吉沢 亮インタビュー 芥川龍之介原
作の百鬼オペラ『羅生門』で役者とし
て新たな挑戦を語る

日本が生んだ名小説家・芥川龍之介。そんな芥川作品の「羅生門」と「藪の中」が舞台化される。9月にシアターコクーンで上演される百鬼オペラ『羅生門』である。今作では演出・振付・美術に世界的演出家ユニットのイスラエル人インバル・ピント&アブシャロム・ポラックを起用。台詞、身体表現、オーケストラによって誰もが想像もしていない芥川の世界を表現する。今回、舞台『羅生門』に出演する、人気の若手俳優・吉沢亮に話を聞いた。

--本作の依頼を受けての感想は?
最初は、芥川龍之介、羅生門、ミュージカルというのがピンとこなかったんですね。それで今回、舞台の演出をしてくださるインバル・ピントさんとアブシャロム・ポラックさんが手掛けた『100万回生きたねこ』を見させてもらいました。ステージ上の飾りなどがおしゃれで、画もカラフルだったんです。それがこの芥川龍之介の作品でどうなるんだろうなって考えると、すごく楽しみに思えてきました。コンテンポラリー・ダンスもミュージカルも経験がないので、自分にとってすごく挑戦だなと。なので、すごくありがたいと思いますし、また、なぜ僕を選んでくれたのか不思議にも思います。でも、これをやり切れれば、役者としても表現力に磨きがかかって進化できるんじゃないかな。
--原作は読んだことありますか?
「藪の中」は読んだことあります。「羅生門」は黒澤明監督の映画作品でしか見たことないですね。「藪の中」は単純にすごくおもしろかったです。誰が殺したんだとか、全員が嘘をついていて答えは薮の中というのも、人間性がすごく出ますよね。芥川龍之介のことは全然まだわからないのでもっと勉強をしなくては、と思いました。
--本作は、芥川龍之介の短編「藪の中」「羅生門」を原作としつつも、イスラエル人のインバル・ピント&アブシャロム・ポラックによって、演劇とダンスと音楽を融合させた舞台作品に仕上がると聞きました。吉沢さんも、普通の俳優に求められる以上のことを要求されそうですが、それに対して、いま具体的にどのような意欲や期待感あるいは不安感をお持ちでしょうか。
僕が所属している事務所のアミューズでは毎年年末に歌って踊るイベントがあるんです。それに出演はしているんですけど、今回の舞台はそれとまったく違うものだと思います。ヒップホップではなく、完全に身体の表現ですよね。なので、楽しみでもありますし、ちょっとビビってもいます。僕自身は身体が硬いので、稽古に入る前までに柔らかくしておかなければ、と思っています(笑)。稽古については、慣れていけば楽しめそうな気はします。
--稽古に関して、どのようなことをするというのはもうお聞きになっていますか?
作品で共演する満島ひかりさんから聞いたんですけど、いきなりやって動く、というのがあるみたいなんです。満島さんは初日のときにまったく動くことが出来なかったとおっしゃってました。うまくやろうとかきれいにやろうとか、そういうのは一切いらない。自分を出して、とおっしゃっていましたね。満島さんは今までの仕事で1番楽しかったとも言ってました。だから、本当に楽しいんだと思いました。僕も早くそう思えるようになりたいです。
--実際にダンスレッスンを経験されての感想は?
僕は1回だけダンスレッスンを受けましたが、まだ全然慣れていない動きでした。最初この作品で踊るって聞いたときも、先ほども話したアミューズのイベントのような(ヒップホップ的な)ダンスかと思ったんです。でも、実際に経験してみるとまったく違いました。教えてくださる先生もそのときの感情で身体をぐにゃぐにゃと動かしたりと、感情が高ぶると動きもどんどんと大きくなっていって。「あっ、これか」と思いました。一部には決まっている動きもあると思うんですけど、全体の流れとしては感情で表現しているんだなと。先生の動きを見て、これに慣れたら本当に楽しいんだろうなと。
--最後に読者へのメッセージ、または、本作に向けた意気込みを教えてください。
いろいろなことが初めてですし、僕にとっては本当に挑戦です。演出家の方々を信じて、先輩たちのお芝居を吸収して、やれることは全部やっていきたいです。芥川龍之介作品が賑やかで豪華というのがまったく予想できないので、絶対に見たことがないものになるんじゃないかと思います。どうぞ、お楽しみに。

取材・文/瀧澤唯
公演情報

百鬼オペラ『羅生門』

■日程:2017年9月8日(金)~25日(月)
■会場:Bunkamura シアターコクーン
■料金:S席¥10,800、A席¥8,500、コクーンシート¥6,500(全席指定・税込)
■一般発売日:5月27日(土)

■原作:芥川龍之介
■脚本:長田育恵
■作曲・音楽監督:阿部海太郎
■作曲・編曲:青葉市子、中村大史
■演出・振付・美術・衣裳:インバル・ピント&アブシャロム・ポラック
■照明:ヨアン・ティボリ
■音響:井上正弘
■ヘアメイク:宮内明宏
■演出家通訳:角田美知代
■振付助手:皆川まゆむ
■演出助手:西 祐子
■舞台監督:山口英峰
■出演
柄本 佑、満島ひかり、吉沢 亮、田口浩正、小松和重、銀粉蝶
江戸川萬時、川合ロン、木原浩太、大宮大奨
皆川まゆむ、鈴木美奈子、西山友貴、引間文佳
青葉市子、中村大史、権頭真由、木村仁哉、BUN Imai、角銅真実

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