古澤剛「今日、一緒に歌いたい方がい
ます」コブクロ小渕サブライズ出演

シンガーソングライターの古澤剛が、9月10日に自身初のホールワンマンライブ<古澤剛 HALL LIVE 2017 〜夢で会いましょう〜>をマウントレーニアホール渋谷にて開催した。
◆古澤剛 ライブ画像
この日の演奏を務めるメンバー、菊嶋亮一(Dr)、斉藤光隆(Ba)、神佐澄人(Key)に続いてステージに登場した古澤は、客席に向かって深く一礼してから中央に置かれたスタンドマイクの前へ。そして、メンバーとともに「Intro 〜夢で会いましょう〜」を披露したのち、「はじまりの空」でその伸びやかな歌声を響かせた。その顔には晴れやかな笑顔が浮かび、自然と沸き上がった観客の手拍子とともに、会場をハッピーな空気で満たしていく。「初めてのホールライブ。今日までやってきたことをすべて出し切ります」と話す古澤は、4曲目の「I’m A Real Fighter」を歌い終えた段階で、すでに汗にまみれていた。
「せっかくフカフカの椅子があるので(笑)」と言って着席を促し、歌った楽曲は「GRANDPA MAN」。自身の22歳の誕生日当日に、大好きな魚釣りに出掛けて「ぽっくりと」亡くなったという祖父のことを歌った楽曲は、彼の祖父に対する尊敬と憧れと愛情、そしてほんの少しの寂しさが込められていて、聴く者の心を揺さぶる力を持っていたのが印象的だ。
中盤に差し掛かったところでメンバーは一旦退場し、アコースティックギターを抱えて1人ステージに残った古澤。「“オリジナル剛”といった感じの、飾りのない音楽」と自ら評す弾き語りスタイルで、「笑え、友よ」「Color」の2曲を披露。とくに、昨年9月にリリースされた記念すべきメジャー・デビュー曲「Color」は、その歌詞のみならず、シンプルに奏でられるギター、強さの中に優しさが見え隠れする歌声に、彼がこのステージに立つまでの、“波瀾万丈”とも言われる彼の人生すべてが詰め込まれているようだった。
渾身の歌声で観客を“古澤ワールド”へ誘った古澤。そして、再びバンドメンバーを迎え入れたのち、「Somewhere Over The Rainbow」「夢で逢えたら」というカバーを挟んで、ライブは後半戦へと突入。「羊たちの泣く街〜Brothers〜」を筆頭に、「Dear My Friend」や「I’m On Your Side」といったアップチューンで観客を盛り上げていく。息の合った演奏に身体を揺らしながらも、1曲1曲、そこで歌われているものが目に浮かぶような歌詞の世界観に、古澤のソングライティング力に感服せざるを得なかった。
そして、いよいよライブも終盤というところで、古澤からうれしいニュースが届けられた。まずは来年4月1日(日)、東京・日本橋三井ホールでのワンマンライブ決定の報と、昨年に続いて「大阪マラソン」への出場決定が告げられると、客席からは大きな拍手と歓声が。これだけでも大きなニュースだが、古澤はさらにこう続けた。「今日、一緒に歌いたい方がいます。僕が今ここにいるのも、この方なしには語れません」── この呼び込みでステージに姿を現したのは、コブクロ小渕健太郎。サプライズゲストの登場に、客席からの拍手と歓声はひと際大きくなった。
古澤と小渕と言えば、古澤が上京後にカバー曲を歌ってYouTubeに上げていたところ、それを目にした小渕から1本のメールが届いたことがきっかけで交流が始まったというのは、ファンの間では有名な話。しかし、この日のステージでは、小渕が「(メールを送った)翌日、僕らのライブがあったので、僕の性格上そこに来てもらって。ライブを観た後、そのままうちに来てもらったんだよね」と、驚きのエピソードを告白。すかさず「その日のうちに自宅に呼ぶって、ちょっとおかしいですよ(笑)」とツッコみを入れる古澤だったが、そうした関係の始まり方こそ、音楽に選ばれた2人の運命のように感じられた。そして、小渕はこうも続ける。「今日、久しぶりにライブを観させてもらって、ちょっと泣いちゃいました。僕、ずっと、(ライブに)来たい来たいと言ってたんです。でも、いや、小渕さん、もうちょっと、もうちょっと待ってくださいと言われ続けて。それが今回、9月10日は空いてますか?と、タケちゃんから声を掛けてくれたんです」。古澤のことを「タケちゃん」と呼びながら、彼とのエピソードを楽しそうに話す様子から、小渕がいかに古澤のことを応援しているかが伝わってきた。
