スキマスイッチ・インタビュー Part 2「ミスターカイト / リチェルカ」編

スキマスイッチ・インタビュー Part 2「ミスターカイト / リチェルカ」編

スキマスイッチ・インタビュー Part
2「ミスターカイト / リチェルカ」

ー まさに、追い風ではなく「向かい風を捉えたなら大地を蹴り跳べ」という考え方がお二人らしいなと。

常田

:躊躇してタイミングを逃すと飛べるものも飛べないですからね。僕、小学校の頃にパラグライダーをやっていたんです。

ー そうだったんですか!

常田

:ええ。パラグライダーって風を読み違えると一気に落ちてしまうんですよ。

ー 怖いですね。

常田:インストラクターの合図に呼吸を合わせて走って飛び上がらないと、浮かべないので全部やり直しになっちゃうんです。そうするとキャノピーという翼の部分を全部畳んで、並べてまた上へ登って。「今だ!」と合図が出ると、当然風も吹いているから向かい風になるんですけど、前に走っていかないと上がらないので頑張って向かい風を走るんです。だから今回この曲を書くにあたって、その時自分が経験した風景がビジュアルとしてぶわーっと浮かんできましたね。

ー そうだったんですね。

常田

:だから自分たちの今の環境と似ているから歌詞にするというのではなく、そういう経験もひとつ楽曲の世界を作り上げているんです。

ー なるほど。

常田

:すべてが順風満帆で、多分このまま何も変わらいで同じことをしていても聴いてくれる人はいるだろうし、大丈夫だろう。そう思っていたら、きっとこの歌詞は出てこなかったと思います。まあ新たな挑戦をし続けるのが好きということもありますけど(笑)。

ー それも納得できます(笑)。みんなそういうお二人が大好きだから。

常田

:新しい面白さって言うんですかね?それは卓弥と僕の間で、いつもやっていますから自然とそういう方向には向いていくんでしょうね。

ー サウンド的にもサビでの高揚感はスキマスイッチの真骨頂という感じでたまらないですが、デジタル音とシンタさんのピアノの生感のコントラストが素晴らしいですよね。

常田

:Aメロとサビで違うサウンドの面白さは表現したかったんですが、違いすぎない。そこでとってつけたような感じになってしまうと聴いていてもバランスが悪くなってしまうから(笑)、その部分は気を遣いました。それと高揚感というか、高度がどんどん上がっていく部分をどうしようかも考えました。デモの段階からメイン・ヴォーカルの部分は音が厚かったけど、作っていくうちに更に厚みが出るだろうし。爽やかさを感じるだけではなく、やはり音圧も欲しい。今回、エンジニアを渡辺省二郎さんにお願いしたんですが、それこそ音圧だったりパワー感を出すのが得意な方だと思っているので、渡辺さんに身を委ねました。それぞれの音を重ねながらうまく対比を作って頂いて。でもそれはデジタルにしたからということではなく、セクションごとに考えたらそうなったという感じなんです。ただ丁寧に作っている感じは出したくて。例えばM3の“さよならエスケープ”は、丁寧というよりかはリラックスして作った感じ。でもこの曲は温度感の高い丁寧さを出せたら良いなと。それに歌詞を伝えたかったというのもあるんです。演奏の段階でデモの歌詞はだいぶ出来ていましたが、その時から仕上がりを想像できるニオイはしていたので、歌詞を伝えるにはどうしたら良いのか、かなり気を遣いました。

ー そういう意味でも今までとは少し違う感じだったんですか?

常田

:とはいえ、新しいことだけに目を向けた感じではなくて、「こういうのどうだろう?」「それ、面白いね!」という感じでした。

ー その部分はいつもと変わらずですね。

常田

:その通りです。『re:Action』、更に言えばオリジナルの前アルバム『スキマスイッチ』から時間が経っているところから出てきたものだからこそかなと。勿論その間シングルリリースもありましたが、制作欲求がすごく溜まっていたんです。『re:Action』で他の現場も色々と見てきたことも要因ではありますが、それが一気に出たかもしれません。

ー “リチェルカ”は連続ドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SECOND SEASON』(テレビ東京系)の主題歌ですが、連続ドラマ主題歌は初だったんですね。

大橋

:はい。以前 “Anly+スキマスイッチ=”としてAnlyさんとのコラボした『この闇を照らす光のむこうに』は連続ドラマの主題歌でしたが、スキマスイッチとしては初です。

ー 歌詞はRPGをテーマにしたとか?

常田

:今回のドラマが警視庁を舞台にしているので、刑事さんが謎を解いていくという意味ではRPGを歌詞のモチーフにするのは面白いんじゃないかという話になったんです。

ー 先方から曲に対してのオーダーは何かあったんですか?

大橋

: 聴き終わった後にスカッとするとか、耳に残る印象的なフレーズが入っているなど、結構大きなテーマもいただいていたのでそれを僕らなりに盛り込んでいけたら良いなと考えました。

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