【インタビュー】Awesome City Club
「こっちに来てくれれば絶対に幸せに
できるから一緒にいこう!」

ブラック・ミュージックの要素を活かした音楽性や華やかな男女ツインボーカルなどをフィーチュアして、スタイリッシュかつ個性的なシティポップを形にしているAwesome City Club。2015年にデビューした後、短いタームで4枚のミニアルバムをリリースしてきた彼らのベストアルバム『Awesome City Club BEST』が8月にリリースされた。登場から2年でベストという特異な流れには、大きな意味があるに違いない。このタイミングでベストアルバムを出すことにした経緯や同作の聴きどころなどについて、リーダーのマツザカタクミ(b)とatagi(vo & g)、PORIN(vo)の3人に語ってもらった。
■“自分に正直に生きろ”という歌詞の「アウトサイダー」がバンドの転機の一つ

■この曲がAwesome City Clubをより多くの人に知ってもらえるきっかけになりました
――8月23日にベストアルバム『Awesome City Club BEST』がリリースされました。
atagi:最初は、このタイミングでベストアルバムという話にはなっていなかったんです。僕らは2015年から7曲入りのアルバムを半年に1枚のペースで出してきましたが、実は3枚目のアルバムを作った辺りから、今のサイクルはいつやめるんだ…みたいな話をしていたんです。というのも、2年を経て、当初の制作ペースや制作コンセプトというのが自分達の置かれている環境や意図とマッチしなくなってきたというのがあって。最初の頃は新人バンドなので、できるだけリリース・ペースを早めたいというのがあったんです。でも、今はシングルが売れないし、フル・アルバムはリスナーがトゥーマッチに感じているところがあるという話になって。それで、7曲のパッケージの半年に1枚というペースでいくことにしたんですけど、最近は半年に1枚のペースではなくて、じっくりアルバム制作に取り組んだほうが、いろんな意味で良いんじゃないかという話が出るようになっていたんです。それで、ここまで続けて来た“Awesome City Tracks シリーズ”を一度やめることにして。そのうえで、デビュー以来の一つの区切りとしてベストアルバムを出すことにしました。
▲『Awesome City Club BEST』初回限定盤(CD+DVD)
▲『Awesome City Club BEST』通常盤(CD)


マツザカ:ベストアルバムを出そうということになった時は、これまで自分達がやってきたことと、これからの自分達が向かっていきたいことの架け橋になるようなものにしたいなと思いました。なので、ここまでの4作のリード・トラックや自分達にとって大事な曲を入れつつ、新曲も入れることにしました。すでにAwesome City Clubを知っていて応援してくれている人も、今回のアルバムで知ってくれる人も楽しんでもらえるベストにはなったかなと思います。
PORIN:『Awesome City Club BEST』に収録されている曲は全部好きだし、自信のある曲が並んでいるので、ぜひ聴いて欲しいです。私の中で特に印象の強い曲をあげるとしたら、「アウトサイダー」かな。2ndアルバムに入っている曲なんですけど、初めてメッセージ性の強い歌詞を乗せた曲です。それまでは私達にこういうメッセージ性の強い曲ができるとは思っていなくて、リリースする時はお客さんに受け入れてもらえるか心配だったんですね。でも、初めてライブで演奏した時のお客さんの反応がすごく良くて、それが今でも忘れられなくて。この曲でAwesome City Clubは一皮むけられたという意味で、印象が強いです。
マツザカ:PORINが話した通り、「アウトサイダー」はバンドの転機の一つになりましたね。僕らの1stアルバムと2ndアルバムは基本的にデビュー前に作った曲が収録されていて、「アウトサイダー」の前くらいにストックが足りなくなったんですよ。それで、デビューしてから最初に作ったのが、この曲だったんです。曲を作るのと並行して僕が歌詞を書いたんですけど、結構切羽詰まっていたんですよ。時間がないし、今の自分はどういうことを伝えたいのかが分からなくなってしまって。そういう中で出てきたのが、“自分に正直に生きろ”という「アウトサイダー」の歌詞だった。それまではサウンド的な歌詞を作っていたので、こういうことをしてダサいと思われたら嫌だなとも思ったんですよ。でも、結果的に、この曲がAwesome City Clubをより多くの人に知ってもらえるきっかけになりました。それに、今は全然ダサいと思っていません。
▲PORIN


