【レポート】Soanプロジェクト、ロリ
イタ&浴衣のコンセプトワンマン

Soanを発起人とするSoanプロジェクトが、8月22日(火)、23(水)に2デイズでワンマンライブを行った。
ドラマー、ピアニスト、作曲家としても活動するSoanが、「with手鞠」「with芥」」という2つの表現を用い、シーン屈指のプレイヤーをメンバーに迎え活動を展開しているSoanプロジェクト。その思想の根底にあるのは「ヴィジュアル系への誇りと深い愛」である。Soanは、自らの信じるヴィジュアル系というカルチャーの理想と矜持の為に、当然誰よりも「それ」を理解している事が重要だと考えており、その課題として今回Soanが提示したテーマが「ヴィジュアル系たる者、どんな姿も絵にならなくてはならない!」というものだった。
8月22日(火)渋谷REXを舞台に行われたのが<Soanプロジェクトwith手鞠 Oneman Live「真夏の夜の夢 偶像女装-ドーリィオブロリイタ-」>。本公演は最新アルバム『旋律、静かな願いと』を掲げ、アパレルブランド「Angelic pretty」の全面協力を得て開催された。
「月から滴る嗜好のひとときを、今宵はご堪能ください」という手鞠の言葉を合図に、冒頭を飾ったのがアニメ『ベルサイユの薔薇』のテーマ曲「薔薇は美しく散る」。優雅さを抱いたアコギとヴァイオリンの調べの上に、ドレスに身を包んだ手鞠が伸びやかに「薔薇は薔薇は気高く咲いて 美しく散る」と歌いかけた。間奏では、演奏陣のセッションも登場する。舞台上のメンバーはみな、「Angelic pretty」のロリータ服を身にまとっていた。
続いてノスタルジックな景色の中へ導くように「そして君は希望の光の中に消えた」、一見優雅に思えるが陰りを持った幻惑な世界を描く「sign…-resonance-」などが次々披露されていく。「幼い頃の記憶、失くしたヴィスクドール。ヒリヒリと痛む涙の痕跡。伸ばした優しい手…今の私にはその体温だけが、この心を維持する唯一の術なのです」という手鞠の語りをきっかけに、「焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫」も。「投影された在りし日の肖像と云う名の亡霊」では、“ごめんね…さよなら…ありがとう…愛していたわ”というフレーズが胸を打つ。
演奏陣は凛々しく、激情した鋭利な音を叩きつけてゆく。そして熱した演奏の上で、沸き立つ想いのままに歌をはべらせる手鞠。終始幻想的な世界へいざなうかのようなステージが繰り広げられていった。
アンコールの最初には新曲「春色の音色、記憶回廊(仮)」が披露される。これはSoanプロジェクトwith 手鞠としての新しい始まりとも言えるような、ほのかな初春の温かさを覚える楽曲だ。そして「とても楽しい悪夢でした」と述べると、「それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ」がスタート。すべての悲しみを浄化するようなこの楽曲で、この日の公演が締めくくられた。
Soanプロジェクトwith手鞠 Member


Produce・Music・Drums・Piano:Soan

Lyric・Vocal:手鞠

Acoustic Guitar:タイゾ(from Kra)

Acoustic Guitar・Chorus:祐弥

Violin:Sachi(from 黒色すみれ

セットリスト


1.「薔薇は美しく散る」(Cover)

2.「そして君は希望の光の中に消えた」

3.「sign…-resonance-」

4.「焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)」

5.「投影された在りし日の肖像と云う名の亡霊」

6.「それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福と云う名のカルマ」

7.「林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。」

8.「相対する質量の交錯する熱量 」

9.「夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処」

10.「正否の相違、或いは利害の不一致」

11.「感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛」

En1.「春色の音色、記憶回廊(仮)」

En2.「それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ」

◆レポート(2)へ
8月23日(水)には同じく渋谷REXにて<真夏の夜の夢-下駄と帯紐と私、愛する貴女のため->と題されたワンマンライブを開催。この日は9月6日に発売される最新アルバム『調律、その脈動に問う』を掲げて開催され、Soanプロジェクトの「静」と「動」というコンセプトにおいて「動」を担う芥との公演だ。
舞台の上には、彩り豊かな浴衣を身に着けたメンバーたち。フロアにも浴衣姿の観客が多く見られた。ステージは雅な香りと重厚な音を重ねた新曲「Soan_B014_20170727通常ver.(仮)」からスタートする。観客が頭を振り暴れる「不確かな箱庭」「隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬」も繰り出され、浴衣姿での公演とは思えないほど激しく熱いライブが繰り広げられていく。


「さぁ、この首筋をずっとずっと…」という芥の嗚咽にも似た叫びを合図に「透過幕」、艶やかで刹那を秘めた芥の歌声が美しい「sign…」なども披露される。そして「undelete」では、場内は一気に荒れ狂う戦いの地へ塗り変えられていく。「天井をぶち破るつもりでいこうぜ!」という芥の声に続きSoanが「いっちゃおうぜ!」と煽ると、「arrive」でフロア中が全力で飛び跳ねはじめる。まさに夏の宴に相応しい光景だ。
その宴へ花を添えるように演奏されたのが、JITTERIN'JINNの「夏祭り」。打ち上げ花火のような派手な勢いを持ってパンキッシュなロッカビートが炸裂し、観客たちはタオルを振りまわす。原曲以上に重厚さと黒い火花を撒き散らしていたのも、Soanプロジェクトwith芥らしさか。アンコールでは、冒頭を飾った新曲「Soan_B014_20170727」がロングバージョンで演奏される。ラストは「hysteria show time」で幕が下ろされた。
写真◎遠藤真樹

文◎長澤智典

編集◎BARKS


Soanプロジェクトwith芥 Member


Produce・Music・Drums:Soan

Lyric・Vocal:芥(from Chanty)

Guitar・Voice:K

Guitar・Voice:Shun

Bass:Ivy(from ラッコ)

セットリスト

1.「Soan_B014_20170727通常ver.(仮)」

2.「不確かな箱庭」

3.「隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬」

4.「薄紅は舞い散り寂光に消える」

5.「透過幕」

6.「sign…」

7.「パラドクス」

8.「undelete」

9.「朽ち木の行方」

10.「meteo trive」

11.「arrive」

12.「夏祭り」(Cover)

13.「躁狂の踊り子~山紫水明の宴~」

En1.「Soan_B014_20170727煽りループver.(仮)」

En2.「hysteria show time」

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