(C)2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ

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【芸能コラム】この秋、“コンビ”で
輝く菅田将暉に注目! 『あゝ、荒野
 前篇/後篇』「おんな城主 直虎」

 今や数々の作品に引っ張りだこで、人気、実力ともに若手俳優の筆頭格となった菅田将暉。その勢いはまったく衰えることなく、現在も二つの作品に出演している。そのキーワードは、“コンビ”だ。
 7日に前篇が公開となった『あゝ、荒野』二部作(後篇は21日公開)で菅田が演じているのが、かつて自分を裏切り、プロボクサーとなった男に復讐(ふくしゅう)するため、ボクシングに打ち込む青年・新次。撮影前に半年ものトレーニングを積んだボクシング場面と、内に秘めた野獣のようなたけだけしさがにじみ出す演技は「圧倒的」の一言に尽きる。
 その菅田の演技をさらに引き立てるのが、新次と共にボクシングのトレーニングを積む青年“バリカン建二”(ヤン・イクチュン)の存在だ。吃音(きつおん)と赤面対人恐怖症に悩む内気なバリカンのキャラクターは、新次とは真逆。それでも、新次は年上のバリカンを“兄貴”と呼び、親しく接する。内気なバリカンとたけだけしい新次。そのコントラストは新次のキャラクターを際立たせる。だが、2人がコンビを組む利点はそればかりではない。
 ヤンと一緒に行った当サイトのインタビューで菅田は、「演じる中で、お互いに刺激を受けた部分はありますか」という問いに、次のように答えている。
 「お芝居に触発されるようなことは全シーンでありました」
 これはつまり、1人ではなく、ヤンが一緒にいたことで、自分の芝居が刺激を受けたということを意味する。互いの存在が相手を刺激し、芝居を1+1=2以上のものに高める。コンビで演じることには、そんなメリットもあるのだ。
 それを念頭に置くと、楽しみになって来るのがNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」での活躍だ。菅田が演じるのは、一度は潰れた井伊家再興という大志を抱いて、徳川家康(阿部サダヲ)の下で出世を目指す井伊万千代(後の井伊直政)。
 まだ十代半ばの万千代は、感情を素直に表すなど、血気盛んで行動も自由奔放。9月24日に放送された第38回のラストから登場したばかりだが、そんな万千代を菅田は生き生きと演じて見せる。
 そして、万千代のそばに付き従う小野万福を演じているのが井之脇海。「ひよっこ」(17)のコーラスの先生役で記憶している人も多いと思うが、その落ち着いた雰囲気は菅田とは対照的だ。(ちなみに井之脇は、『あゝ、荒野』でも菅田と共演している)。
 そんな2人の今後の活躍を期待させる場面が、第39回(10月1日放送)にあった。小姓として仕えるつもりだった自分たちに草履番を命じた主君・家康の決定に納得がいかず、「あの腐れ小だぬきが!」と人目もはばからずに憤る万千代。そんな万千代に頭からガバッと布をかぶせて「ここは城中です!」といさめる万福…。奔放な万千代としっかり者の万福のキャラクターが明確になった一幕だった。
 今後、菅田演じる万千代が、井之脇とのコンビによってどこまで魅力的になっていくのか。注目ポイントと言えるだろう。
 思えば、デビュー作「仮面ライダーW」(09~10)が史上唯一の2人で変身する仮面ライダーだった菅田にとって、コンビという役柄は相性がいいのかもしれない。11月23日には『火花』の公開も控えており、そちらでの桐谷健太との共演も気になるところ。この秋、コンビで活躍する菅田将暉に注目だ。(井上健一)

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