家入レオ インタビュー “音楽は自
我じゃない”と実感して生まれた新作
「ずっと、ふたりで」を紐解く

4月30日に行った自身初の日本武道館公演も大成功。新たなステージに突入した家入レオが、7月26日に5周年第1弾シングル「ずっと、ふたりで」を放つ。日本テレビ系日曜ドラマ『愛してたって、秘密はある。』の主題歌になっている本作は、大切な人の光と影をテーマに、繊細で温かみのある家入の歌声が切なく沁みるミディアムバラードだ。カップリングには猫目線で想いを綴ったキュートなナンバー「だってネコだから」、CMでもお馴染みのカバー曲「ヒーロー」を収録。実に多彩な1枚となっている。また、同じく7月26日には初武道館の模様を収めたライブ映像作品『5th Anniversary Live at 日本武道館』も同時リリース。さらに9月にはZeppツアーも。やりたいことは何でもやりたいと意欲を見せる家入に話を聞いた。

――初武道館を成功させて、気持ち的にいかがですか?
すごく楽になりました。自分の中でずっと感じていた気持ちに1つ答えが出て、それがわかっただけでも、ほんとやって良かったなと思っています。
――自分の中で感じていたことの答えというのは?
もしかしたら3ヶ月後とか1年後には全く違うことを思っているかもしれないんですけど……今すごく感じているのは、音楽は自我じゃないんだなっていう。普段、生活しているとキツイことっていろいろあるじゃないですか? そういう日々溜まっていくものをステージで解放する、ゼロに戻すっていうのが、これまでの私のライブスタイルだったんですね。そうすることで来てくれたお客さんも何かをさらけ出せたり、気持ちを解放できるかなと思って。でも武道館は5周年の節目でもあるし、一夜限りのライブでもあったから、とにかく感謝の気持ちオンリーで歌ったんですよ。それまでのゼロに戻すスタイルとは違う、ある意味ちょっとブレーキがかかった状態というか。だから、表現の余力が残った……本当はもっとこういう歌い方ができたんじゃないかとか、正直ちょっと苦しい部分もあったんです。でも結果的に「武道館ライブ、本当に最高だった!」って多くの人に言ってもらえて。その時に“あぁ、音楽は自我じゃないんだな”ってすごく思ったんです。
――なるほど。
で、今回の「ずっと、ふたりで」もそうなんですよね。この曲は歌詞も曲も杉山勝彦さんが書いてくださったんですけど、自分で作った曲だとどうしても自我が出てしまう。だから他の人に頼みたいっていうことをスタッフさんに言って、杉山さんにお願いしたんです。
――なぜ杉山さんだったんですか?
学生時代、中島美嘉さんの「一番綺麗な私を」(作詞・作曲・編曲:杉山勝彦)を聴いて、いつかこの方と一緒に曲作りをしたいなと思ってたんです。でも何かの時、杉山さんは全部ご自身で曲作りをやる方だっていうのを聞いて、じゃあ縁がないかもしれないなぁって。当時私は“この人と一緒にやってみたい”っていうのは常にあっても、自分が制作に全く関わらずに人にお願いするっていう考えは持ってなかったから。でも今回こういうタイミングで杉山さんにお願いしたら、杉山さんも「実は自分もずっと家入さんの曲を書いてみたいと思ってた」って言ってくださったんですよ。「書いてみたいと思ってたけど、家入さんは自分で曲を書かれる人だから難しいだろうなと思ってたんです」って。
――お互い同じようなことを思ってたんですね(笑)。
そう(笑)。だから、それを聞いた時はすごく嬉しかったですね。
家入レオ  撮影=上山陽介
――この「ずっと、ふたりで」は7月16日スタートのドラマ『愛してたって、秘密はある。』の主題歌になっています。曲をお願いする時、レオちゃんのほうから杉山さんに何かオーダーしたことはあったんですか?
いえ。自我を取り払うっていうのが1つ、私の中のテーマだったので、基本はほとんどノータッチです。でも、曲が上がってきた時はビックリしました。実は今回、曲をお願いする時、杉山さんにはドラマの主題歌だってことはお伝えしてたんですけど、台本の内容までは話してなかったんですよ。にもかかわらず、これだけハマった歌詞だったので。
――ドラマは“父親を殺した”という秘密を抱えた男性が主人公で、この曲も大切な人の光と影がテーマ。しかも歌い出しの歌詞が<あたしを全部知ってしまっても/変わらず好きでいてくれるかな?>ですからね?
そう! 本当にビックリしました。で、声を当ててみて“あ、絶対この曲だ!”と思って。なんか、自然の力に身を任せているとちゃんとなるようになるんだなと思いましたね。
――歌う時は、人が作ってくれた曲という部分で、いつもと意識の違いはありました?
自分の曲だといつも“もっともっと”みたいになるんですけど、この曲に関してはいい意味でヘンな欲が出なかった。それは別にいい加減に歌ったということでは全然なくて、いいバランスで自分にOKが出せた、みたいな。曲の持つ力を最大限出せた歌になったんじゃないかなと思います。
あと、今回のレコーディングで改めて考えさせられたのが、個人的な音楽との向き合い方で。今この時代って、歌が簡単に考えられすぎてると思うんですよ。歌うことは正直、誰にでもできることだから。プラス、自分で曲が書けないとダメだとか、ダンスができないとダメだとか……プラスαの力をすごく求められる。でもそうじゃなくて、歌って誰にでもできることだからこそ、そこに歌自体の説得力が必要だと思うんです。そのためにも、例えば“今回、家入は曲を書いてないけど声だけで存在感があるよね”とか、そんなふうに言ってもらえるように常に自分の歌を磨いておかなきゃいけないなと思ったし。杉山さんのような音楽家の方が大切に作ってくださったいい曲を“これ、自分が歌いたい!”と思うアーティストはごまんといると思うんです。その中でも“いや、これは家入レオに歌ってもらいたいんだ。家入レオじゃなきゃ困る”って思ってもらえるように、常に自分を磨いておかなきゃいけないなって。今回そんなふうにいろいろ考えたり気づくことも多くて、そういう意味でも挑戦できてよかったなと思います。
――実際、レオちゃんの歌声が印象的な繊細さも温かみもある曲になりましたよね。ちなみに……この曲が流れるドラマは、さっきも言ったように主人公が秘密を抱えているわけですけど、レオちゃんも秘密は持ってたりします?
秘密を話したら秘密じゃなくなる~~!(一同笑)
