Suchmosの「STAY TUNE」はディスっているだけじゃない!歌詞に隠されたその真意を探る

Suchmosの「STAY TUNE」はディスっているだけじゃない!歌詞に隠されたその真意を探る

Suchmosの「STAY TUNE」はディスって
いるだけじゃない!歌詞に隠されたそ
の真意を探る

当初、東京を中心に発信するラジオ局のジングルとしてつくられたという曲は、神奈川出身の6人組の現時点での代表曲になっている。
ざっくり彼らのことを紹介すると、2015年にEP「Essense」でデビュー。1stアルバム「THE BAY」は各方面から絶賛され、2017年2月に発売された2ndアルバム「THE KIDS」によってその人気は全国区となった。国内の主要フェスでメインステージをつとめ、7月には自主レーベル「F.C.L.S.」(※First Choice Last Stanceの略)からの初リリースとなるEPを発表するなど快進撃を続けている。

そこで「STAY TUNE」だが、金曜の夜に東京へ繰り出そうと歌う歌詞から、この曲は一見するとアッパーなパーティーチューンのように思える。
ところがよく読むと実はかなり辛口でディスっていたりする。
こんな表現が随所に出てくる。ひどい言いようだが、簡単に言うと彼らはうんざりしているのだ。東京に。神奈川の海沿いを拠点にする彼らにとって東京はアウェイである。
特にサザンの地元でもある湘南出身のボーカルYonceにいたっては、夜の東京を酒に酔ったゾンビが徘徊する街とさえ言っている。
それにもかかわらず彼らは金曜の夜に東京へ向かう。それはなぜなのか?
有名になったサビの前のフロウ。彼らがディスっているのは特定の誰かというよりは、ある種の生き方だ。
これらは自分自身がなくて安易に流されてしまう姿勢、という点で共通している。Suchmosのメンバーが大きな影響を受けたというジャミロクワイが、アッパーなファンクチューンに乗せて環境問題や社会風刺を歌った姿にも通じるものがあるかもしれない。
それらすべてにSuchmosはGood nightと告げる。
キャッチーなサビの言葉もあらためて聞くと少し違って聞こえてくる。
高級ブランドやファーストフードや単なる頭の良さや知ったかぶりではない「何か」に、自分たちはStay tuneするのだと。それは一言でいうとSuchmosというバンドの音を鳴らすことであり、同時に彼らはリスナーも巻き込んでいこうとしている。たしかにゾンビ(“Dead rising”)みたいな奴らもいるけれど、自分たちのメッセージを伝えるためにはその場所は避けて通れない。

そういいながらも、彼らの様子に悲壮感はない。東京に繰り出してナンパするという歌の設定も、ジャミロクワイの名曲「Virtual Insanity」を意図的に似せてつくったようなPVのセットも彼らのユーモアのあらわれである。
「23時になったらお化けの時間、SATもスクランブル出動」。「SAT」を土曜日(Saturday)とかけた歌詞からは、ゾンビが徘徊する街でのチャレンジ自体を楽しむ肝だめしのようなスリリングな高揚感が伝わってくる。

多くの人に聴かれることになった「STAY TUNE」。
ジョークにまぎらせて自分たちのマニフェストをアッパーなビートに乗せて歌ったこの曲は、上昇気流に乗っているSuchmosの勢いをあますところなく示した1曲なのである。

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