【連載】Vol.028「Mike's Boogie St
ation=音楽にいつも感謝!=」

巨大野外公園で8万人が大熱狂!ストーンズNo Filter欧州ツアー初日ドイツ・ハンブルク公演を詳細リポート!! 前編(PT 1)
世界最強ロックンロール・バンド、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、チャーリー・ワッツ、ロニー・ウッド。ローリング・ストーンズの2017年のツアーが9月9日キック・オフ。ヨーロッパ公演No Filter。初演地はドイツのハンブルク。公式発表があった5月9日、初日参戦を即断。同国はUrban Jungle時にハノーヴァー、フランクフルトで計3回ストーンズを味わって以来、27年ぶりだ。今回はユーロに両替してのフライトとなった。Voodoo LoungeBridges To Babylon、A Bigger Bang、そしてZip Codeに続いてのツアー最初のコンサートだ(Desert Tripは除く)。
9月7日ハンブルク空港着。着陸時、横に座っていた友人がベロ・マーク入りプライベート・ジェットを発見、教えてくださった。シャッター切れなかったのが残念。イミグレ済ませてタクシー乗り場に向かう途中、ベロ・マーク・ビルボードに遭遇。雑誌「DER SPIEGEL Biografie THE ROLLING STONES」の広告、その近くにブック・ショップ。ドイツでのグループもしくはメンバーが表紙を飾った雑誌はベルリン在住のストーンズ研究家として世界的に知られるThe Complete Works Website主宰のNico Zentgrafに郵送してもらっているけど、今回はもちろん自分でゲット。タクシーでホテルに向かう途中、右手にコンサート会場、広大なStadtparkが見える。
翌8日ティケットなどをピック・アップ。某ホテルのバーで昼間、世界のストーンズ・フリークが毎日のようにチェックしているファン・サイトiorr主宰のBjornulf Vic(ノルウェー)とセイ・ハロー。そのすぐ後、偶然にも先月末にBlue Note TOKYOやCOTTON CLUBでいろんな話をしたベースのダリル・ジョーンズと再会。夜は同所でサックスのティム・リース、コーラスのバナード・ファーラーらともヤァヤァヤァ…。チャーリー・ワッツのお孫さんの日本通、シャーロットとも少しお話を…。ホテルのラウンジは深夜まで大賑わいで、ちょっとした前夜祭のよう。
▲w/ Bjornulf
▲w/Darryl
▲w/Tim


9月9日夕方、前日から断続的に降り続けていた雨が止んだ。開場は午後2時だけど、今回は年齢も考えて、アリーナ最前ノー・フィルター・ピット・スタンディングでの突進は躊躇。指定席をチョイスしたところ、幸運にもBステージ最前列を手配して頂いた。ということでゆっくり会場Stadtpark Festwieseへ地下鉄で向かう。とにかく肌寒い。日本の初冬、しっかり厚着し念のため雨合羽(日本製FOUR FLICKSヴァージョン)を持参。公園口には手荷物預かり所。そこから会場エントランスまで泥んこ道を歩く、歩く。先日のテロの影響で入場時はいつも以上にチェックが厳しい。何てことはないビニール袋もサイズ制限で捨てる破目になったり。やっと18時過ぎに場内へ、とにかく広い広い。収容は82000という事前インフォだったが、84000、100000という報道もあった。1年前のDesert Tripの雰囲気を彷彿とさせる。あの時はステージ横の駐車場に車を横付けにしてこんなに歩かなかったが(汗)。
会場内はベロ・マークをあしらった看板を掲げた屋台が沢山、世界各国の屋台料理が提供されている。ビールカップもストーンズ・ツアー特別仕様だ。さながら一日限りのストーンズ・フェスといったところ。グッズ売り場も日本ほど混んではいないが黒山の人だかり。その向こうに大きくそびえ立つ4つの縦長の巨大スクリーンにコンセプトのベロ・マークが映し出されている。そんなストーンズ祭りの状況を横目で見つつ、バックステージのゲートへ向かいストーンズのVIPラウンジにチェックイン。
午後8時までTHE RSVIP LOUNGEでワインを楽しみながらライティング・デザインのパトリック・ウッドロフやサックスのカール・デンソン、ティム・リース、Bjornulf、そしてドイツ人の友人らとコンサートへの期待などをワイワイガヤガヤ…。ということでオープニング・アクトのカレオのライヴは…、すいません。