――ダサいどころか、多くのリスナーの共感を得る歌詞です。「アウトサイダー」は、ブラック・コンテンポラリーの味わいを活かしつつ、独自のシティポップに仕上げていることも印象的です。
atagi:僕はギトギトのファンクとかが好きで、それがAwesome City Clubにも反映されているんですね。でも、「アウトサイダー」は、そういったテイストが薄まっている。曲を作る時に強く意識したわけではなくて、わりと自然とそうなったんです。自然体で作ったものが、独自のものと感じてもらえるなら嬉しいです。
マツザカ:僕の中で特に印象が強い曲をあげるとしたら……「pray」ですね。最近の自分達はモードがロックというか、エネルギーを“ガーン!”と出す方向に行っているんです。だから、「pray」は今のAwesome City Clubライブにピッタリな曲だなと思って。バンドの初期からある曲で、最近はあまりやらなくなっていたけど、<RISING SUN>で久しぶりに演奏したらすごく良かったんですよ。「pray」は限定販売だった「アウトサイダー」のカップリングで、手に入らないという人が沢山いたんですね。だから、今回のベストに入れられて良かったし、これを機会に今後はもっとライブでやっていきたいなと思っています。
PORIN:この曲は、今ライブでやっていて一番楽しいです。なんて言うんだろう……Awesome City Clubは、メンバー間で盛り上がっているエモーションを見せつけるみたいな曲があまりなくて。バンドから発信して、お客さんとキャッチボールをする感覚の曲が多いんですね。そういう中で「pray」は一方的に見せつけるカッコ良さがあって、そこが良いなと思っています。
atagi:そうだね。僕は、曲を作る時はいつもいろんなアプローチを試すんですけど、「pray」を作った時は特にそういう傾向が強くて。僕はUKがあまり好きではないというか、どっちかというとUSっぽいものが好きなんですね。でも、この曲はちょっとUKっぽさを意識して作ってみた。なので、これもちょっと他の曲とテイストが違っています。僕の中で特に思い入れが強い曲は、どれだろう? 難しいな……。強いて1曲あげるとしたら、「青春の胸騒ぎ」かな。これは、すごく良いと思っている。Awesome City Clubの曲は、良くも悪くもあざとさがあるんですよ。狙ってそうしている部分があるし、それが僕らの味でもあるけど、「青春の胸騒ぎ」は純粋に超良い曲だなと思う。この曲は4枚目のアルバムに入っていて、リード・トラックを作ろうというタイミングで書き始めて。結果的に「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」がリード・トラックになったけど、これもすごく良いと評価されたことが自信になったし、この曲ができたことでバンドの新たな指標が一つ増えたんですよね。歌詞の世界観とか、楽曲の持っている温度感が一番今風なこととかも含めて、ぜひ聴いて欲しいです。
マツザカ:atagiも言ったように、今までのリード・トラックはキラキラしている部分とか、狙っているような部分が出ていたけど、「青春の胸騒ぎ」は素顔の自分達を出すことができた。この曲を出した少し前からアコースティック・ツアーとかもするようになったこともあって、自然体でお客さんとコミュニケーションが取れるようになって来たんです。それまでは、ちょっと構えているようなところがあったんですけど。最近のライブの良い空気感を音源にもパッケージしたいなと思っていた時にこの曲が出て来て、ちゃんとそういうものになって、すごく嬉しかった。「青春の胸騒ぎ」もAwesome City Clubの新しい扉を開いたという意味で、僕の中でも印象深い曲です。
PORIN:ずっと力みながら活動して曲を作って来たけど、「青春の胸騒ぎ」はリラックスして作れたというのがあって。できた時に、ちょっと肩の荷が降りた感じがしましたね。この曲は私も歌詞を書いたんですけど、それまではフックになる言葉をどうしても入れたかったんです。そういうことを考えずに等身大のまま書いてみたら、こうなったという感じの歌詞で、それが良いと言ってもらえて。レコーディングも一発録りで、リラックスして自分達のグルーブが録れたし。「青春の胸騒ぎ」はAwesome City Clubの成長に繋がった1曲だなと思います。
■「Lullaby for TOKYO CITY」はキラキラしているけどドロドロしている東京を表現できた

