オルタナティブロックの名盤10選 前
衛的かつ聴衆を虜にする名作を紹介 

The Joshua Tree – U2

U2の最高傑作ににして、80年代のロック界を代表するアルバム「The Joshua Tree」。
1987年にリリースされたアルバムですが、1980年代当時にこのアルバムを聴いた人は、収録曲1曲目「Where The Streets have No Name」のイントロの神々しさに体が震えるような感覚を得たと言います。THE BEATLESへのオマージュで、ビルの屋上での演奏のもようを撮影したPVも非常に話題を呼びました。
アルバムの他の収録曲も名曲揃いで、U2はこのアルバムでグラミー賞最優秀アルバムを受賞、押しも押されぬビッグバンドに成長したといえましょう。
折しも2017年はこのアルバムの発売30周年で、記念のライブツアーが現在全米で行われています。「The Joshua Tree」の全曲と、その他のアルバムから選んだ代表曲が歌われているそうです。U2はずいぶん長いこと来日していない(2006年にさいたまスーパーアリーナで見たのが最後)ので、今回のツアーで来日してくれる事を切に願っています。

BLEACH – Nirvana

ニルヴァーナがオルタナティブロックのバンドとして有名になり、人気が出始めたのはこの次のアルバム「NEVERMIND」からです。それは多くの人に受け入れられるだけの音楽性を兼ね備えたポップさがあったからといえるでしょう。
しかし、オルタナティブロックの本質から考えると、「NEVERMIND」以前のこのアルバム「BLEACH」をおすすめしたいところです。なにより、オルタナティブロックらしさがあります。
バンド結成時の初期衝動がそのまま詰まっていて勢いが感じられ、これから新しいことがはじまるという気持ちにさせてくれるアルバムです。未熟であり、低予算で制作されたということがかえって魅力的に感じられるところがこのアルバム良さ、オルタナティブロックさを引き立てているのではないでしょうか。

Bandwagonesque – Teenage Fanclub

冒頭のフィードバックギターの衝撃。甘いメロディーとバックで鳴り続ける歪み潰れたギターのコードストロークのコントラストは、初めて聴いた耳には強烈な違和感と同時に途方もない美しさを感じさせ、多くのファンが繰り返し繰り返し聴き続けさせる一枚となりました。
今ではスコットランドのベテランギターポップバンドとしてすっかり肩の力が抜けたようで愛されているティーンエイジファンクラブが、「アメリカのグランジロックに対するイギリスからの回答」などと呼ばれていた1991年頃、メジャーデビューアルバムがこの「Bandwagonesque」。アメリカの音楽雑誌スピン誌が発表した「1991年のベストアルバム20」では、NirvanaのNEVERMINDやR.E.M.のOut of Timeを差し置いて1位を獲得しています。確かに、このころのティーンエイジファンクラブには、確かに怪物めいた予感があったように思います。いま、初めてこのアルバムを聴く人にはその衝撃は伝わらないかもしれませんが、25年以上経過した今もひたすらに美しい曲が今も鳴り続けています。
10曲目、「僕にはやりたいことがある、でもそれが君と一緒にかはわからないんだ」というなんともぼんやりとした戸惑いからはじまる曲「Alcoholiday」は、等身大の情けなさを綴った名曲。ポジティブなメッセージや社会への告発ばかりがロックじゃないと思える1曲です。。

Black Holes and Revelations – MUSE

ミューズはコールドプレイと並ぶ、現在のUKロックを代表するバンドです。
その音楽性はオルタナティブロック、プログレッシブロック、ハードロック、グラムロック、エスニック、ファンクなど多岐にわたり、華麗でドラマチックで「過剰の美学」と称されています。最近ではそのドラマチックな雰囲気が合うのか、フィギュアスケートでもよく楽曲が使われています。
その中でも今回おすすめしたいのは4作目のアルバム「Black Holes and Revelations」です。
この作品はミューズらしい轟音のギターと美しいピアノサウンドは踏襲しながら、前作の「Absolution」に比べプログレ色が弱まり、「Starlight」のようなストレートでロマンチックなラブソングなどもあり、非常にバランスの取れた聞きやすいアルバムに仕上がっています。

