日本のジャズロックアーティスト9選
 激しくもオシャレなバンドを紹介

PE’Z

ペズは日本の5ピースジャズバンド。インストゥルメンタルバンドとして1999年から2015年まで活躍、ジャズやロックだけではなくラテン系の音楽にも造詣が深いです。
ジャズをベースしたロック寄りのバンドと言えばまず思い浮かぶのが、このペズでしょう。日本におけるクロスオーバーの先駆者としてメジャーに進出。海外での評価も高い実力派です。まさに和製ジャズロックと評するにふさわしい個性的なメロディーを軸としたサウンドで、ジャズロックを聴いたことがない人にももちろんおすすめできます。
そんなペズのアルバムの中でまず聴いてもらいたいのは2002年に通算5枚目のアルバムとして発売された「九月の空」。ジャズロックというジャンルにしては珍しくオリコントップ10入りしたということからも想像がつく通り、高度で複雑な演奏をしていながらも耳に馴染みやすいメロディーを多く聴くことができます。
どうしてもジャズがベースになっていると、小難しいのではないかと思われることが多いですが、このバンドに関してはそんなことはありません。初心者でも安心して楽しむことができる入門向けバンドといえます。

quasimode

クオシモードは日本のジャズカルテット。ピアノ、ベーズ、パーカッション、ドラムというジャズロックの中ではジャズに寄った音楽を得意としています。現在、残念ながら活動休止中ですが、とにかくメンバー全員の演奏レベルが高いことが大きな特徴です。
彼らの4枚目のアルバム「daybrake」では、特にパーカッションが打楽器の域を超えており、その手から奏でられる音はとても繊細かつ大胆な音色です。基本的にはピアノがリードするバンドではありますが、オリジナル曲ではシンコペーションを多用したものが多いです。なので、ジャズの要素にリズミックなサウンドがのり、どちらかというとアドリブなどで楽曲が揺れ、タメに重きが置かれる古き良きジャズと比べると、新鮮で、爽やかさを感じられるかと思います。
また、”rules of blood”という楽曲では、メインにFabrizio Bossoという大物ゲストを迎えてのセッション形式で録音、幅広いジャズファンにも対応しています。

広瀬未来

神戸が生んだ期待の新生ジャズトランペット奏者、広瀬未来。10年ほどニューヨークで活動したのち、2014年から神戸に戻り活動、2015年10月からは毎週火曜日夕方6時ごろよりラジオ関西で放送されている「KOBE JAZZPHONIC RADIO」にパーソナリティとして出演されています。
敷居の高いイメージのあるジャズをグッと身近に近づけてくれるこの音楽番組ですが、彼の演奏が流れるとその軽快なトランペットの音色に魅了されます。演奏も貫禄があり聞きごたえ十分です。番組内のフリートークでは、たまに冗談まじりの話をしてくれるので、聞いていて非常に楽しく心地よい内容。驚くべき情報は1984年生まれの若者だということ。番組を聞いていても、いい意味で若さを感じさせない深さ、貫禄を感じることができます。
アルバムでは2枚目のあるばむ「Scratch」がおすすめですが、個人的には彼のラジオもおすすめ。Youtubeでは彼の過去の放送が聴くことができます。もちろん、彼の演奏も聴くことができます。

indigo jam unit

インディゴ・ジャム・ユニットは2005年に結成された日本のインストバンド。メンバーそれぞれがクラシック、ジャズ、ファンク、ラテンと異なるルーツミュージックを得意分野として持ち、様々な音楽シーンをクロスオーバーさせた色彩豊かな楽曲が特長です。ピアノ、ベース、ドラム、パーカッションから構成されています。
このバンドの最もおすすめしたい点は、すばりバンドのグルーヴ。ベースの笹井克彦、ドラムの清水勇博のグルーヴがとてつもないです。またメンバーが様々な音楽ジャンルのバックグラウンドを持つため、バンドの楽曲からはジャズ、クラシック、ラテンなどいろいろな音楽の要素が垣間見えます。音楽的な曲が多く、BGMとして聞くよりはサウンドに耳を傾けて聴いてほしいバンドです。
中でも「INDEPENDENT」、「Roots」などのアルバムがおすすめ、バンドのグルーヴに酔えるナンバーが詰まっています。特にベースが4ビートを刻んでいるジャズよりのナンバー”sepia”は特に聴いていただきたい楽曲です。

indigo jam unit & flexlife

先ほど紹介したインディゴ・ジャム・ユニットにアコースティックデュオフレックスライフが競演したバンドです。活動休止を一昨年発表した日本最高峰の人力クラブジャズバンド、インディゴ・ジャム・ユニット。リズム担当はドラム・ベースに加えパーカッションがおり、楽曲によってはツインドラム編成にもなります。確かな技術に支えられた、複雑なリズム。その中で疾走するベースライン。そして高まっていくピアノ。即興性を重視する彼らはレコーディングも全て一発取り。
そんなインディゴ・ジャム・ユニットがレーベルメイトのフレックスライフとリリースしたアルバム「Vintage Black」は万人にオススメできる最高のアルバムに仕上がっています。非の打ち所がない、黒いリズムに乗る黒い声、どこの国の人か忘れそうになるでしょう。特にリズムがタイトな曲”Lady Day & John Coltrane”は気がついたら体でリズムを取ってしまう人間の動物的本能に語りかけてくる一曲です。

