第十九沼(だいじゅうきゅうしょう)
『​ 全てが顔に見えてしまう沼!』

沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、
足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、
抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、
息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、
その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第十九沼(だいじゅうきゅうしょう) 『全てが顔に見えてしまう沼!』
便器が私の人生を変えたかもしれない・・・
私の母親は、寝る時には目をつぶらなければ眠れない、と言う事を私に教え忘れた。
目を閉じない状態で母は電気を消し、だんだんと目が暗さに慣れて来ると、天井の模様が見え始めるのだ。
想像力の多感な4歳児の頃だったか、その天井の模様を見ていると、木目が様々な顔が見えてきた。
笑っている顔、怒っている顔、泣いている顔、苦しそうな顔、、、思えば思うほど顔に見えてきて怖くて朝まで眠れなかった。
そんな日が数日続き、ほとんど寝ていない私はある日、幼稚園のトイレでオシッコをしながら倒れ、便器に頭を強打し、救急車で運ばれた。
ほどなくして、地元の医療機器では対応できないと言う事で、東京のある大学病院を紹介され脳波の検査をした。
異常は無いという診断結果ではあったが、おそらく頭が少し変になったのはその時からだろう。
何かが顔に見えてしまうという現象は現在も続いている。
きっと先天的にニューロンがおかしいのか、想像力が湾曲してしまっているのだ。
いずれにしても楽しい。
今日は、そんな物件をいくつか紹介しよう。
あらゆる顔は身近なところに存在する
「顔に見える系」の代表的なモノといえば「車」だ。
ライトが目、ラジエーターが口、ナンバープレートが歯というパターンが一般的だ。
優しい顔、怖い顔など数え切れないほどの顔が存在する。
しかもそれがスピードに比例するなど、デザインと機能が美しく融合した完璧な顔系物件だ。
また最も身近な存在として、家の中を見回してみると、あらゆる「顔」が存在する事に気がつくだろう。
毎日使うコンロは、各家庭によって様々な顔を持つ。
ウチのコンロは生真面目なロボット系だ。
しかし、たまにベロを出して料理人をおちょくる曲者だ。
先日実家に帰ってソファーに横になっていると誰かの視線を感じた。
よくみるとそこにはニヤけたタンスがバカにしたようにこちらを凝視していた。
そして、自宅マンションのエントランスにも様々な輩が姿を見せる。
毎日顔をあわせる間抜けな連中どもを紹介しよう。
こいつは、あまり喋りすぎるために口にチャックをされている。
管理人の許可を得るまで言葉を発する事の出来ないお喋り野郎だ。
しかしどこか切なさを感じ、いつも同情してしまう。
そいつの相棒は無口でボーっとした面で私を送り迎えしてくれる。
面長の役立たずだ。
余談だが、ウチにはHAL9000も搭載されたハイテクマンションだ。
そのうち反乱を起こしてモノリスに飛ばされるかもしれない。
だからあまり目を合わせないようにしている。
また、毎日のように運ばれてくるAMAZON商品はいつも笑って感じが良い。
この笑顔に騙されて散財していることさえ忘れてしまう。
悪質極まりない。
そして、我が家のDJブースは気がつくと顔になっていた。
こいつはたまにミックスに失敗すると、人を小馬鹿にしたような表情を醸し出す憎たらしい。
私が子供の頃、天井の木目模様の次に受けたショックな顔がコレだ。
秋田の田舎の「THE 便所(ぼっとん)」に入った時、人を軽蔑するような無表情で出迎えてくれる便器の蓋。
当時流行ったロボットアニメに出てきそうな無機質な野郎。
UNKOもしたくなくなったもんだ。
さらに、外出すると多くの顔に遭遇する。
足元に視線を感じ目を向けると、シミだらけのカワイイ奴が私を見ていた。
雨の時は水をがぶ飲みするが、飲みすぎると嘔吐するという意外と胃腸が弱い。
私のマネージャー羽田のような存在だ。
心躍らせながら請求書を投函しようとしたら、ポストがあまりに悲しそうな顔をしていて、一瞬投函を躊躇った。
きっとクライアントの怨念がポストに憑依下に違いない。
ポストも顔なんだと思い、帰り際 あらゆる家のポストを見ながら歩いていると・・・
巨匠ダリを発見。
コンビニゴミ箱物件も顔の宝庫だ。
良い奴、悪い奴、クールな奴、間抜けなヤツ、と実にバリエーション豊かな表情を醸し出している。
たまにお腹がいっぱいすぎてゲロっている奴も見かけるが、それでも無理に押し込んだ事もあった。
ごめん。
車庫信号物件は完全に顔だ。
事故を未然に防ぐために意図して顔のように作られているのではなかろうか。
でも、たまにベロ出してる時は信号の機能よりもそちらが気になる。
全く役立たずな輩に格下げだ。
「作為的顔」
私は、作為的に作られた顔があまり好きではない。
自然発生的なものの方がよりアホっぽくて好きだ。
下の2枚の物件は完全に作為的に創作されたモノだ。
「私ってカワイイでしょ?」
と言われているようでなんだかムカつく。
高級スーパー紀伊國屋は実はナマズと仮面ライダーだという事も判明した。
最後にご紹介する物件は「家主人間不信系」。
読者からの投稿で拾い物らしいが、明らかに人を疑っている表情が目つきから察することができる。
とても入りにくい敷居の高さを表現した素晴らしい家だ。
私が外に出ることをあまり好まないのは、常に誰かに監視されているような錯覚を起こしているからなのだろうか。
何もかも人の顔に結びつける癖は未だに治らない。
もう諦めて楽しむことにした。
作為的に作られた顔物件は好きではないが、おそらく人間的な顔型をしているものに対して、人は馴染みを感じるために意図してデザインされているように思う。
見渡せば、街は顔だらけだ。
あなたも、ぜひ 顔系を発見していただきたい。
そして第二弾を予定しているのでこの場で投稿募集を呼びかけたい。
あなたもまだ遅く無い。
一緒に顔に見える脳沼の住人になろう。
イベント情報
The Prince Of Darkness 〜The Last One

 日時:2017.8.19(Sat)
 会場:頭バー21:00-5:00
 出演者:ドラびでお/小林径/齋藤久師/森田潤 and more

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