ストーンズの欧州初日公演を存分に楽しむため、英気を養っちゃいました。
▲w/Patrick
▲w/Karl


席に着くとWOW!花道から続くBステージ正面からほんの少しロニー寄りの指定席最前列は、メイン・ステージとスクリーンの両方を堪能できる席だ。ファン注目のノー・フィルター・ピットは、中央の花道の両側に東京ドームのアリーナAブロックそれぞれワン・ブロック分程度のスタンディング・スペース。8万人という巨大キャパでほんの数百人がライヴ・ハウスさながらステージにかぶりつきで見られる。そのすぐ後ろが今回の自分の指定席だ。コンサート開始のムードが高まると、花道の周りに続々と重鎮スタッフやフォトグラファーがやってくる。その中の一人、毎回のステージを撮り続けてもう何年になるだろう、カメラを構えるキースのマネージャー、ジェーン・ローズ女史とコンニチワ。
*尚、登場楽曲関連の差しこみ写真はシングル・レコード、LP、CDなどの様々なヴァージョンで遊ばせていただいた。From Mike’s Collection

*ミックのドイツ語MCの部分はNicoにお手伝いいただいた。
午後8時32分場内暗転、それまでのBGMを遮るように「悪魔を憐れむ歌」イントロ。まさかのオープニング・チューンで一瞬テーマかと思ってしまう。トップは「悪魔~」、理解するまで数秒かかった。
ステージが真っ赤に染まる中、コーラス、そしてミックのオフマイクの叫びが聴こえ、歌詞導入部、ハンブルク・ライヴはスタートしたのだ。たっぷりのスモークと火炎噴き出すホットなステージで歌い出すミックの姿がステージ後方の4面スクリーンに映し出される。早くも大スペクタルな雰囲気に。キースはしっかり寒さ対策コスチューム、少し下手側(客席から見てステージ左側)へ。健康状態が心配されたロニーが元気に、ぐっと下手へとムーヴしながらの素晴らしい演奏ぶり。パッチをふんだんにあしらったレザー・ジャケット。そして、いつものTシャツではなくこの日はホワイト・シャツをお洒落に着込んだチャーリー、ドラミングがこの楽曲のパーカッシヴな展開をしっかり引っ張る。バナードのコンガもムードをより高める。いきなりクライマックスな「悪魔~」ということもあっていつも以上にリズムを感じるストーンズ・ライヴだ。
ミックの吐く息も白い、ちょっぴり風邪気味とも感じてしまったけど気のせいかな…。でも1曲目後の“Thank you”を叫ぶミックの声&仕草は元気そのものだ。2曲目は「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」。公式クレジットはされていないけど、そうロニー・ウッド作品。笑顔を浮かべるチャーリーのよりタイトなドラムの中でミックは前へ、上手(客席から見てステージ右側)へと動きまわり、水を口にし、パワフルにシャウト。ミックとのお決まりのコール&レスポンス、そして手拍子もヒ―ト・アップ。
ミックがドイツ語で挨拶。

"Moin Hamburg" ハロー ハンブルク

"Guten Abend Deutschland" コンバンワ ドイツ
そして「ダイスをころがせ」、ストーンズ・グルーヴをダイレクトに感じる名作だ。バナード&サーシャ・アレンのコーラスがソウルフルなムードを高める。花道前へ。エンディングのギター音色が新鮮?!
ミック、ペットボトル持ちながらまたまたドイツ語MC。

"Es ist grossartig nach 10 Jahren wieder in Hamburg zu spielen"  10年ぶりにハンブルクで演奏出来て興奮してるゼ

"Hier im wunderbaren Stadtpark"  素敵なこのStadtpark

"Ich hoffe, dass Ihr euch besser als die Pink Floyd-Fans benehmt"

皆がピンク・フロイドのファン達よりクールにふるまってくれることを願っているよ

(観客から大きな笑い声…)

