【ロングレポート】雨天続きのフジロ
ック'17が映し出したもの

まだフジロスを引きずりながら日々を過ごしている人もいるかもしれない。今回も参加者に代えがたい体験を与えた2017年のフジロック・フェスティバルは、2日目の7月29日(土)の1日券、2日券、3日通し券が完売し、7月27日の(木)前夜祭は15,000人、7月28日(金)は32,000人、7月29日(土)は40,000人、7月30日(日)は38,000人と延べ125,000人が来場した。
まず、21回目のフジロックのトピックのひとつが“雨”だ。ここ最近、フジロック期間中は晴天に恵まれていた苗場を大雨が見舞う場面もあったからだが、長靴とポンチョ姿で楽しみ倒す自らやオーディエンスを客観視すると、「どうして雨なのにこんなに楽しいのか」という素朴な疑問をふと抱いた。この2年くらいはそれぞれのリュックの中で眠っていたカラフルで良質な雨具は会場で誇らしげに使用されているように映り、「山の天気は変わりやすいから」という教えがちゃんとフジロック参加者に刷り込まれ、普段はアウトドアに馴染みがなくてもしっかりと装備をして臨むひとが増えていることを実感できた。極限まで心配のたねを減らして快適に過ごす工夫をするのもフジロックの醍醐味のひとつだろう。だからもし雨のフジロックに悲壮感をイメージしていたら、それは邪推だ。「晴れて暑いより涼しくていい」「砂埃のほうがノドが痛くなって困るよね」などと、フジロック仲間と会場で出会うたびに前向きな挨拶を交わした。
そういったフジロックらしさをまさに体で感じたとともに、参加層の傾向や、会場設備の進化も見受けられたと言える。そして、ラインナップ発表がおこなわれるたびに話題になった素晴らしいアーティストが繰り広げたステージについて、3日間の様子をいまいちど振り返りたい。
◆Fuji Rock Festival'17 : DAY 1〜3 映像
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今年のリストバンドは、“ゴンチャン”がデザインされていて入場時からテンションが上がる。ロンドンのアーティストであるゴードンによるこの目玉付きの石は、フジロック会場のあちこちで見かける最早おなじみのキャラクターであり、ライブが行われるだけではなくアートも交えた総合空間であるフェスを象徴する。そして、入場ゲート前では昨今ではもう当たり前のようになった記念写真の撮影大会が繰り広げられていた。涼しい曇り空の下、受け取ったばかりの携帯用タイムテーブルを見つめながら早くも苦悩してしまったのは観るべきアクトが多いためだ。特に初日は。もちろんその全てを観ることはできないので、「諦めが肝心」の精神を今まで同様に持ちつつも、それにしたって今年は会場内での移動が多かったように思われる。そのため、あちこちで素晴らしい音楽が同時多発的に鳴り響いているという、音楽フェスならではの幸福感を実感せざるを得なかったのだが。
初日も、昼過ぎという早い時間帯から、UKの有望大型新人SSWラグンボーン・マンが登場し、2メートル近い巨体から説得力のかたまりのような歌をグリーンステージから響かせていた。もっとシンプルなソウルシンガーだと思っていたが、リズムやサウンドメイクが多彩で芳醇なブラックミュージックとして聴かせてもらった。当たり前の話だが、ライブとは伝聞されて蓄えた知識をやはり凌駕するものだ。2曲目からもう「前前前世」を披露し、「DADA」や「おしゃかしゃま」といったハードな演奏やセッションでスーパープレイを果たし、喉元にメッセージを突きつけるような鮮烈なナンバーを繰り出しながら、最後はレゲエ風の牧歌的な味わいの「いいんですか?」を届けたRADWIMPSもそうだろう。ライブ序盤は前の方にいたバンドのファンに支えられながらも、グリーンステージに見合う音楽のコミュニケーションを壮大に遂げていき、RADWIMPSのライブ初見のオーディエンスに彼らのハイブリッドな音楽性を伝えた好機だったと思う。
▲RADWIMPS
個人的には、2日目、会場の最果てに位置するステージ“Café de Paris”で加藤登紀子が絶唱した「愛の讃歌」の信じられないほどの躍動も一生忘れないだろう。ちなみに同タイミングのジプシー・アバロンでは、“エセタイマーズ”として忌野清志郎が率いたTHE TIMERSのトリビュート・ライヴがおこなわれていたことにシンクロニシティも覚えた。
1日目のグリーンのトリ前に登場したのが、今年のベストアクトという評価も各所で得ているエックス・エックスだ(筆者もそう)。初年度はレッドマーキー、2年目はホワイトというフジロック出演におけるストーリーにもグッと来るが演奏そのもので見事に期待に応え、ストイックでミニマムなスタイルを通底させながら、ダンスビートが一気にオーディエンスを解放するナンバーを交えステージを完成させていた。溜息のような最後の灯火のような、ふたりのデリケートな歌声と洗練されたサウンドが、夜、聴き手の精神が研ぎ澄まれるあのひんやりとした苗場の空の中で放たれていくという絶対的な幸福……一音が、一声が、心臓にどストレートに入ってくるエックス・エックスの楽曲の本領が発揮された瞬間に立ち会えたと、胸を張って言える。
▲エックス・エックス
SNS上でもその興奮はたくさん語り継がれていて、中には「トリでもいいくらいだった」という声もあった彼らの次に登場したのがゴリラズであった。幕の後ろで演奏していたのは昔のこと、6月に行ったゴリラズ主催のフェスティバル<Damon Dayz Festival>同様にデーモン・アルバーン含むメンバーは姿を現し、めちゃくちゃゴージャスなコーラス隊をはじめとしたハイクオリティなパフォーマンスがヘッドライナーに相応しい。デーモンも客席に降りてマイクを向けフレーズを歌わせるなど、かなりショーアップし盛り上げてくれた。
▲ゴリラズ
さらにこの日は、ちゃんと姿を現したホワイトステージのクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ、フィールド・オブ・ヘヴンのライ、レッド・マーキーのサンファやアルカなど、ビッグアーティストや旬のアーティストによる名演が続いたのであった。