■個人的にも特別な曲。歌詞を書き上げるのに半年くらい掛かったのかな
――速いペースで音源をリリースしながら、意欲的に新しい扉を開けてきたことが分かります。幅広さという意味では、王道的なロック感を活かした「Gold」や、浮遊感が心地好い「Lullaby for TOKYO CITY」なども注目です。
マツザカ:「Gold」は、ギターのモリシーが中心になって作った曲です。モリシーとPORINと僕の3人で<FUJI ROCK FESTIVAL>を観に行ったことがあって、アーケイド・ファイアが出ていたんですよ。その時にステージに金粉が舞っていて、モリシーはそれがすごく印象的だったらしくて。彼がこの曲の原形を持って来た時に、“Gold”という仮タイトルがついていたんです。僕らは2ndアルバムがメジャーデビューするタイミングで、今からみんなで金ぴかの世界を見に行けたら良いなと思っていたし、新たなスタートを切るにあたって、みんなの気持ちが引き締まる曲があると良いなと思っていて。「Gold」は当時のそういう気持ちが楽曲にも、歌詞にも出ていますね。この曲は野外でやるとすごく気持ち良くて、これも気に入っています。
PORIN:この曲は、すごくバンド感がある曲だなと思っていて。5人の演奏している姿とか、表情とかが見えてくるとよく言われます。それに、ライブで演奏するとAwesome City Clubが持っている“多幸感”を、この1曲で表現できるというのがあって。なので、よくライブの序盤でやったりしますね。
▲atagi


atagi:「Gold」は、わりと作詞作曲が同時進行で進んでいったというのがあって。僕らが曲を作る時は基本的に楽曲先行で後から歌詞を乗せるので、それは珍しいパターンなんですよ。そういう意味では、「Gold」は楽曲と歌詞の温度差が少なくて、そこが魅力の一つになっている気がしますね。「Lullaby for TOKYO CITY」は、これは曲にならないかなと思いながら作ったんですよ。だけど、僕が作ったデモをメンバーがフックアップしてくれて、今の形になりました。こういう曲は作ろうと思っても、なかなか作れないんですよね。だから、貴重だなと思います。
PORIN:これはバンドにとって、すごく大事な曲です。洗練感のある曲だけど、Awesome City Clubの軸になっているキラキラしたシティポップとはまた違うテイストになっていて。東京に住んでいる人にしか分からない、キラキラしているけど、ドロドロしている部分も持った東京を表現できたのが、すごく良かったなと思います。
マツザカ:個人的にも特別な曲ですね。僕は東京生まれだし、東京を歌った曲は名曲が沢山あります。自分もそういう曲を作りたいという想いがあって、歌詞を書くのにすごく時間が掛かったけど、どうしても形にしたかった。多分、歌詞を書き上げるのに半年くらい掛かったのかな。僕は言いたいことや伝えたいことがあっても、SNSとかで発信するのがあまり得意じゃないというか、シックリ来ないところがあるんです。それを作品に残していけたら良いなと思っていて、それが初めて出来たのが「Lullaby for TOKYO CITY」だったんです。だから、本当に特別な曲です。
▲『Awesome City Club BEST』初回限定盤(CD+DVD)
▲『Awesome City Club BEST』通常盤(CD)