jizue

2006年結成、京都発ジャズロックバンド、ジズー。彼らの特徴は「熱さ」。特にライブでは、空間を高めていく能力を感じます。気づけば客全員を踊らせていて、しかも全員が好き勝手で楽しそう。そういうバンドが好きな人におすすめです。とにかくどの曲もダイナミクスレンジが幅広く、盛り上げる部分は盛り上げる、聴かせる部分はしっかり聴かせる音楽を得意としています。
ドラムの粉川心は様々なジャンルを意図的に取り込み、ソロ活動も活発にしています。それが彼らの曲の多様性につながっておて、アルバムを通して聴いても飽きが来ません。特におすすめしたいアルバムは最新の「story」。脈々と流れるラテンのリズムが特徴的な”atom”は必聴。圧倒的なピアノの連弾はエモーショナルなテーマへと収斂されていきます。夜のドライブにオススメな疾走感溢れるジャズロックです。

夏木マリ

夏木マリは日本のジャズ・ブルースボーカリスト、女優としてドラマや映画にも多数出演しているマルチプレイヤーですう。特に艶っぽい、深みのある声が特徴的。女優業と並列してピチカートファイブの小西康陽のプロデュースを受け、歌手デビューしてジャジーなナンバーを発表してきました。
彼女が小西康陽と作った曲はシャンソン風で、ストーリ仕立てになっています。だからこそ彼女の女優としての活動が活きている様に感じます。特にオススメのアルバムは女優と歌手、二つの顔を持つ彼女の集大成である「13 CHANSONS」です。これは芝居か?歌か?わかるのはこれがフランス風なおしゃれさを感じる極上のジャズロックであるということです。絶対に聴いて欲しいのは”いちばん好きなもの”という曲。
大人のジャズロックには大人の女性が似合います。必聴です。

Schoroeder-Headz

シュローダー・ヘッズは2010年から活動しているピアニスト渡辺シュンスケのプロジェクト。渡辺は、ポストクラシカルな曲からジャズロックまで幅広くこなすミュージシャンです。
楽曲としては、ピアノはクラシカルなのにドラムはダンスビートであったり、緩やかなジャズセッションの中にテクノ的な音が混じっていたりと、とにかく聞いていて面白い所が特長。それをフックとして曲の世界に引き込まれ、聞きこむうちに泣きそうになるエモーショナルな連弾に飲み込まれていきます。
特にオススメのアルバムは「Synethesia」です。アーバンな雰囲気を醸し出す大人のジャズロック”Tokyo Tribal Sacrifice”、クラシカルなフレーズが感情を揺さぶる”blue bird”、ジャズセッションなのにベースがシンセサイザーな”3 on 3″。特に”Tokyo Tribal Sacrifice”は楽曲の途中でボーカロイドの初音ミクがはさまれており、非常に実験的でもあり面白い曲に仕上がっています。

fox capture plan

フォックス・キャプチャー・プランはピアノ、ベースドラムで構成されたトリオバンド。もはやジャズロックと称してよいのかすらわからないほど、究極のインストロックバンドです。ジャズの入門としても相応しく、ジャズミュージックに馴染みのないポップミュージック好き、パンクロックバンド好きの若者たちにこそぜひ聴いてほしいものです。きっとあなたの世界が変わることでしょう。
このバンドの最大の驚きは、これだけ幅が広く音数の多いメロディをたった3人で奏でていること。おすすめは最新アルバム「FRAGILE」です。メンバー一人一人の演奏レベルの高さが前作にも増し、さらにソングライターの抜群のジャズセンスが光る1枚です。某大ヒットドラマにて全編劇中音楽を担当するなど、すでに活躍の幅は広く、業界注目度ナンバー1の彼ら。今聴けば、まだ遅くはないのではないでしょうか。

Soft Machine

最後に洋楽のジャズロックバンドを1組紹介します。ソフトマシーンはイギリスのジャズロックバンド。1966年から約20年間活動した伝説的なバンドです。ジャズロックバンドをあげる上で、ジャズ寄りかロック寄りかで視点は大いに変わってきます。今回はロック寄りのジャズロックとしてソフト・マシーンを挙げたいと思います。
ソフトマシーンは、長い歴史の中で音楽的な変化が分かりやすい形で表出しています。メンバーのヒュー・ホッパーを中心にして編成された70年代初頭のソフトマシーンは、その意味でのジャズロックバンドとして語られるのに相応しいのではないでしょうか。
ホーンを積極的に導入して一時は8人編成にまでなり、アルバム「Third」を制作。このアルバムと更にジャズ志向の強いベーシストのロイ・バビントンが加入して制作されたアルバム「fourth」を聞けば、当時の音楽シーンにおけるジャズ志向のロックという感性が確かめられるに違いありません。
そして、このバンドはどんどんインストゥルメンタルバンドに変化していきます。このジャズ志向のせいで、メンバーのロバート・ワイアットは脱退する事になりますが、彼は後に数々の名盤を残す個性的なシンガーソングライターとなりることもまた事実。彼ももちろんジャズの影響を多分に受けたサウンドを構築しています。
70年代初頭のソフトマシーンはジャズロックというジャンルを語る上で決して外してはならないバンドである事は間違いありません。是非、その耳で当時の混沌とした音楽ジャンルの形成過程を確かめて頂きたいです。

indiesmate

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