▲クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ

▲ライ
今年のフジロックは、注目のアーティストが集うことの弊害ももちろん起こっていて、小沢健二(2日目)やレキシ(3日目)のホワイト出演時には入場規制がかかり、グリーン〜ホワイト間はカオス的な雰囲気が漂っていた。予想通りアクトに対してステージが小さかったのだろう。今年はこの道が舗装され歩きやすくなっていたため、少しはストレスも緩和されたかもしれない。ホワイトステージも踏み固められており、もし去年のように晴天続きでも砂埃の影響は減りそうだ。筆者も、事前の気持ちとしては小沢健二のライブをぜひ観たくてホワイト直前のところ天国付近まで来たものの、すでに人で溢れ返っているその様子から、自分よりもっと観たがっている人がいることを実感してそのまま川べりでビールと酢醤油味のところてんを味わいながら十分に聞こえてくる「今夜はブギー・バック」「ぼくらが旅に出る理由」をはじめとしたヒット曲の数々を合唱し、楽しい時間を過ごした。

▲ホワイト・ステージ
こうした人混みのなかで一番のストレスとなったのは、折りたたみ椅子を折りたたまず担いで移動する人の存在で、ボードウォークでこれを目の前でやられた時は気が抜けなかった。椅子の足は切っ先のごとく他人に向けられる。来年以降に向けて、こうした行いを主催者サイドに見張ったり禁止してもらう前に、参加者は一度、自分の行いを想像してみて欲しい。できるだけ規則を作らずやってきたフジロックの信念を理解して欲しい。今やフジロックが夏の風物詩的に安定して毎年開催されているからと言って、参加者がいい加減なことをしていてはダメだ。自由と身勝手は真逆にある。禁止されている傘を使っている人もたまーにいた。フジロックは私たちすべての音楽ファンのものなのだから、自分達でフジロックを作り、守らなければならない。大義名分に聞こえてもいいから、改めてそんなことを書きたくなってしまった側面も今年のフジロックにはあった。
◆レポート(2)へ
自己中心だと本当の意味では楽しめないから、フジロックはおもしろいのだと思っている。ギブ・アンド・テイク、もしくは、ギブ・アンド・ギブの精神のほうがずっと楽しめるのがフジロックであり、だからこそ、人生を体験しているという感覚がこの数日間にはあるのだろう。体はとことん疲れるし、さらに言えば大自然のなかで命の危険もあるから、自己が丸出しにされるのだろう。出演アーティストはステージ上でライブをおこない“矢面に立つ”が、我々オーディエンスだってそれぞれの人間性が試される瞬間を味わうことができるのだ。人間性が鏡のように映る。特に今年は雨天。もし目の前の子供が倒れたら、救い起こすことができる余裕が自分にあるか? 雨という悪条件でも可能な備えができているか? 常にたくさんの人で賑わっていたキッズエリアの浸透もあってか、年々、子供連れの参加も確実に増えているのだ。
そんなことを自問自答していたのは、雨がずっと降り止まず、だがしかし会場内を歩き回っていた2日目のことだ。フジロック公式ファンサイト「FUJIROCKERS.ORG」でのSMASH代表・日高氏のインタビューで紹介されていたアメリカのバンド、ウェスタン・キャラバンを観にヘヴンに向かっているときである。生粋のカントリー・ミュージックが初めてフジロックに登場するというこの機会には、思い思いに演奏を楽しんでいるいかにも音楽ファンな人々が年代問わずたくさん集まっていて、ペダル・スティール・ギター含む7名が、心に染みるバラードを響かせたりホンキートンクな空間を作っていた。その光景にはフジロックならではの音楽的な豊かさがあり、なかなか激しく振っている雨量も自ずと気持ちよさに変わってしまう。

▲フィールド・オブ・ヘブン
幸せな気分でそのまま奥地へ歩みを進めていくと、アバロンのエリアにたどり着く。そう言えば、ホワイトからアバロンへと向かうこの道の脇には切り株の椅子がいくつか用意されており、森の中に身を置ける休憩スポットができていて、会場はいまだにアップデートされていることを教えていた。レッド・マーキーの天井にも今年から新しい照明がつき、コンピュータ制御のLEDライトで「キネティックライト」と言うそうだが、とてもカラフルに変化し、今年充実していたクラブ系アーティストの各パフォーマンスをさらに盛り上げていた。

▲レッド・マーキー
アバロンは、フィールド全体の電力をバイオディーゼルや太陽光等のソフトエネルギーでまかない、CO2排出量の削減に取り組んでいるエリアであるが、ライヴ・ステージであるジプシー・アバロンを中心に、NGO村や、エコ雑貨などを販売するオーガニック村、ワークショップなどが集結している。ここで同じくSMASHが主催するキャンプイン・スタイルの秋フェス<朝霧JAM>のボランティアが運営する朝霧食堂の存在を認めると、「フジロックの3日間が過ぎ去っても次は朝霧がある」と自分を慰めた。特に今年の朝霧は(10月7日〜8日開催)、ベルセバ、サチモス、カール・クレイグ、UA、エゴ・ラッピン、ウィルコ・ジョンソンなどなど豪華なラインナップを誇るのだ。
フジロックの会場はエリア間に距離がありながらもこうして感じるものも多く、そうこうしているうちに辿り着いたオレンジ・カフェは、清々しいほどの泥地が広がりながらも(笑)、避難するには最適なフジロック唯一の屋根付きの大型フードコートには案の定溢れんばかりの人々が安らいでいた。昨年から登場したエリアだがさらにスペースが広くなったようだ。そんな景色の先で賑わいを見せていたのが桑田研究会バンドで、彼らは茅ヶ崎市公式行事に毎年招聘される実力派であり、昨年のオレンジ・カフェのパフォーマンスが話題になったサザンのトリビュートバンド。突然聴こえてきたクオリティーの高い「勝手にシンドバッド」の享楽に、つい15分前に聴いていたカントリー・ミュージックとのギャップを存分に味わい、その振り幅はいかにもフジロックらしかった。“トリビュート”という音楽史に脈々と受け継がれるスタイルも体現していた。しかもこの直前の同ステージには、まねだ聖子が、この後には王様が登場していたのだからフジロックは多様で自由だ。
加えてその意味では、今年から客席が少し広くなってちょっと見やすくなった苗場食堂で観た“むぎ(猫)”も、「意外とよくMCするんだ」と驚きつつも、演奏がはじまるととても曲がよく、これだけ子供も大人も笑顔にする理由をダイレクトに知れたアクトだった。

