあらわしているかのように見えた。
開演予定時間を約15分ほど過ぎた頃、客電が落ちる。どこか居心地の悪い奇妙なサウンドが鳴り響き、まだ薄暗いステージに、SORA(Dr)、この夏SaZから改名したSacchan(B)、Miyako(G)、そしてギターを抱えた千秋(Vo)があらわれた。
1曲目は『おはよう』。逆光の中、じりじりと真綿で締められるようなサウンドがフロアに充満していく。「何もない未来より、何かある今日を! 何もできない未来より、何かできる今日を!」と千秋が吠え、『幸福のメロディー 』へ。フロアはヘッドバンギングで埋め尽くされる。
『幸福のメロディー 』は10月25日にリリースされる”新曲”、このツアーで初披露となった曲だ。Xヶ月リリースも珍しくないハイペースなシーンの中で(たぶんこれはヴィジュアル系シーンに限ったことでなく)、リリースや楽曲の発表が近年のアーティストの中では少ないDEZERT。続いての『MONSTER』、『Sister』は4,5年前のものだが、演奏する曲は同じでも”代わり映えのないライブ”とは無縁で、過去の曲たちもツアーを重ねるごとに磨き上がっていくようだ。また、ライブが始まってすぐに「激しいのにうるさくない」音作りだということに気がついた。
千秋の挑発で、中野サンプラザが揺れる
椅子から立ち上がりスティックを振り上げるSORA、中指をたてるMiyako、ステージ前方まで駆け寄るSacchan、物々しい雰囲気の中『大塚ヘッドロック』がスタート。椅子ありの会場でもかまうことなく左右に揺れるオーディエンスたち。
「いま地球上に生きてる全生物にささげます……このラブソングを!」という千秋の壮大な前フリから始まったのは『「殺意」』。待ってましたといわんばかりにヘドバンが始まる。『「ここにラブソングを」 』ではストロボ照明によるメンバーのシルエットがステージに刻まれる演出が印象的であった。
暗転するステージ、Miyakoの爪弾くギターからストレートなロックチューン『「軽蔑」』に入る。曲世界の青さ、痛みを象徴するようなブルーのライトがステージを染め上げる。さきほどのストロボもしかり、この日のライティングは”光の演出”と呼べるような繊細で美しいものだったということはここに記しておきたい。
『「問題作」 』では千秋が「全部が狂っている。って気がついた」と歌いながら怪しげに手招きし、「今日が夢でも」と、歌詞の最後のフレーズをうわ言のように繰り返す中、『「誤解」』へ流れ込む。「違う、それじゃない 僕が欲しいのはそれじゃない」と歌い上げ、そんな己に対して自問自答するように叫ぶ「じゃあどれだ!」。DEZERTの持つ陰鬱な精神世界が投影されたダウナーな『「宗教」』、『「排泄物」』を淡々と繰り出し、このセクションはまるでひとつの演劇のようでもあり、見入るしかなかった。
楽器隊が不穏なサウンドを奏でる中、、左右に別れるオーディエンスたち。それを確認するかのようにフロアを眺め、「僕たちも含め、大人たちはルールなんてクソくらえと言うけれど、ルールは大事です。ルールなんてないというけれど、大事です。たとえば、君たちはココ(ステージ)に来ちゃいけないとか。ココに来ちゃいけないとか」大事なことは2回言う千秋。「危ないことをしよう! 全責任は主催のホットスタッフがとる! 蹴散らそうか! 何を? なんでもいいさ!」と宣言。
『包丁の正しい使い方~終息編~』のイントロが流れる中、「さあどうする?」とオーディエンスを挑発する。前方の警備スタッフの持つ黄色と黒のロープがぴんと張り詰める。指定席を無視してWoDが発生し、会場をぐわんぐわん揺らす。
「さあ、洗脳の時間です!」と「洗脳」コールから始まった『「教育」 』、『「秘密」 』の曲間では「『千秋を救うツアー』のテーマは……地面より下へ、今の場所より下へ……下へ……! もっと! 下へ! 下へ!」と千秋が叫び、ヘドバンで埋め尽くされてさながら地獄の底のようだ。『「君の子宮を触る」 』と畳み掛けていき、きわめつけは本編ラストの『「変態」 』だ。
オーディエンスが手拍子する中、「ホールっていいねえ…って全然思いません! 我慢できないんだ! 来い! 誰か来る『変態』はいねえか! 乗り越えてこい!」とフロアにむかって叫ぶ。「責任はホットスタッフがとる!」2回目だぞそれ。ひとり、またひとりステージに詰めかけ、フロア前方はオールスタンディングと化し、警備スタッフ、そして本来は警備しない方のスタッフも警戒体制に入る。オーディエンスは「ただし飛ぶなよ!」という千秋の言葉も無視して中野サンプラザ(※築40年以上)を揺らす。
「口に出せばいい ほらやりたいようにやって死ねばいい 本来そういうもの」
