雨のパレードが歌う固有名詞としての「You」

    雨のパレードが歌う固有名詞としての「You」

    雨のパレードが歌う固有名詞としての
    「You」

    2013年に結成され2016年にメジャーデビューした彼らは、80年代ポップやクラブミュージックの要素を取り込んだジャンルレスな音楽性が持ち味。
    そんな彼らのもうひとつの魅力が、ヴォーカルの福永浩平がつむぐ繊細で叙情的な歌詞である。そこで代表曲「You」を通して彼らの歌詞の魅力を探ってみたい。
    雨のパレード代表曲「You」の歌詞の魅力

    語りかけるようなオープニング。「あの頃の僕」という一言でパーソナルな記憶が呼び覚まされ、回想の世界に引き込まれる。
    大事な存在に向かって呼びかける歌詞。「僕」から「あなた」へのダイレクトなメッセージがこの曲のテーマになっている。
    回想のなかの「あなた」はそばにいて「僕」を支えてくれた存在。しかし、ダークサイドに堕ちた主人公はそのことに気づかない。
    「傍にいてくれたのに ひとりと思って」いて、かろうじて「あなたのことを傷つけたこと」を「覚えている」だけ。
    「本当に大切にすべきもの」も「理解できない状態」だったことを「おかしくなっていた」と告白する歌詞。「今ならもう答えられる」、その答えはあなたなのだと。
    最初から終わりまで特定の相手について歌ったこの曲で繰り返し登場する「あなた」。それは他の誰かではない、固有名詞としての「You」と言ってもいいだろう。
    そんな「僕」の想いとは裏腹に、現在の「あなた」はその想いを受け入れる状態にない。闇の中にいた「僕」が「あなた」の存在によって光を見いだしたとき、反対に「あなたの方に闇が訪れて」いるからだ。
    「会いにきた」、「ここ」が「闇」に近い場所であることは、“向こう側へ連れていく”という言葉からも示唆される。
    それでも「あなたが僕にしてくれたように寄り添う」という強い想いが、「だから」という三文字に圧縮して表現される。
    一見すると似ている「見えない明日」と冒頭の「霧の中のような場所」の違いは、「あなた」の存在を感じているかどうかの違いだ。
    切実なメッセージの裏側にある「人は誰しもひとりでは生きていけない」という真実。
    パーソナルな世界観を持つこの曲には、一見ありきたりなようで普遍的な視線が存在している。
    それが聴き手に届いたときに、特定の相手を指していた「あなた」は、一人ひとりにとっての固有名詞である「You」に変わる。

    誰もが抱く個人的な感情を普遍的なメッセージに託して、現在進行形のサウンドとともに奏でる雨のパレード。

    「You」はそんな彼らの魅力が凝縮された1曲なのである。

    アーティスト

    UtaTen

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