▲苗場食堂
雨と言えば、2日目のグリーンでトリをつとめたエイフェックス・ツインのステージは、まるで演出のように雨脚が強くなっていき、一瞬の油断も許さない怒涛のような音とゴシップネタまで網羅したVJの攻撃性を高めた。刺激的な空間のなかでタガが外れたように踊り狂う人の姿も認められた。その後も、7年ぶりにフジロックに出演したLCDサウンドシステムで私たちは共に歌い踊り、さらにレッド・マーキーのMONDO GROSSOでは満島ひかりが登場するわ、AM1時30分というピークタイムに現れたニーナ・クラヴィッツが信じがたくクールだわで、今年のラインナップの厚みを思い知った。余裕を持って3日間を過ごすべきだとわかっていながら、場内を歩き回ざるを得ないことが理解してもらえるだろう。


▲エイフェックス・ツイン

▲LCDサウンドシステム
そのためのダイレクトな栄養補給がフェスごはんになるわけで、フジロックのごはんは特に量と味に定評があるのでできるだけ食すべきだし、お気に入りがきっと見つかると思う。だから今回のフジロックで個人的な一番の番狂わせも、ここ最近必ず食べていた「博多もつ鍋うみの」のちゃんぽんが本店の閉店により食べられなかったことだった……いつまでもあると思うな◯◯的な切なさを知りながらも、今まではカレー系しか食べたことがなかったオアシス・エリアの人気店“ジャスミン・タイ”のタイラーメンの美味しさに気づき喜んでもいた。
◆レポート(3)へ
メディアやSNSで言及されている“今年の客層”についてだが、ひとりで来ている中高年の多さが気になったということはなかった。移動中にたまたま「今回は全体的に90年代に思いを馳せてる気がする」という他人の会話が耳に入ってきたのだが、そういうアーティストを目当てに来た人も多くいた年だろうし(もちろんそういったアーティストは現行のミュージシャンとしてのステージをしっかり見せてくれた)、それにフジがスタートしてから20年のあいだに年を重ねた人々がそのまま参加し続けているという素晴らしさの表れでもあるのだろう。たとえば、筆者も当時のレポート
で触れたように、
「邦楽が増加した」とされた2015年のフジロックは、いわゆるキッズ的な若者が会場に多く見られた。ONE OK ROCK10-FEET星野源椎名林檎、[Alexandros]、the telephonesがグリーンに出演し、ゲスの極み乙女。キュウソネコカミらもレッド・マーキーに登場したことが直結したのだろう。フェスのブッキンとは、まるでプレイリストのようにアクトの流れや自ずと湧き上がってくる開催年独自のテンションが生じるからとても興味深いのであって(今年は特にそう)、だから客層がそれに左右されるのは至極自然なことのはずだ。また、子連れの欧米人、若いアジア圏の人々などの姿が今年は多かったようだが、フジロックがわざわざ訪れたくなる世界的な名所のひとつとして定着していることを物語っていたのだと思う。
それと改めて言っておきたいのが、まだ参加したことのない人にはフジロックの会場はまるで無人島のようだと想像している人もいるようだが、それはない。まず最寄り駅の越後湯沢駅には一式の服装が揃いそうなアウトドアグッズの販売店があり、場外エリアにはもしもの時に安心なATM車、あとは宅急便の受付所もあるし、会場内外のほぼ全ての飲食・グッズの購入に各種電子マネーが使用可能になったほどだ。
