武田信玄役の松平健

武田信玄役の松平健

「強いだけではない、信玄の人間味を
出せれば…」松平健(武田信玄)【「
おんな城主 直虎」インタビュー】

 物語の序盤から幾度となくその存在がほのめかされてきた“甲斐の虎”武田信玄が、満を持して第28回(7月16日放送)から登場。勢力拡大を狙って、窮地に陥った今川に襲いかかろうとしている。平和な国造りを目指す直虎(柴咲コウ)の運命を大きく左右することになるこの戦国大名を演じるのは、「義経」(05)以来、12年ぶりの大河ドラマ出演となる松平健。若いころから演じてみたかったという信玄役に込めたその思いとは。
-武田信玄役をオファーされた時のお気持ちをお聞かせください。
 今までいろいろな武将を演じてきましたが、武田信玄は若いころからやりたかった役なので、とてもうれしかったです。出番は多くありませんが、自分なりの信玄を作って行ければと思っています。
-信玄のどんなところに魅力を感じますか。
 戦国ものというと天下取りの物語が多くなりますが、実際の戦国大名の中には、自分の野心のために天下を狙う人と、世の中を良くしたいという思いから天下統一を志した人がいました。信玄は、その後者の方だと思っています。信玄は領民に対しては手厚い保護をするなど、領土愛にあふれていましたが、領地の甲斐は山に囲まれた何もない土地でした。その領民たちの幸せを願う気持ちが、日本全土を豊かにしたいという思いにつながって天下統一を目指した人です。その反面、他の土地を奪って皆殺しにするような冷酷さもあるのですが。そういう人間味が面白いですよね。
-実際に演じてみた感想はいかがでしょう。
 やっぱり面白いです。少ない出番の中でいろいろな面を見せたいと思って、台本に書かれていない部分も工夫しながら演じています。強いだけでは面白くないので、自分が長年抱いていた信玄のイメージを反映しつつ、人間味を出せればと。演技については自由にやらせてもらっていますが、やんちゃだったり、かわいらしいところも見せたりして、いろいろな表情を出せていると思います。
-信玄については、これまでもこのドラマの中で度々話題になってきましたね。
自分が出ていないところで、いろいろな人が武田を脅威に思っている様子が描かれているので、とても楽です(笑)。とはいえ、出てきた時に脅威的に見えないといけないので、短い出番でしっかり脅威を感じてもらえるように心掛けています。
-そり頭にひげ面というスタイルはいかがですか。
 衣装さんに用意していただいたものなのですが、イメージ通りですね。写真でも十分個性的ですが、動いたらもっと面白いですよ(笑)。ただ、あの特殊メークをするのに2時間ぐらいかかるので大変です(笑)。
-ご自身で工夫された信玄の見どころはどんなところでしょうか。
 ある回で、うれしさのあまり、踊り出す場面があります。喜びを体で表現しようと思って、所作指導の先生からも「これぐらいならいいでしょう」と確認を取った上でやってみたら、現場でみんなが笑ってくれました(笑)。そこは楽しみにしてほしいですね。また、台本では「ひげをむしり取る」と書いてあった場面も、もっと気持ちが伝わるように、刀で竹を斬る形に変えてもらいました。数少ない刀を使う場面なので、こちらも期待してください。
-初登場となった第28回では、浅丘ルリ子さん演じる寿桂尼と対峙(たいじ)する場面がありました。感想はいかがですか。
 浅丘さんとは、私のデビュー作で相手役をさせていただいて以来、40数年ぶりの共演だったので緊張しました。でも、いつまでもお若くて、変わらないですね。寿桂尼も、したたかさみたいなものが感じられて。あの場面は、寿桂尼も信玄も腹の中に一物抱えて、互いに探り合うような芝居だったので、やりがいがありました。
-大河ドラマへの出演は、「義経」(05)以来になりますが、久しぶりに出演された感想は?
 やっぱり、セットが豪華です。衣装やメークにも手がかかっているし、出演者もすごいし、いろいろと惜しみなく注ぎ込んでいて、ぜいたくですよね。
-数々の時代劇に出演してきた松平さんから見て、江戸時代を舞台にした作品と戦国時代を舞台にした作品の違いはどんなところに感じますか。
 江戸時代の場合は、もう天下泰平の世の中ですから、どこかのんびりとした侍像になりますが、戦国時代は生死を懸けた毎日なので、やっぱり表情にも緊張感が求められます。戦いの場面も、20人程度を相手にする江戸時代と違って、戦国時代は何百人から何万人という規模の戦が多くなりますから、馬の数やよろいかぶとといった装束のきらびやかさも加わって、迫力が増しますよね。
-武田信玄を演じる上で、参考にされた俳優さんはいらっしゃいますか。
 自分の師匠に当たる勝新太郎師匠です。
-勝新太郎さんというと、黒澤明監督の『影武者』(80)で信玄役に起用されながら、撮影途中で降板したという話が思い出されます。その役を弟子に当たる松平さんが演じるということで、運命的なものも感じますが、何か思うところはありますか。
 どう演じるかを考える上で、師匠だったらこうやるんじゃないか、と思いを巡らすところはありました。出番が多くないので、どこまでそういうものが出せるか分かりませんが、多少なりとも伝わったらいいですね。
(取材・文/井上健一)

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