――東京を歌った名曲はその時代の東京をリアルに描いていて、「Lullaby for TOKYO CITY」は曲調/歌詞ともに、そういうものになっています。もう1曲、PORINさんがメインで歌われているキュートな「4月のマーチ」も、独自のポップネスを活かしたナンバーといえます。
atagi:この曲も平たい意味で言うAwesome City Clubらしさは詰まっていなくて。それ故、直線的なパワーだったりとか、〇〇っぽいというようなものではない良さがあるなと思いますね。ギターの話になりますけど、この曲は唯一と言って良いくらいパワーコードしか弾いていないという(笑)。そういうところにも、この曲の特異性が出ていますよね。それに、後半の展開は、本当に気に入っている。そこを思いついた時は、自分でもすごくテンションが上がりました(笑)。この曲を作ったのは結成してから1年も経ってない頃だったと思うんですけど、その当時は一番人気くらいの曲でしたね。ちょうどメジャーレーベルを含めて、いろいろなところから誘いが掛かっていた時期で、その最中にこの曲ができて、すごく褒められたことを覚えています(笑)。
マツザカ:この曲の歌詞は、僕の想いが爆発しています(笑)。女の子が歌う歌詞を書くのは初めてだったけど、それが結構楽しくて。atagiが歌う曲は同性ということで自分が思っていることを書いたりするけど、この曲はより作家的というか、PORINがこういう曲を歌っていたら世の中の人は喜んでくれるんじゃないかなという方向で書いたんです。男性のプロデューサーとか作詞家が女の子のアイドルやアーティストのために書いた歌詞は、ファンタジックだったりしますよね。よく冗談交じりで言うんですけど、週刊誌の巻頭グラビアとかに入っている文字は、多分オッサンが書いていると思うんですよ(笑)。でも、それが見ている人に夢を持たせてくれるという(笑)。この曲はそれに近い手法を活かしつつPORINも一緒に書いたことで、浮かれ過ぎてはいないという良いバランスになったなと思います。
PORIN:私は、最初はこのバンドにサポートで参加していて、「4月のマーチ」は正式加入するきっかけになった大事な曲です。それに、当時の私は初期衝動とか、ワガママとか、エゴがいっぱいあった時期で、この曲は女の子のそういう部分を描いた歌詞じゃないですか。だから、リアルに表現できた気がしていて、すごく説得力のある曲になっているんじゃないかなと思います。
――この曲を聴いてヤラれてしまう男子は多いと思います(笑)。それに、『Awesome City Club BEST』は冒頭に話が出たように、新曲の「ASAYAKE」が収録されていることも見逃せません。
atagi:『Awesome City Club BEST』は“ベスト”と銘打っていますけど、僕らの中では半分1stフル・アルバムという気持ちもあるんです。ミュージック・シーンではデビューしてシングルを何枚か出した後、満を持して1stフル・アルバムという流れが一般的だと思うんですけど、僕らにとってはここまでの流れはそれと一緒なんですよ。そうなった時に、アルバムに新曲が入るのは当たり前だし、ベストといっても長いキャリアを経たアーティストのベストではなくて、これから先に期待して欲しいという気持ちが強いベストなんですよね。そういうものであれば、僕達を応援してくれている人達に対するメッセージを最初に持っていくべきだなという気持ちもあったんです。だから、曲順とかを決める前から、新曲を頭に据えたいと思っていました。
――「ASAYAKE」は“ここから、また新しいところにいくんだ!”という想いが楽曲や歌詞、それぞれのプレイ、サウンドといった全ての面に出ていますね。
atagi:そう。そういうものになったなと自分達でも感じています。「ASAYAKE」はバンドにとって初のことですけど、モリシーが単独で作曲をしたんです。デモの段階でこの曲の核になっている部分はしっかりあって、新しい曲を出す、そしてベストに収録するとなった時に、この曲は今の自分達のスタンスを見せるのに最適だろうということで、全員一致でこれを形にしようということになりました。あと、この曲はドラムがスネアを叩いていないんですよ。スネアの代わりに、ずっとハンドクラップが鳴っているんです。スケールの大きいものにしたいという気持ちがあってプロデューサーと相談したら、そういうアイディアが出て来たんですよね。あと、後半に合唱っぽい歌だけになるパートもあります。そういうところも含めて、「これは良い出来になったね」とみんなが言ってくれる1曲になりました。
マツザカ:新曲であると同時に、ライブのアンセムになるものを作ろうということを、みんなで話していて。「ASAYAKE」は、自分達なりのアンセムを形に出来たことに満足しています。歌詞の面でも今までのAwesome City Clubは、どちらかというとナイスな瞬間を切り取って“雰囲気を楽しもうぜ”みたいなところがあったけど、ライブがどんどんエモかったり、フィジカルになって来た時に、もっと自分達の内面を見せていきたいなと思ったんです。そうしないと、お客さんに信用してもらえない気がしたから。そういうところで、自分が感じているモヤモヤみたいなものを表現してみたいなと思って、この曲はそれに挑戦した歌詞になっています。
PORIN:「ASAYAKE」は一番最初にデモであがってきた段階から最近ライブでやるようになるまでの間、ずっと5人全員が情熱を絶やさず、愛情を持てたことがすごく良いなと思っています。曲を作っていく間に愛情が薄れてしまったり、不安になってしまうことがあるけど、この曲はそういうことが全然なくて。レコーディングもすごく順調にやれたし、良い形に仕上がったし、ライブで初披露した時もすごく手応えを感じたんです。ずっと良いイメージがあるから、このまますごく遠くまで飛んでいく曲になりそうだなという予感があります。
マツザカ:飛んでいって欲しいね。あとは、リオ・オリンピックの閉会式で椎名林檎さんとか、真鍋大度さんといったまだ若手に属する日本を代表するクリエイターの方が世界に向けて発信しているのを見て、それにすごく刺激を感じたというのがあって。これから日本は変わっていくんだなということを、強く感じたんです。それが自分的には夜明けだなと思っていて、そこに自分も何らかの形で参加したいし、僕らの世代がこれからの日本を創っていくんだよというところで、旗振りみたいな曲が出来ると良いなと思っていて。「ASAYAKE」には、そういう想いも込められています。そういったいろんな想いが重なって、今までの僕らは、“よろしければ、こちらへ”という感じだったけど、“こっちに来てくれれば絶対に幸せにできるから、一緒にいこう!”と、お客さんに強く投げかけられるパワーを持った曲になったなと思います。
■少し肩の力を抜いた状態でバンドを眺めることが、良い方向に出ていると感じた