連れが見つからないという人は、むしろひとりで楽しむのがおすすめ。フジロックだけで再会する遠方の知り合いの存在があったり、車で大勢でワイワイと来るのも勿論楽しいが、ひとりで動いている人なんて山ほどいるから何も寂しくない。それにこのご時世、何かを人に伝えたくなったらSNSに投稿すればいい。音楽談義や批評が乱発している。好きな格好をしている道行く人の人間観察も面白いし、「隣の人がテントの神様みたいな人で、1時間悩んでたのに10分で組んでくれた!」という女子の嬉々とした話が耳に飛び込んできたりもする。自由に動き回ったり休憩できるから、ふらっと立ち寄ったオアシスで「いつもはソロだけどフジロックのためにチームを組んだ」「他の仕事を蹴って苗場に来た」と話して全身全霊でワザを披露する大道芸人に出会ったりもする。フジロックにかける気持ちの大きさはミュージシャン以外もこんなに巨大なものであり、フジロックが総合的なアート/エンターテイメント空間だと再認識したりできるのだ。
アート/エンターテイメント空間と言えば、場外エリアのパレス・オブ・ワンダーで深夜におこなわれていたフランスのバイクスタント集団“インファーナル・ヴァランズ・メガ・グローブ・オブ・デス”によるスリリングなパフォーマンスにも、人だかりができていた。このエリアは、本当に人を眠らせない(笑)。
▲パレス・オブ・ワンダー
◆レポート(4)へ
話をアクトに戻したい。タイムテーブルの発表時から話題になっていたものの想像以上のすさまじい体験となったのが、3日目のグリーンステージにおけるYUKI→ロード→ビヨークという流れだった。自己の存在意義を伸びやかに歌う姿が、彼女の音楽人生はいつでも全盛期であることを伝えていたYUKI。バックバンドを従えていたもののステージでは彼女だけがライトアップされ、時に天井を仰ぎ、時にステージの前っぺりに腰掛け、終盤は裸足になって常に動的なステージングを見せながらも、フジロック出演の喜びをMCでチャーミングに語り倒していたロード(ライブ後のTweetもとてもキュンときた)。今回も見たことのない生物のような装いで出現し、オーケストラ&アルカと共に表現した壮大な音楽がまたもや苗場を宇宙にし、最早安定のステージを繰り出したビヨーク(ロードからの転換中のBGMが日本の民謡というのも面白かった)。巨大なステージを掌握するそのたくましい歌姫たちの姿は怖いほど美しかった。ちなみにこの日の夕方にカフェ・ド・パリに登場した戸川純 with Vampilliaのライブも凄まじい熱気だったとTwitterで目にして悔しかった。
▲YUKI
▲ロード
▲ビヨーク
そしてYUKI→ロード→ビヨークののち、極めつけのように青葉市子を観に行ったピラミッド・ガーデンに酔いしれたのだった。無数のキャンドルが灯されるそのステージに青葉市子が降り立ち歌うと桃源郷が出現した。遅ればせながら初めて入った夜のピラミッド・ガーデンの静寂と素晴らしさよ……この3日間にわたり目にしてきた熱狂のステージの数々から一転したその光景に、フジロックにはまだまだいくらでも新しいシーンがあることを知った。

