僕らとULTRA JAPAN。ダンスミュージ
ックの祭典は、今。

ダンス・ミュージックの未来があった、
『ULTRA JAPAN 2017』

終幕して早くも1ヶ月が経過しようとしている『ULTRA JAPAN 2017』。今年は同フェスがマイアミから日本へやって来て4年目にあたります。2日目が台風の影響で荒天となりましたが、開催3日間で12万人の動員を記録。今年、過去最高の動員を記録したフジロックと同程度の規模です。順風満帆に思われたULTRA JAPANですが、その驚異的な成長速度ゆえ苦労するところはありました(これは日本に限らず、ULTRA周辺のカルチャー全般に言えることでしょう)。
アメリカ本国も含めて、今年は新しい動きがありました。それはLIVE STAGEの新設。このステージには初日にポーター・ロビンソン、2日目にKOHHやSALU、最終日にはペンデュラムとアンダーワールドが出演。ヒップホップやロックにも通じるラインナップは、ダンス・ミュージックの定義を拡張するかのようですね。この並びだけ見てもULTRAが新しいフェーズに入ったことは明らかでしょう。
『ULTRA JAPAN 2017』、LIVE STAGEの様子。アーティストとの距離が近い。

ミーティアは最終日の9月18日にお邪魔しましたが、やはり例年に比べて多様性があったように思います。筆者はULTRA JAPANが始まって以来毎年欠かさず行ってますけれども、個人的には今年が一番楽しかったです。

本稿ではその多様性を明らかにすべく、ライブレポとオーディエンスをデフォルメしたイラストでもってビジュアライズしてみました。文字通り「描いた」次第です。(「平均値は大体ここだろう」という曖昧なイメージをもとにしているので、十全に満たすものではありません)

トレンドセッターとしての中田ヤスタカ

過去のアルバムも素晴らしいけれども、「そのとき出す音楽が一番面白いアーティスト」というのが存在します。マーク・ロンソンやレディオヘッドがそれにあたるでしょう。日本のダンス・ミュージックシーンにおいては、中田ヤスタカがその典型です。Perfumeの『If you wanna』によって「フューチャー・ベース」という呼称をメインストリームに持ち出し、ソロ活動においても『White Cube』をリリースするなど、今の彼は完全にこの路線を突き進んでいます。
中田ヤスタカ – 『White Cube』

要するに、時代を反映するような音作りをするわけです。そしてそれはDJセットでも同じこと。王道のバウンス系にトラップ、さらにはJ-POPまでをもリアルタイムなダンス・ミュージックに昇華するセンスは流石の一言です。きゃりーぱみゅぱみゅの『ファッション・モンスター』とWAVEDASHの『Bang』のマッシュアップには面喰いました。

もちろん『If you wanna』や『white Cube』もプレイされましたが、驚くべきは違和感の無さ。海外アーティストのトラックとミックスされてもすんなり入ってくるのです。日本語を普遍的なダンス・ミュージックに落とし込んだという点では、極めて稀な例でしょう。その意味でも、中田ヤスタカがトレンドセッターたり得る理由としては十分だと思います。大げさな言い方でなく、またひとつ日本のダンス・ミュージックが先へ進みました。

オーディエンス・カラー ~中田ヤスタ
カ編~

SNS以降の世代は、簡単な英語さえ話せれば容易に世界と繋がれることを知っています。特にサブカルにおいてはYouTubeやSoundcloudなど、気軽にコミュニケーションできるチャンネルも豊富にある。中田ヤスタカやウエノアリサが国内外で活躍する様子を横目に、海外への憧れを切々と募らせているのでした。

『ULTRA JAPAN 2017』最大のサプライズ
、Rezz降臨

まず、Rezz(レズ)をメインステージに置いたULTRA JAPANの懐の深さを称賛したいです。彼女の登場も、シーンの変容を裏付ける材料のひとつですね。日本ではBPM127前後のバウンス系トラックがいまだ根強い人気を誇るわけですが、Rezzの音楽はテンポが遅くベースが強め。ULTRAのイメージにおいては異端児と言ってよいと思います。『Purple Gusher』や『Relax』など、怪しくうごめくようなトラックが特徴です。
REZZ – 『Relax』

もう一度言いますが、このサウンドがメインステージで鳴っていたわけです。プリティ・ライツの『I Know The Truth』などもプレイし、ひたすら会場をダークな色に染め上げておりました。そしてファンの間ではすっかりお馴染みとなった特製のLEDメガネと、独特な手の動き。まだ彼女は22歳ですが、既に世界観は完成されてますね。

流石はmau5trap(カナダのプロデューサー、デッドマウス主宰のインディーレーベル)。一筋縄ではいかぬアーティストを輩出しております。余談ですが、こんなに攻撃的な音を鳴らすRezz、その素顔は相当な美貌です。

オーディエンス・カラー ~Rezz編~

最近ではライブを生配信してくれるフェスが増えていますね。そのおかげで会場に行かずともアーティストのパフォーマンスをリアルタイムで楽しむことができるようになってきました。ULTRAではUMF TVがその役割を担っています。動画横にはコメント欄もあって、視聴者は自由に発言できるのですが、ここにはやたら熱の入ったコメントを残す人が一定数現れます。Rezzの音楽を語りたくてしょうがない人は、得てしてこのタイプ(自分含む)かと。ギークにさせてくれる音楽って、やっぱり良い。それに付き合ってくれる人も好き。

僕らとULTRA JAPAN。ダンスミュージックの祭典は、今。はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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