【カルト歌謡カルタ】「ハダカの歌」
フランク永井

いつまでも人々の心の片隅に残り続ける珍曲や迷曲たち。売れることを考えて作られたとは思えない破天荒な作品に、その時代の心の豊かさと歌謡界の度量の大きさを感じる。いまこそ、その真髄を継承すべく、魔法のカルタで拡散!

「ハダカの歌」

1962年発表 歌/フランク永井 作詞/さとうよしみ 作曲・編曲/服部公一

フランク永井の代表曲といえば、「有楽町で逢いましょう」(1957年)、第3回レコード大賞受賞曲「君恋し」(1961年)、「おまえに」(1972年)と、いったところだろうか。耳元で囁くかのように、甘く低い声で歌う。昭和歌謡におけるバリトン歌手の代名詞的存在である。ムード歌謡の創生期をリードした歌手のひとりで、進駐軍のクラブ歌手だったこともあり、本格派ジャズボーカリストとしての風格も備えている。

そのお方が、「ハダカの歌」である。ムード歌謡だとしても、いくらなんでも、直球すぎる。作曲は、服部良一かと思ったら、よく見ると、良一ではなく公一である。作詞のさとうよしみ、という名前も、当時の歌謡界で馴染がない。パチモン臭さを感じつつ、紐解けば……。

さとうよしみは、なんと、あの「犬のおまわりさん」を作詞した童謡界の超大御所童話作家。服部公一は、合唱曲や交響曲、童謡などの世界で名の知れた、これまた、超大御所作曲家。な、なんと、伝説のカルトアニメ「アパッチ野球軍」(テレビ朝日/1971年~1972年)を作曲した人物でもあるのだ。

と、この曲が童謡だとわかっても、カルト臭が残る。フランク永井が、なぜに、童謡? この「ハダカのうた」は、『フランクおじさんといっしょ』という、子供向けのLPのなかの一曲なのだ。1962年に、当時、NHKの子供番組などで、名声を得ていた服部公一と谷川俊太郎のプロデュースによるアルバムで、なぜか、歌声が見込まれて永井が抜擢されたのだとか……。

「♪着物を脱いだら 誰でもハダカ~」と能天気にはじまるこの曲を聴くと、逆に、フランク永井の凄みを感じたりするのである。

解説:卯村
イラスト:はらめがね

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