OBLIVION DUST、発表された全国ツア
ーは代表曲中心!?
8月25日、東京は新宿BLAZEで最終日を迎えた『Don't Give A Fxxk Tour 2017』。場内満員の観客の前に現れたバンドの佇まいは、大胆不敵にも、これから始まるショーの手応えを最初から自分たちは得ているかの様なものであった。まだたった一つの音すら奏でていないにも関わらず、ここから始まる90分間のステージはすでに完成されたものになることを確信している表情と言ったらいいか。
「ノリにノってるか?と聞かれたら、そうなのかな?って感じだけど」
現在のバンド内の空気はいたって平静でいつも通り、というVo.のKENが不思議と悪戯っぽく目を光らせる。もう言いたいことはわかるはずだという視線だ。ロックバンドにありがちな、テンションを高く保っていこうと昂ぶったり煽ったりという姿勢は微塵もなく、声高に充実ぶりを語るわけでもない。ただ単純にショーを見てもらえればわかるということなのだろう。
「今年になってから、自分が使う機材面を全て見直してるからライヴの音は確実に良くなってきているはず。これまでは各会場でのシステムの特性にどうしても左右される面があったけど、今の機材だとそれが最低限になっている」
ライヴというのは毎回やるたびに何が起こるのかわからず、会場によってスピーカーも違えばミキサーも違うのだから、その時その時の出来栄えは演奏面も含めて違うのが当たり前、場合によってはそれすらも楽しめるのが一流というのが一般的な認識だろう。ところがサウンド・プロデューサーでもあるG.のK.A.Zは、その当然と思っていたライヴでのしがらみに疑問を投げつけ、解消する手を打ったということなのだ。そうなると新たな疑問が沸々と湧いてくる。全ての会場で最新の機材によって、いつでも同じ音質で聴くことが出来る時代になったのなら、ステージでより浮き彫りになってくるのはなんなのだろうか?ということだ。
ライヴでは定番だがトップを飾ることは珍しい「Haze」から始まり、「Under My Skin」「Lolita」と昨年リリースされたミニアルバム『DIRT』からの新曲が続く。これらもすでにツアーでは鉄板の暴れトラックである。休む暇を与えずに「No Regrets」のイントロが流れてきた瞬間に観客は今日もボロボロにされることを覚悟したかの様な歓声が上がる。思えば去年から続くOBLIVION DUSTのライヴでの充実ぶりは、『DIRT』をリリースしたことで大きく弾みがつき、ここ数年の半休民状態を一気に跳ね返した様なツアーの連続から来たものであった。しばらく本人たちでさえ忘れかけていたバンドのマジックを完全に取り戻していることを、つぶさにファンは見て来た一年と言える。20周年と謳う上での副産物などではなく、何か見えない感触を掴んだということなのではなかったか。
それは6月に単発で出演したアメリカでのイベント「AnimeNext 2017」でも、ほとんどの観客が初めて見るであろうOBLIVION DUSTのステージを、万雷の拍手で迎えられた事にも現れていた。アメリカ本国でも知られたタイアップ曲が一つも無いにも関わらずオファーをくれた主催者の熱意もさることながら、アメリカのファンからはスーパースターの様な扱いを受けたという。
「やってることはいつだって変わんないんすよ、毎回全力だし全開だし。ただ昔はずっと力を入れて暴走気味だったのが良かったんだけど、今はそれを意識的にここだってポイントで暴走させるコントロールがついたって感じですかね」
B.のRIKIJIが言うには、相手が誰であれステージに立ってしまえばこっちのものだという感触をアメリカでも日本同様に感じられたという。ショーも中盤に差し掛かる前、「Destination」「BED OF ROSES」などの最近演奏されなかった楽曲が披露される。いずれにしても細かくリチューニングされ、より再現性を高めた演奏で当時の演奏よりもCD音源に近いクオリティを実現させている。こういう凝視しないと見過ごす様な点こそが、前述したK.A.Zがより鮮明にしたかった部分なのではないか。計算され尽くした致死量こそが、バンド全体のダイナミズムを形成しているとも思える。
「ファンのみんなのおかげで続けていけてる。次のツアーは12月から2月までやります」
ファンの待ってましたという歓声に応え、素直に感謝を述べたKENのMCに続いて、「Death Surf」から続く怒涛の最終ブロックが始まった。この忘我の瞬間のためにやって来たと言わんばかりの場内の恍惚感と、弾き出される音の暴力性をこれほどまでに同居させられるバンドが、世界を見渡しても稀有な存在であることを実感させられる。
「次のツアーではバンドの代表曲と言えるのものは、全部演るくらいの感じで考えてる。もちろん会場ごとに違うんだけど」
そう語るK.A.Zの後ろでKENとRIKIJIがうなずくでもなく、表情で同意する。今日発表された2017年と18年をまたいだ全国ツアーに向けて、すでにどんな狂乱が巻き起こるのかわかっているかのような雰囲気だ。来年も目が離せないことは明白だろう。