■執着が消えたことが今の自分にとって良いなと思えるポイントです
――『Awesome City Club BEST』は本当にいろんな曲が入っていて、Awesome City Clubの幅広さを味わえますね。続いて、今作の自身のプレイや音作りなどについても話していただけますか。
atagi:僕は最近良い意味で、このバンドに対する執着がなくなったというのがあって。いい加減さというのが実は大事だったんだなと思う瞬間が多々あるんです。ギター・プレイにしても、歌にしても。いい加減というか、少し肩の力を抜いた状態でバンドを眺めていて、それが良い方向に出ていると感じる。執着すると、いろんなことに腹が立つわけですよ。これが良くなかった、あれが良くなかった、もっと良くなる、もっと良くなる…みたいに考えてしまって、本当に大事なものが見えなくなったり、その場の何かを楽しむことが出来なくなってしまう。今回の「ASAYAKE」という曲は特にそうかもしれないけど、そういう執着が消えたことが今の自分にとって良いなと思えるポイントです。
▲『Awesome City Club BEST』初回限定盤(CD+DVD)
▲『Awesome City Club BEST』通常盤(CD)


――バンドに対する欲が消えたわけではなくて、些細なことに捉われないことが、より良いバンドになるということですね。
atagi:そう。だから、本当の課題は自分の中にあるというか。僕は必死になりがちだけど、必死になり過ぎると良くないことというのは本当にいっぱいあるんですよね。それに、今までの自分はAwesome City Clubはこうじゃないといけないとか、Awesome City Club のatagiとしてこうあるべきだといったことにすごく縛られていた気がするんです。それはバンドのカラーを固めるという意味では良いことだけど、表現の幅を狭めることに繋がってしまう。そういう状態から抜け出したことで、今後の自分はまた新しいところにいける予感があって、それを楽しみにしています。
――バンドと同じようにatagiさんも転換期を迎えていることが分かります。『Awesome City Club BEST』のボーカルに関しては、PORINさんも含めて表情の豊かさを見せつつ、常に温かみがあることが印象的です。
atagi:僕は、良くも悪くも我が強いほうではないんですよ。だから、そういう人間性が歌に出ているのかなと思います。あとは、ブラック・ミュージックのテイストを活かした曲が軸になっているけど、僕は極端に黒っぽい歌を歌う気はなくて。そういうニュアンスが合う時は寄せるけど、基本的に自分らしい歌を歌うようにしています。
PORIN:歌に関しては、歌唱力で圧倒するのではなくて、人を選ばずに、みんなに届くような素直な歌を歌いたいと思っているので、言われたような歌になっているのかなと思います。あとは、私は曲によって、歌詞によって、歌い方を変えるのが好きというか。こう歌いたいというのが、あまり無いんです。ディレクションされて、言われたように歌ってみるというのが好きなので、曲によって表情が全然違っていますね。それを楽しんでいるし、そういうスタンスがAwesome City Clubに合うなと思って。なので、『Awesome City Club BEST』の私の歌は、そういうところも楽しんでもらえると良いなと思います。
▲マツザカタクミ