――そりゃそうだ(笑)。では逆に、例えば恋人がいたとして、その人から秘密を打ち明けられたら?
秘密の内容にもよりますけど、法に触れないものであれば、それまでどおり接すると思います。相手の人もそれが一番安心するだろうし、男女だとそういうものがむしろ結びつきを強くする部分もあると思うんです。でも、ドラマのように秘密の内容が“父親を殺した”とかだったら、“一緒に自首しよう”って言いますね、さすがに(笑)。
――(笑)。ドラマが始まったら観ます?
もちろん観ます! 特に初回は自分の曲がどこで使われるのかな?っていうのが気になるので。
――今まで主題歌を担当したドラマも。
しっかり観てました! 「Silly」の時なんて“ヤバイ! 今日(曲が)全部フルで流れた!”とか、「君がくれた夏」も“あれ!? 今日ドラマ中に4回もかかった!? 嬉し~い!!”みたいな(笑)。
――ドラマをチェックして、いちいち喜んでるレオちゃん、可愛いです(笑)。
あはははは!
――可愛いと言えば、今作2曲目の「だってネコだから」も超キュートな曲ですね。
藤原さくらちゃんとすごく仲良くて。これはさくらにオススメされた洋楽のCDを聴いて、自分も肩の力を抜いた曲を作りたいなぁと思ってできた曲ですね。ピアノで作りました。
家入レオ  撮影=上山陽介
――今、作曲する時はピアノとギター、どっちが多いんですか?
ピアノです! 最近、ピアノが大好きで。朝起きて、ピアノがある部屋で弾くことが多いんですよ。
――そんなにピアノが好きになったきっかけというのは何かあったんですか?
去年の冬ぐらいにお家にピアノを買ったっていうのが大きいかも。で、ピアノを置いている部屋が真っ白なんですよ。ピアノも白なら、カーテンも白、壁紙も机も白っていう。そこに大きな窓から光が入ってきて、その中で歌っていると、ちょっと猫になったような気分になって……っていうのが、今回のヒントになったのと、普段から“レオちゃんは猫っぽいね”って言われることが多いので、歌詞はそこから猫視点で書いていきました。
――猫視点ですぐに思い浮かぶのは「吾輩は猫である」ですけど。
夏目漱石の? そこは全然意識してなかったです(笑)。でも実際、猫視線で書いてみると、自分が主人公だったら言えないようなこともサラッと言えるんですよね。
――<もっと かまってよ/甘えたいな>とか。
そうそうそう。そんなことも重くならずに言えるので、こういうのもいいなって思いました。でね、今回勉強になったのが、この曲はぐっさん(山口隆志)がアレンジしてくれたんですけど、最初歌詞を送った時、落ちサビに行く前の歌詞を<わたしにだけそっと教えて あなたの弱さ>みたいなことを書いてたんです。そしたら「男は弱さを見せろって言われたら見せたくなくなるんだよ」って言われて、あぁそういうもんなんだ?と。それで、その箇所を<そっと教えて あなたの夢の続き>に変えました(笑)。
――素直なレオちゃん(笑)。
あははは! なるほど~、勉強になるなぁと思って(笑)。
――3曲目の「ヒーロー」はCMソングとしてもお馴染みの、ウルフルズのカバー曲です。
これはCMのお話をいただいてお引き受けしたんです。歌う時はトータス松本さんをリスペクトしつつ、アレンジも爽やかに変えて、“自分の曲です!”くらいの気持ちで歌わせてもらいました。
――表題曲は新たな挑戦曲だし、2曲目も猫視点というこれまた新しい要素が入った曲で、3曲目はカバー曲という、ほんとに3曲3様の1枚になりましたね。
本当に。すごく充実したいい作品になったなと思います。
――そして。このニューシングルが出る7月26日、初武道館の模様を収めたライブ映像作品『5th Anniversary Live at 日本武道館』も同時リリースされます。
ドキュメンタリー映像も入ってて、全部観ると1本の映画を観たぐらいのボリュームがあるんです。だから武道館を生で観てくださった人も、リハーサルはこんなふうにやってたのか?とか、新鮮な気持ちで観ていただけると思います。あと、ライブだけを選択できるようにもなっているので、この映像作品で初めて家入のライブを観る人にとっても臨場感のあるライブを楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
――レオちゃん自身が思う映像作品の見どころは?
武道館はゴールじゃなくて次のスタートだっていうのを、ライブを通して体感してもらえるところ! あと、あの武道館って始まる前“早くみんなに会いたい!”ってすごく思ってたんです。モニターから「レオー!」「レオちゃーん!」「家入さ~ん!」とか、いろんな声が聞こえてきて、私も早くみんなに会いたいっ!て。だからステージに出て行った時はみんなに会えたのが嬉しくて、あんまり緊張もしなかったくらいなんです。この映像作品にはそんな私の表情とかもいろいろ映っているので、そういうちょっとしたところも1つ1つ見どころかなって思います。
家入レオ  撮影=上山陽介
――そしてさらに。9月には東名阪を廻るZeppツアーもありますね!
はい。今回は2DAYSずつまわるんですけど、武道館は間口を広く、シングル・コンプリートでやったので、Zeppはコアな人達にももっともっと楽しんでもらえるものにしたいなって。
――武道館のセットリストが表だとしたら、Zeppは裏、みたいな。
そうそう、ほんとに裏かも(笑)。歴史のある曲から新しい試みのある曲までやりたいと思っているので、楽しみにしててください!
――5周年。新たなステージに突入して、今、次なる目標は見えていますか?
そうですね……まっすぐやっていくことかなって。自分のペースで。ナチュラルに届けたいし、自分は本当に表現することが好きなんだなって最近改めて感じているんです。だから音楽だけじゃなく、やりたいと思ったことは何でもやってみようと思っています。
――具体的に今やってみたいことはあるんですか?
声優とかナレーションもやってみたいし、あと留学もしたい。もちろん、今すぐ留学!っていうことはしないですけど……この仕事を長く続けていくためにも、一人の人間の人生ということを考えた上でも、いろんな経験はした方がいいし、自分がやりたいと思ったことはやったほうがいい、やるべきだなと思っています。
――特に20代は体力も吸収力もあって、何でもチャレンジできる時期だしね。
そう! 何でもできる。だから、大人って楽しいなぁ!!って思います。