歌詞のとおりの光景が目に焼き付く。全てをやりきったようにはけていく千秋。スティックを高く投げるSORA、ギターを掲げるMiyako、ひょうひょうとステージをあとにするSacchan。そんな四者四様の佇まいがまたDEZERTのおもしろいところ。
「5文字だけ言わせてください」
そしてアンコールにこたえて再びステージに登場。「座ってアンコールしやがって」と千秋が毒づく。
そしてこの日配布されたバラード『「おやすみ」』を披露。ミラーボールが会場全体を照らす中、包容力すら感じさせるようなバラードを説得力を持って届けることのできるバンドになるとは……。
「5文字だけ言わせてください、よくぞきた」と千秋。拍手で応えるオーディエンス。「2017年……千秋を救うツアー、2月から始まって今日でファイナルなんですけど。寂しいねえ”ファイナル”って。楽屋でずっと寂しいって言ってて、いてもたってもいられんかった」と語る。”かわいい!”という声に対して「ハァ?」と反応。
しばらくとりとめない話をしたあとに「ファイナルってやなんで、どっかでライブをやると思うんでね。死なずに、生きていればまた会えると思います。どうも、DEZERTでした」という言葉に、会場は拍手に包まれた。
千秋いわく、DEZERTはあることに悟ったという。
「バンドに限らず、ステージに立つ人は「人を増やしたい」って思うのね。特典つけてみたり、タダにしてみたり、安くしてみたり。なんで人いっぱいでライブしないといけないんだろう。俺ら池袋ブラックホールから始まって、まあまあ狭い箱で、ここはまあまあ広いじゃん? 今日ライブしてて、広いからって何も思わないわけよ、僕はね。ってなったときに、狭いところでライブしたいし、なんばハッチやここでもライブしたいと思ったり……。僕は何を言ってるんだろう。……だからもうどこでもよくて、どうでもよくて、何が言いたいかというと、ライブを楽しもう。僕らは僕らのリズムでやっていくので、皆さんもよかったら時々そのリズムにのっていってください。そしたらまた出会えることでしょう」
“リズム”にちなんでか、ここぞとばかりにドラミングを始めるSORA、続いてMiyakoがギターを奏で始める。そしてSacchanが演歌調のメロディーでオチをつけると「そうやってまた人に媚びる」と千秋。最終的に全員でステージでジャンプするという一幕も。
「もう少し、遊んで帰りましょうか」と『肋骨少女』を歌い上げ、『脳みそくん』でフロアを再燃させる。
『「遺書。」』では「言い訳を積み重ねて生きてきました、それもいいけどね」と「後ろ」にはSORA、そして「左右」にはMiyakoとScchanがいると語り、「言い訳ばっかの僕ですけど、もう言い訳なんて、しません。するならライブハウスでしよう。ついて来れるか? 俺について来れるかお前らもだぞ!」そして千秋はこう続ける。
「君たちのことは別に誇りだとは思ってないけど、俺たちが出会った中で一番変わった人たちだと思っています。だってこんなバンド好きだもんね。”普通”じゃないまま、死んでいこうな?」呼応するようにヘドバンでこたえるオーディエンス。
「ひとつになれるか! 全部おいてけよクソ野郎ども!」と始まった『 「切断」』 は、これまで聴いたどの『 「切断」』 よりも強い意思を感じた。
意味を探す夜なんて 僕はもう…
「最後に、このツアーで、確信できたことがあります。それは僕の生きる理由でもあるけど、この僕の手がどこまで届くどうか、誰に触れるかどうか。ただそれだけを、求めて、生きていきたいと思います。だからもし……、積み上げてきたものが崩れ去ったら、僕らと君と遊びませんか? またその時が来るように。ラスト! 大きさじゃなくて、場所ではなくて! このきたねえ声がどこまで届くかどうか! 僕それが一番大事なんです」
そう叫んだあと、ギターを掻き鳴らす千秋にスポットライトが当たる。始まったのはもちろん『「ピクトグラムさん」』だ。ライブ中に「出口なんて無い、出口は死だから」とも言ってた千秋、だからこそ「非常口でいい」と歌うのだろう。
4人は逆光に照らされて表情は見えない。ひとつのバンド、というか、生き物のような塊のようにも見える。
「生きてるか? 俺も生きてるよ。普通じゃない人、これからもどんどん嫌われていきましょう。そして自分を好きになりましょう」
アウトロでドラム台に駆け上がり、ギターを放り投げステージから走り去るようにして消えていった千秋。それに続くMiyako、Sacchan、ドラムのヘッドをフロアに向かって投げ、「またね、ありがとう」という言葉を残して去っていったSORA。