*Stadtparkでの80年代後半のピンク・フロイドのコンサートで多くの人々がフェンスを乗り越えて会場に乱入しタダ聴きした。情報提供:Nico
そしてミック曲目紹介で「アウト・オブ・コントロール」。彼の大フェイヴァリット・ソングだ。キーボードのチャック・リヴェールの“1-2-3-4”合図でコーラス・パートからしっとりと入っていく。静と動をコンバインさせたヴァリエーションにとんだエキサイティングなナンバー。煌びやかな照明がそんな雰囲気をぐっと高める。ミックのブルース・ハープも見事。ここでも花道を前へ、そして下手へも。ロニーの元気度の高さがここでの演奏でもしっかり伝わってくるのだ。コーラスにはベースのダリルもジョインして重厚感を増す。
アルバム『ブルー&ロンサム』から2曲というミックのMCで、ステージがしっかりブルーな雰囲気になってまずは「ジャスト・ユア・フール」。リトル・ウォルターの60年レコーディング作品。原作もブルース・ハープがたっぷり聴けるがミックもアルバム同様しっかりとハープを堪能させてくれたのだ。ブルースを歌うミック、ブルースを弾くキースからストーンズ・ブルース・カバー&原曲を一生懸命に聴き比べていた中高生時代、60年代中期の頃を思い出す。
そしてブルースをもう一曲。昨年のDesert Tripでいち早く紹介してくれた「ライド・エム・オン・ダウン」。エディ・テイラーの55年作品。シカゴ・ブルースの魅力をダイレクトに伝える。ミックの大好きなスタイルのブルース。62年にアレクシス・コーナーのブルース・インコーポレイテッドのゲスト・ヴォーカルとしてステージに立った際に、既にこの楽曲を歌っていた。また、同年7月12日ロンドン・マーキー・クラブでのストーンズ・ファースト・ギグでのセットリストにも加えられていた。花道を進んでいく。ミックの”ロニー”の掛け声で彼のギターがぐっとフィーチャーされる。20ウン年前のロニー画伯絵画展ツアーでMCとして一緒に日本各地をまわった際の毎夜毎夜の酒席での話題はブルースだった。LPハンティングもした。そんな昔話を思い出してしまった。後半でのミックのブルース・ハープが再びブローウィングなのだ。曲後キース&ロニーが肩を組むシーンにも熱いものを感じた。
日本からのファンが何人会場にいらっしゃったかは分らないけど、そんなジャパニーズ・ストーンズ・フリークにとって特にインパクトのあったのが、“オープニング・アクトを務めてくれたカレオありがとう。スロー・ロマンティック・バラード、大昔の曲”とミックがMCして始まった「プレイ・ウィズ・ファイア」。キース&ロニーは椅子に腰かけてのアコギ。64年からストーンズを追っかけている爺はここでも涙ポロリ。ミックの歌いっぷりがあの当時のままなのだ。89年Steel Wheelsツアー登場楽曲で、クレムスン・ライヴ・ヴァージョンはオフィシャル化している。そして涙ポロリにはもうひとつ理由がある。90年2月の初来日公演中2度このナンバーが登場しているのだ。そして、この日がストーンズにとっても27年ぶりの演奏だった。スクリーン映像もぐっとサイケデリック・ムードでシックスティーズなのだ。
「ライター)、イアン・スチュワート(キーボード)、ディック・テイラー(ベー

そしてマット・クリフォードのホルンで入っていくこれまた60年代楽曲&ストーンズ・スタンダード「無情の世界」(良い邦題でしょう…)。今回のステージでは、30年近くミックと親密な付き合いのあるマットがキーボード&パーカッションでも大いに頑張っていたのが印象的。ミックのアコギが加わってスタートするドラマティックな構成のナンバーだ。♪You Can’t Always Get What You Want~♪観客も大合唱。花道をどんどんと進みBステへ。一瞬ミックと視線があい、にこっとしてくれたような?!横の友人も確認してくれたので多分…。ミックにはインタビューしたこともある一応プロなんだけれど、ストーンズだけはやっぱりファン意識が先行してしまう。一昨年サンディエゴ公演翌日に某ホテルのバーでミックにセイ・ハローされた時同様ドキドキしてしまった。
そして9曲目は僕自身ライヴで味わうのは初めての「ダンシング・ウィズ・ミスター・D」!73年8月リリースされたアルバム『山羊の頭のスープ』A面1曲目。同アルバムからのUSセカンド・シングル「ドゥー・ドゥー・ドゥー…(ハートブレイカー)」のB面ソングでもある。僕が初めてストーンズ生体験をした73年1月ハワイ公演時はまだ『山羊~』登場前。同年9月からのヨーロッパ・ツアーで頻繁にセトリに加えられ、前半は「無情の世界」の後に登場。ミックはそんなことを思い出しながら今回の曲順を決めたのかもしれない。ストーンズにとって44年ぶりの演奏だ。キース&ロニーが向かいあってのギターにも感激。そんな中、“ガンバ”と言わんばかりのミックが優しくロニーの髪をなでるシーンにまたまた熱いものを感じたのだ。このNo Filterでのハイライトになるだろう。ダルな演奏ぶり、70年代の名曲をあの時代をダイレクトに感じさせる。時代を反映するようなグラムな雰囲気満杯懐かしPVを久しぶりに楽しみたくなってしまった。