取材・文=赤木まみ 撮影=上山陽介
家入レオ  撮影=上山陽介
リリース情報

5th Anniversary Live at Zepp
●Zepp DiverCity Tokyo
09月06日(水) 18:00 OPEN / 19:00 START
09月07日(木) 18:00 OPEN / 19:00 START
問い合わせ:ディスクガレージ 050-5533-0888
●Zepp Nagoya
09月12日(火) 18:00 OPEN / 19:00 START
09月13日(水) 18:00 OPEN / 19:00 START
問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
●Zepp Namba
09月20日(水) 18:00 OPEN / 19:00 START
09月21日(木) 18:00 OPEN / 19:00 START
問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888

リリース情報

シングル「ずっと、ふたりで」
2017年7月26日発売
【初回限定盤】CD+DVD VIZL-1203 ¥1,700(+tax)

家入レオ「ずっと、ふたりで」初回限定盤

M-1, ずっと、ふたりで
M-2, だってネコだから
M-3, ヒーロー
M-4, ずっと、ふたりで(Instrumental)
M-5, だってネコだから(Instrumental)
M-6, ヒーロー(Instrumental)
M-1, ずっと、ふたりで Music Video
M-2, ずっと、ふたりで MV Making Movie
M-3, それぞれの明日へ Music Video Another Version

【完全生産限定盤】CD+GOOGS VIZL-1204 ¥2,200(+tax)
家入レオ「ずっと、ふたりで」完全生産限定盤

初回限定盤CDと同内容
LEO IEIRI デニムストラップ付きスマホリング

【通常盤】CD VICL-37299 ¥1,200(+tax)
家入レオ「ずっと、ふたりで」通常盤
初回限定盤CDと同内容

<配信情報>
7月26日より、主要ダウンロードサイトで配信開始。
DVD/Blu-ray『5th Anniversary Live at 日本武道館』
2017年7月26日発売
【DVD】VIBL-861 ¥4,500+tax
家入レオ BD『5th Anniversary Live at 日本武道館』

【Blu-ray】VIXL-196 ¥5,000+tax
家入レオ DVD『5th Anniversary Live at 日本武道館』

※収録内容など詳細はオフィシャルサイトへ http://leo-ieiri.com

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