過去に何度も「意味はない」と発言していたDEZERT。この日、『「ピクトグラムさん」』で千秋はこう歌った。
「意味を探す夜なんて 僕はもう怖くない」
前向きともとれる変化を感じることのできるライブだった。結局彼は、彼らは救われたのか? 答えは今後の彼ら(バンドだけではなくオーディエンスもふくめて)が教えてくれるだろう。大事なことは会場の大小ではなく、もちろんメジャーやインディーズという流通の問題でもないだろう。どこかの誰かへ、4人の音がさらに届きますように。っていうか、届くよ。
セットリストSE
1.おはよう
2.幸福のメロディー
3.MONSTER
4.Sister
5.大塚ヘッドロック
6.「殺意」
7.「ここにラブソングを」
8.「軽蔑」
9.「問題作」
10.「誤解」
11.「宗教」
12.「排泄物」
13.包丁の正しい使い方~終息編~
14.「教育」
15.「秘密」
16.「君の子宮を触る」
17.「変態」
アンコール
1.「おやすみ」
2.肋骨少女
3.脳みそくん
4.「遺書。」
5.「切断」
6.「ピクトグラムさん」
スケジュール■シングル「撲殺ヒーロー」
2017年10月25日(水)発売
【初回限定盤】SFG-006 1,500円(税抜)
1.幸福のメロディー
2.ヘドロママ
3.「Hello」
4.「遭難」-piano ver-
【通常盤】SFG-007 1,200円(税抜)
1.幸福のメロディー
2.ヘドロママ
3.「Hello」
※収録曲のタイトルに変更がありました
■<毎年恒例!年末特番〜くるくるまわる〜今年は四回転!>
2017年12月16日(土) 広島 BACK BEAT
2017年12月18日(月) 大阪 umeda TRAD
2017年12月20日(水) 名古屋 SPADE BOX
2017年12月26日(火) 渋谷 CLUB QUATTRO
全公演 開場17:30 開演18:00
▼チケット
前売4,000円(税込) 当日4,500円(税込)
オールスタンディング・入場時ドリンク代別途必要
一般発売日:11月18日(土)
【オフィシャルHP先行(イープラス抽選受付)】(PC・携帯・スマホ)
受付期間:10/14(土)12:00~10/31(火)21:00
結果確認期間:11/3(金・祝)13:00~11/9(木)18:00
入金期間:11/3(金・祝)13:00~11/10(金)21:00
※枚数制限:お1人様4枚まで
■イベント
・『えん7』&『20TH ANNIVERSARY MUCC祭「えん7 FINAL」in 武道館』
●2017年12月3日(日)
なんばHatch
開場16:00 開演 17:00
【出演】
MUCC / MERRY / DEZERT / cali≠gari NEW!
【チケット料金】
前売券 6,920円 [ムック20th](税込・ドリンク代別)
※1Fスタンディング・2F指定席
※未就学児童入場不可
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
●2017年12月27日(水)
日本武道館
開場 12:00 開演 13:00
【出演】
MUCC / シド / GRANRODEO / THE BACK HORN / DEZERT / sukekiyo NEW! / lynch. NEW!
...and more
【チケット料金】
アリーナスタンディング前売券¥8,920(税込・クロークサービス付)
指定席前売券 6,920円(税込)
※未就学児童入場不可
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
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・Ains PRESENTS DEZERT VS グリーヴァ 2MAN 「死×闘-FINAL-」
2017年12月10日(日)
高田馬場AREA
開場 17:00 開演 STRAT 17:30
前売 3,800円 当日 4,300円(ドリンク代別)
【出演】
グリーヴァ
DEZERT (順不同)
【プレイガイド詳細】
イープラス(PC・携帯・スマホ)
2017年10月21日(土)10時よりチケット発売
購入制限 お一人様1IDにつき2枚まで
入場順 イープラス→当日券
※バンド予約なし
主催/企画/制作:Ains/MadWink.
お問い合わせ:高田馬場AREA(TEL:03-3361-1069)

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