https://www.youtube.com/watch?v=9hw1SKn5eFM
ミックが水を口にして今度は10曲目。スクリーンに4曲のタイトルが映し出される。「オール・ダウン・ザ・ライン」「アンダー・マイ・サム」「エモーショナル・レスキュー」「シーズ・ソー・コールド」。
"Deutschland ihr steht vor einer großen Wahl"

ドイツは大きな選挙の直前だね

"Welcher soll unser nächster Song sein?"  どのナンバーが相応しいかな?

*ドイツでは9月24日に連邦議会選(総選挙)が実施される。アンゲラ・メルケル首相はドイツ国民からアンジーというニックネームでも親しまれている。ミックはそのあたりのことを暗示していたのかもしれない。でもストーンズが「アンジー」を演奏しなかったことは良かった。もし演奏していれば翌日の新聞、

タブロイド紙は“Stones play Angie for Merkel”と書きたてていただろう。(Nico)



4曲の中から「アンダー~」が選ばれる。ステージに登場するのは久しぶり、06年11月22日LA公演以来11年ぶりだ。ミックは手拍子で観客を煽る。シンプルなはこびだけど凄くロックする。ミックは花道をぐっと前進、またまたBステへ…。
そしてキースのギター、チャーリーのドラムスで始まる「黒くぬれ!」。ミックが手拍子とりながらシャウト。もちろん4面スクリーンを含めステージ全体はブラックな世界。ミックのジャケットも黒なのだ。ミックはBステに。ところでBステ・センターにマイク・スタンドがスタンバイされると次は来るぞ、という合図だけど、この日はオープニング寸前まで雨模様だったということもありは花道&Bステのフロアーが湿っぽい。ミックが前進する前には女性も交えた4人のスタッフがしっかり雑巾がけなのだ。ごくろうさま。
そして「ホンキー・トンク・ウィメン」。ストーンズ・ライヴのスタンダード。観客も大合唱。キースのギターに酔いしれてしまう。コーラスふたりの歌いっぷりにミック満足。チャックのホンキー・トンク・ピアノもぐっとダウン・トゥ・アースな雰囲気でステージを大きく盛り上げる。ミックはBステからメイン・ステージへスキップで戻る、その軽やかなこと!
ここでバンド・イントロダクション。

*バナード・ファーラー

*サーシャ・アレン

*ティム・リース

*カール・デンソン

*マット・クリフォード

*ダリル・ジョーンズ

*チャク・リ(ミックの発音はラに近かった)ヴェール

*ロニー・ウッド  観客の拍手は一番大きかった

*チャーリー・ワッツ 寒いのか両手をポケットに入れてステージ前に登場

*キース・リチャーズ
(続く)
☆☆☆

【舞台インフォメーション】

ピストンズ#7『JOE MEEK』
英国初の独立系プロデューサーであり、米国で初のナンバー・ワンとなった英国産ポップ「テルスター」を生み出した鬼才、ジョー・ミーク。“音の魔術師”としての才能を世に轟かせた彼だったが、自身が内包するオカルト嗜好、激しい性格、そして同性愛者としての苦悩が破滅へと向かわせていく。そして1967年2月3日、ついに自宅スタジオで自身に銃口を向ける…。「創造」と「狂気」が交錯する『実話』をピストンズが舞台化したのが2014年、その衝撃作がさらにパワーアップして遂に再演決定!

英国ポップ・ファン必見の舞台、お見逃しなく。
ピストンズ#7『JOE MEEK』

脚本:広瀬正人 演出:小林涼太

2017年10月18日(水)~10月23日(月)

会場:花まる学習会王子小劇場

当日・前売り: 3500円

U-25割: 3000円

平日マチネ割: 2500円

高校生: 1000円

https://stage.corich.jp/stage/84845

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