photo by 田中和子(TANAKA KAZUKO)
「ノリにノってるか?と聞かれたら、そうなのかな?って感じだけど」
現在のバンド内の空気はいたって平静でいつも通り、というVo.のKENが不思議と悪戯っぽく目を光らせる。もう言いたいことはわかるはずだという視線だ。ロックバンドにありがちな、テンションを高く保っていこうと昂ぶったり煽ったりという姿勢は微塵もなく、声高に充実ぶりを語るわけでもない。ただ単純にショーを見てもらえればわかるということなのだろう。
「今年になってから、自分が使う機材面を全て見直してるからライヴの音は確実に良くなってきているはず。これまでは各会場でのシステムの特性にどうしても左右される面があったけど、今の機材だとそれが最低限になっている」
ライヴというのは毎回やるたびに何が起こるのかわからず、会場によってスピーカーも違えばミキサーも違うのだから、その時その時の出来栄えは演奏面も含めて違うのが当たり前、場合によってはそれすらも楽しめるのが一流というのが一般的な認識だろう。ところがサウンド・プロデューサーでもあるG.のK.A.Zは、その当然と思っていたライヴでのしがらみに疑問を投げつけ、解消する手を打ったということなのだ。そうなると新たな疑問が沸々と湧いてくる。全ての会場で最新の機材によって、いつでも同じ音質で聴くことが出来る時代になったのなら、ステージでより浮き彫りになってくるのはなんなのだろうか?ということだ。
ライヴでは定番だがトップを飾ることは珍しい「Haze」から始まり、「Under My Skin」「Lolita」と昨年リリースされたミニアルバム『DIRT』からの新曲が続く。これらもすでにツアーでは鉄板の暴れトラックである。休む暇を与えずに「No Regrets」のイントロが流れてきた瞬間に観客は今日もボロボロにされることを覚悟したかの様な歓声が上がる。思えば去年から続くOBLIVION DUSTのライヴでの充実ぶりは、『DIRT』をリリースしたことで大きく弾みがつき、ここ数年の半休民状態を一気に跳ね返した様なツアーの連続から来たものであった。しばらく本人たちでさえ忘れかけていたバンドのマジックを完全に取り戻していることを、つぶさにファンは見て来た一年と言える。20周年と謳う上での副産物などではなく、何か見えない感触を掴んだということなのではなかったか。
それは6月に単発で出演したアメリカでのイベント「AnimeNext 2017」でも、ほとんどの観客が初めて見るであろうOBLIVION DUSTのステージを、万雷の拍手で迎えられた事にも現れていた。アメリカ本国でも知られたタイアップ曲が一つも無いにも関わらずオファーをくれた主催者の熱意もさることながら、アメリカのファンからはスーパースターの様な扱いを受けたという。
「やってることはいつだって変わんないんすよ、毎回全力だし全開だし。ただ昔はずっと力を入れて暴走気味だったのが良かったんだけど、今はそれを意識的にここだってポイントで暴走させるコントロールがついたって感じですかね」
B.のRIKIJIが言うには、相手が誰であれステージに立ってしまえばこっちのものだという感触をアメリカでも日本同様に感じられたという。ショーも中盤に差し掛かる前、「Destination」「BED OF ROSES」などの最近演奏されなかった楽曲が披露される。いずれにしても細かくリチューニングされ、より再現性を高めた演奏で当時の演奏よりもCD音源に近いクオリティを実現させている。こういう凝視しないと見過ごす様な点こそが、前述したK.A.Zがより鮮明にしたかった部分なのではないか。計算され尽くした致死量こそが、バンド全体のダイナミズムを形成しているとも思える。
「ファンのみんなのおかげで続けていけてる。次のツアーは12月から2月までやります」
ファンの待ってましたという歓声に応え、素直に感謝を述べたKENのMCに続いて、「Death Surf」から続く怒涛の最終ブロックが始まった。この忘我の瞬間のためにやって来たと言わんばかりの場内の恍惚感と、弾き出される音の暴力性をこれほどまでに同居させられるバンドが、世界を見渡しても稀有な存在であることを実感させられる。
「次のツアーではバンドの代表曲と言えるのものは、全部演るくらいの感じで考えてる。もちろん会場ごとに違うんだけど」
そう語るK.A.Zの後ろでKENとRIKIJIがうなずくでもなく、表情で同意する。今日発表された2017年と18年をまたいだ全国ツアーに向けて、すでにどんな狂乱が巻き起こるのかわかっているかのような雰囲気だ。来年も目が離せないことは明白だろう。
photo by 田中和子(TANAKA KAZUKO)
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