アルバム「M25」をリリースしたmilk
tubのbamboo「ゲームもクラウドファ
ンディングも全部バンドに繋がってい
る」

 「有頂天家族2」のオープニングを担当し、6月に結成25周年記念アルバム「M25」をリリースしたバンド「milktub(ミルクタブ)」。ボーカルのbamboo(バンブー)は、PCゲームのプロデューサー、クラウドファンディングのキュレーターとしての顔をもち、バンド活動とも深い関わりがある。アルバム制作のエピソードを通して、彼独自の自己プロデュース術を聞いた。
――バンドを始めるきっかけは、なんだったのでしょうか。
bamboo:中学校のとき、好きな女の子が洋楽とバンドが好きで、それでやり始めたんだと思います。当時はバンドブームの少し前で、盛り上がりつつある頃でした。
――バンドブームの頃から今にいたるまで活動を続けているニューロティカZIGGYがお好きだそうですね。
bamboo:あの頃から好きだったものを、ずっと引きずって今にいたる感じですね。
――その後、どのような経緯でアニメソングを歌うことになったのでしょうか。
bamboo:もう単純に、ランティスさんから「歌ってみない?」と言われて、「歌いまーす」というやりとりがあったからです。それで、「バカとテストと召喚獣」のエンディングを担当することになりました。その前から僕はゲームのプロデューサーとして、ゲームを題材にした曲作りは死ぬほどやっていて、物語という意味ではゲームもアニメも大きく変わらないと思います。主題歌であれば、特攻隊長として最初にお客さんの耳に届くものであるし、エンディングなら物語を締める曲になる。そうしたコンセプトは変わりませんから。最初に「バカテス」のお話をいただいたとき、ランティスの方に「誰が歌うの?」と聞いたんですよ。僕は曲を書くのかなと思って。
――PCゲームの主題歌では、そういう関わりですものね。
bamboo:そう聞いたら、ランティスの斎藤滋が、「bambooさん、あんたやで」と言って、「ええっ、マジで!?」みたいな(笑)。どうして僕らを選んだのかを聞いたら、「タイトルに『バカ』がついているからbambooさんかな」だそうで(笑)。そんな風に、いたってイージーな決まり方でした。「有頂天家族」のときは、「この作品は『阿呆』がテーマだから」という話でした。バカやアホがつくと、ランティス内ではmilktubに話が回ってくるみたいです(笑)。僕らはずっと、「速くて、おバカで、かっちょいい」をスローガンにバンド活動をやってきましたのでピッタリなんですけどね。格好いい人たちは、いっぱいいますから。
――「おバカ」と「かっちょいい」は分かりますが、「速くて」とは何が速いのでしょう?
bamboo:曲が速いんです。BPM180以下は全部バラードだと言ってましたから。最近は寄る年波に勝てず、テンポを下げようか迷っているところですけれど。
――初めて自分の歌がアニメで流れたとき、どう思われましたか。
bamboo:ちょっと感動しましたね。自分の会社で作った美少女ゲームがアニメになったときに曲を作りましたが、まさか自分の歌がアニメに流れるとは考えていませんでしたから。素直に「すごーい」と思いました(笑)。僕は役者でも専業シンガーでもないですから、4年おきぐらいにアニメの話がきたときには、がっちり作って歌わせてもらっている感じですね。
――6月に発売された25周年アルバム「M25」の制作は、どんな思いからスタートしたのでしょうか。
bamboo: 25周年のアルバムは出したくて、前からランティスさんに相談をしていたんです。年も年ですからあと何枚だせるか分からないですし、1枚1枚大事に作りたいとも思っていました。これまでのmilktubは、僕が作詞で、光(一番星☆光)が作曲でずっとやってきましたが、「M25」では25年目にして初めて自分で曲を作りました。遠藤会のメンバーでもある鷲崎健の影響で、40歳すぎてアコースティックギターをやり始めたからなんですけど。そんなこともあり今回は特に思い入れが強く、ぜひ沢山の人に聴いてほしいなと思っています。
――アルバムには、ライブを収録したDVDも同梱されていますね。
bamboo:「有頂天家族2」のオープニングで僕らを初めて知った人に、「こんなライブをやってます」と知ってほしかったんです。ライブでは、昔のナンバーもやっていますしね。DVDだけなく、MV(ミュージックビデオ)もジャケットも、今回は中途半端にしないで全部振り切っていこうと思い、ランティスさんには、大変なわがままをきいてもらいました。
――なるほど。初めてアルバムを手にした人が、DVDでライブの様子を見て、行ってみようかなと思えるようにしたかったと。
bamboo:DVDにはライブの定番ナンバーを全部入れています。そういう意味でも、25年の結晶のようなアルバムになりました。自分が今まで関わった音源の中で、たぶん「M25」がいちばん好きなアルバムですね。やっとファーストアルバムを作れたような気持ちです。これまでランティスさんからはベストを含めて6枚のアルバムを出していますが、迷走して何を作ったらいいのか分からない時期もありました。3枚目ぐらいから方向性がかたまってきて、やっと「M25」で完成したというか、やっぱり目的地はここだったというか……。「これがmilktubです」と言えるものが作れた気がします。

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