観客にとっては、小渕の登場だけでも十分なサプライズだが、さらに彼らはこの日のために一緒に曲を作ったという。それが、古澤がいつ、どこにでも持ち歩いているというギターとの関係性に加え、古澤と小渕の関係性も投影したという「Hey Brother」。その名の通り「ヘイ、ブラザー!」という掛け合いから始まるこの歌は、軽快なリズムに客席から自然と手拍子が起こり、2人の歌声の絶妙なハーモニーとともに会場を包んだ。
2人が歌い終わり、興奮冷めやらぬ様子の観客を待ち受けていたのは、「実はもう1曲作っちゃったんです(笑)」という、この日何度目かのサプライズ。しかも、今度は小渕曰く「タケちゃんのロマンチックな面がダラダラに出てます(笑)」というラブソング。「天の川」というタイトルで披露されたその曲は、伝えられない想いを星に例えて歌った、甘く切ないバラード。歌詞に描かれる不器用ながらも実直な男性は、どこか古澤のイメージと重なるところがあり、「ラブソングというものが非常に少ない」と自負する古澤にとって、この曲はその中の貴重な1曲になると同時に、新境地を開いた作品と言えるだろう。
その後2人は「仲間だろ」を共に歌い、最高潮の盛り上がりのまま本編の幕を閉じた。
アンコールでは古澤がこの日のために書いた楽曲「夢で会いましょう」をバンドで披露。メンバーが立ち去り、ステージに一人残った古澤は、「最後にここで歌っていいですか?」と言って客席との境に座り、アカペラで「なくてはならないもの」を観客に届けた。
「すべて出し切る」という最初の宣言通り、弾き語りからバンド編成、さらにはアカペラで、余すところなく自身の魅力を表現した古澤。その顔には、ライブ開始時と同じ晴れやかな笑顔に、すべてをやり切ったという達成感も加わっていた。「大きなステップに向け、頑張っていきます」と語った、約半年後の日本橋三井ホール公演では、さらにひと回りもふた回りも大きくなった古澤剛の姿が見られるに違いない。
文:片貝久美子

写真:築地孝典
  ◆  ◆  ◆
セットリスト


1, Intro〜夢で会いましょう

2, はじまりの空

3, Voyager

4, Start Me Up!

5, I’m A Real Fighter

6, GRANDPA MAN

7, また会えたら

8, 笑え、友よ

9, Color

10, Somewhere Over the Rainbow

11, 夢で逢えたら

12, 羊たちの泣く街〜Brothers〜

13, It Ain’t A Love Song

14, Dear My Friend

15, I’m On Your Side

16, Hey Brother

17, 天の川

18, 仲間だろ
En1, 夢で会いましょう

En2, なくてはならないもの
古澤剛 HALL LIVE IN TOKYO 2018


2018年4月1日(日)日本橋三井ホール

open16:30 start17:00

全席指定\4,800(税込・ドリンク代別途)

問合せ:ディスクガレージ TEL:050-5533-0888(平日12:00~19:00)


メジャーデビューシングル「Color」


2016年9月28日(水)発売

TECG-54 ¥1,111+税
<収録曲>

1.Color

2.なくてはならないもの

3.Color-instrumental-

4.なくてはならないもの-instrumental-

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