マツザカ:atagiの歌の話とリンクするけど、僕らは立ち位置がちょうど良い気がするんですよ。いわゆる本格派ではないし、強力な個性とかを売りにしているわけでもなくて、親しみやすいというか。逆にいうと結果が出ないと苦しい場所で、そういうところで常に戦っていますけど。でも、そこで勝負する気概があるし、周りの人達もそこに期待して力を貸してくれていて。そういう中で、この2年間はどうやって突き抜けていったら良いんだろうと模索するときだったと思うんですよ。僕はプレイヤーとしても本格派ではなくて、ずば抜けたスキルを持っているわけではない。それで、レコーディングですごく苦労する時期もあったけど、最近は自分達が楽しくやっているところを、ちゃんとみんなに見てもらおうよというスタンスになって来て。そうなった時に、音を出しているだけでも楽しいという初心を思い出したんです。で、それが自ずと表現になっていくというか、プレイヤーが楽しんで演奏しているのが伝わることで良い音楽になる。テクニックを活かしたプレイや凝ったフレージングといったことはもうしないということではないけど、お客さんに楽しい気持ちになってもらうということが、Awesome City Clubにとってはすごく大事なファクターだなと思って。だから、そういうことを届けられるベースであり、演奏であり、ライブであるということを大事にしたいと思っています。
――マツザカさんとユキエさんが生み出す人間味のあるグルーブは、すごく心地好いです。今日皆さんの話を聞いて、デビューしてからの2年間でAwesome City Clubが大きく変化/進化したことを感じました。『Awesome City Club BEST』のリリースを経て、10月から12月にかけて行われる全国ツアーも楽しみです。
atagi:僕らはちょうど東名阪ツアーを終えたところなんですけど、今回はサポートメンバーを入れてライブをしたんですね。今の自分達が思っていること……それはポジティブなものも、ネガティブなものも両方あるんですけど、ネガティブなものをよりプラスの方向に転換できるイベントになったかなと思っています。聴いている人からしたら、“ただサポートメンバーが入っただけでしょう?”ということかもしれないけど、メンバーが受ける恩恵が本当に大きくて。今回の東名阪で得たものを引き継いで、10月のツアーではAwesome City Clubのライブはこういうあり方なんだということを、ちゃんと見せたいですね。そういうライブをすれば、より多くの人を巻き込めると思うので、そこが勝負かなと思っています。
PORIN:ワンマンはフェスとか対バン・イベントとかと違って、自分達の実力がもろに試される場だなと思っていて。それが一番のプレッシャーにはなるんですけど、フェスとか対バン・イベントで出会えたお客さんが来てくれるわけですよね。なので、そこにすごく愛情を感じるなと思っていて。それに応えたいし、ずっと応援してくれている人はもちろん、初めて来てくれるお客さんも信頼して、背伸びせず、無理せず、今の自分の実力をぶつけていけたら良いなと思います。
マツザカ:10月のツアーは、アッパーだったり、スタイリッシュだったり、世界観に惹き込んだりといった、いろんなレイヤーを見せられるライブになると思います。フェスに出させてもらったり、サポートメンバーを入れて東名阪を廻ったりした今年の夏を経て、今は本当にライブに自信があるんですよ。結果も出て来ていると思うし。そのうえで、10月のツアーは本当に勝負どころだなと思っていて。ファイナルはZepp Diver Cityですけど、そういう大きい会場で鳴らしたい曲もできて来ているし、今までのワンマン公演では演出面とかもいろいろこだわってやって来たので。そこを活かしてZepp Diver Cityでライブをして良かったね…ではなくて、もっと大きい会場でAwesome City Clubを観たいと思ってもらえるようなライブをすることを目指します。
取材・文●村上孝之
Awesome City Clubは、第一興商が強力プッシュする9月度D-PUSH!アーティストに決定。新曲「ASAYAKE」がカラオケ配信されている。また、カラオケ背景映像に「ASAYAKE」のミュージックビデオが期間限定で登場。さらに、カラオケ演奏の合間に放映される音楽情報コンテンツ「DAM CHANNEL」内のD-PUSH!コーナーにゲスト出演し、トークの花を咲かせてくれる。DAM express(目次本)でも、D-PUSH!ページにてインタビュー記事、アー写、ジャケ写が掲載されるなど、カラオケ店で大量の露出がある。お店に行ったときは必ずチェックしてほしい。
『Awesome City Club BEST』