▲ピラミッド・ガーデン
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まるでどこから食べても餡が詰まっているように、見どころに溢れた2017年のフジロック・フェスティバル。そして3日目のゲートには、「SEE YOU IN 2018!! 7/27 fri. 28 sat. 29 sun.」のメッセージが掲げられ、明日からフジロスを患う人々を今年も勇気づけていた。それに、
BARKSでお届けしたSMASHスタッフのインタビュー
によれば、「終わったらすぐ翌年のブッキングが始まる」のだという。すでに次回のフジロックが水面下で動き始めていると思うと、楽しみ以外のなにものでもない。
そして最後に。日本にフェス文化をもたらしたフジロックはこうして21回目を終えたわけだが、世界に誇るこのフェスは、豪華な出演者以外にもフェスとしての理念込みで一般層まで定着していると感じる機会が最近多かったがゆえに、前述の折りたたみ椅子問題、それに雨も大きく影響したのだろう、ゴミやキャンプ用品が放置されている様子もSNS等で拡散されていたことは意外だった。我々参加者は、この状況を真摯に受け止め、今一度、フジロックが掲げる「自分のことは自分で」「助け合い・譲り合い」「自然を敬う」というスローガンであり、人としてベーシックなこれらの発想を見直し、改めて発信するタイミングにあるのかもしれない……考え方や生き方をも提案するフジロックフェスティバル。今後も、その動向を追い続けていきたい。
取材・文=堺 涼子(BARKS)
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