8月23日(水)リリース

初回限定盤(CD+DVD)/VIZL-1217/\3,800+税

通常盤(CD)/VICL-64824/\2,800+税

【収録曲】

1. ASAYAKE

2. 青春の胸騒ぎ

3. 今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる

4. Vampire

5. Don’t Think, Feel

6. pray

7. アウトサイダー

8. GOLD

9. Lullaby for TOKYO CITY

10. 涙の上海ナイト

11. 4月のマーチ

12. Lesson

13. Children
【初回限定盤DVD収録内容】

●Awesome Talks -One Man Show 2017-
(2017. 5. 19 at Akasaka BLITZ)

Movin’ on

GOLD

Vampire

アウトサイダー

愛ゆえに深度深い

Sunriseまで

青春の胸騒ぎ

It’s So Fine

Don’t Think, Feel

今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる

涙の上海ナイト

Action!
●Music Video

4月のマーチ Directed by Eri Sawatari (Qotori film)

涙の上海ナイト Directed by Kento Sasaki

アウトサイダー Directed by Atsunori Toshi(A4A)

GOLD Directed by Masakazu Fukatsu (1994 Co., Ltd.)

Lullaby for TOKYO CITY Directed by Toru Watanabe (Watanabe-ka)

Don’t Think, Feel Directed by Atsunori Toshi(A4A)

今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる Directed by Atsunori Toshi(A4A)

青春の胸騒ぎ Directed by YOSHIROTTEN(YAR)
ライブ・イベント情報


<Awesome Talks -One Man Show 2017Autumn/Winter->

2017.10.28 (Sat) 宮城・仙台MACANA

 (問)NORTH ROAD MUSIC TEL:022-256-1000(平日10:00~18:30)

2017.11.02 (Thu) 広島・CAVE-BE

 (問)夢番地広島 TEL:082-249-3571(平日11:00~19:00)

2017.11.03 (Fri) 福岡・BEAT STATION

 (問)BEA TEL:092-712-4221(月-金11:00~18:00 / 第2・4土11:00~15:00)

2017.11.05 (Sun) 石川・金沢GOLD CREEK

 (問)サウンドソニック TEL:076-291-7800(平日10:00~18:00)

2017.11.12 (Sun) 香川・高松DIME

 (問)DUKE高松 TEL:087-822-2520(平日10:00~18:00)

2017.12.15 (Fri) 沖縄・那覇Output

 (問)Output TEL:098-943-7031
<Awesome Talks Acoustic Show 2017>

2017.09.20 (Wed) 福岡・The Voodoo Lounge

2017.09.21 (Thu) 京都・磔磔

2017.11.16 (Thu) 札幌・BFHホール
<イベント>

2017.09.02 (Sat) PARK

東京・渋谷WOMB

2017.09.09 (Sat) BAYCAMP 2017

神奈川・川崎市東扇島東公園 特設会場

2017.09.10 (Sun) GO OUT MUSIC CAMP2017

大阪・万博記念公園

2017.09.16 (Sat) New Acoustic Camp 2017

群馬県利根郡みなかみ町・水上高原リゾート200

2017.09.18 (Mon) FM Nagasaki SUNRISE STATION presents DAZZLING SOUND vol.1

長崎・DRUM Be-7

2017.09.23 (Sat) 中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017

岐阜県中津川市 中津川公園内特設ステージ

2017.10.09 (Mon) Eggs presents FM802 MINAMI WHEEL 2017

大阪・ミナミエリアライブハウス

2017.11.18 (Sat) CASINO★DRIVE 25th Anniversary LIVE

北海道・旭川CASINO★DRIVE
関連リンク


◆Awesome City Club オフィシャルサイト

◆第一興商

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