Pablo Honey – Radiohead

現時点で人気・実力・音楽性、全てにおいて世界最高のバンドであるレディオヘッドの、いわずとしれたデビューアルバム「Pablo Honey」。
レディオヘッドといえば3作目の「OK Computer」が世間的には有名で、超名盤である事には疑いの余地がありません。しかし、「Pablo Honey」をあらためて聞いてみると、デビューアルバムの時点でこれだけ完成度の高い作品を世に送り出していたのかと驚きを禁じえません。
とはいえ、全体的に歪んだ音作りが多くて、レディオヘッドといえども当時世界を席巻していたグランジムーブメントの影響を受けていたのかな、とも思います。
特に「Creep」はライブで演奏されるのかされないかという事がいつも話題になる初期の代表曲。中盤のギターの「ガガッ、ガガッ」という音を聞くといつも心が乱されます。個人的に好きな曲は「Stop Whispering」美しいメロディとトムの美声に心癒されます。

Californication – Red Hot Chili P
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オルタナティブロックといえば、まず浮かぶのがニルヴァーナ、次に浮かぶアーチストは…?と、人それぞれかもしれませんが、Red Hot Chili Peppersと思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。海外ではRHCP、日本ではレッチリという愛称で呼ばれています。
骨太アメリカンロックなヴォーカル、アンソニー・キーディスをはじめとする個性的なメンバーたち。中でも、ステージパフォーマンスがエグいことで有名なベース担当のマイケル・バルザリー(激しくジャンプするパフォーマンスからFlea(のみ)と呼ばれています。)は、映画「Back to the future」で、マイケル・J・フォックスにチキンレースをけしかけるクレイジーな輩の役で、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
そんなレッチリの、アメリカで500万枚以上売り上げたアルバム「Californication」(造語なので辞書には載ってません)。特徴としては、全体的に以前より激しさは抑えれクールな仕上がり、シングルヒットも多数あるアルバムです。
中でも、タイトル曲でもある「Californication」は哀愁を帯びたギターに比喩に富んだ歌詞、だんだん激しさを増していく曲調は、アメリカ人は大変好むらしくカラオケで熱唱して、その場が盛り上がるそうです。ユーモアに満ちた同曲のPVなども一緒に鑑賞すると、より楽しめると思います。

Where You Been – Dinosaur.jr

Dinosaur.jrのアルバムではマイベスト、「Where You Been」。Dinosaur.jrの特徴はノイジーなギターと泣きのメロディ、そしてヘタレボーカルと言われていますが、「Where you been」ではノイジーでエネルギー爆発なギターが全面に出ていて、ハードでエネルギッシュなDinosaur.jrを聴くことができます。前作の「Green MInd」と比較しても、かなり男臭い楽曲が並ぶアルバムです。
そんな「Where you been」の中でも特に気に入るであろう曲は4曲目の「On The Way」。この曲を一言で表現するならば、ダークでヘビーなエネルギー大爆発で疾走感抜群の曲と言えます。元気が無い時、落ち込んでいる時に聴くと、一発でテンションが上がる曲です。曲はノイジーでアグレッシブなのに、ボーカルの気の抜け方やヘロヘロな歌い方がなぜかマッチしていて、不思議なバランスに包まれた曲です。


End Hits – FUGAZI

オルタナティブロックという考え方自体、アメリカのロックシーンから生まれた考え方です。FUGAZIもそんなオルタナを体現するバンドで、中心人物のイアン・マッケイは全身バンドでは70年代後半から活動していました。
ただし、それまでの音楽性はハードコア色が強くオルタナティブロックとも言うことはできますが、その他のロックファンにおすすめできるアルバムは音楽性を変化させてきたこの「End Hits」です。
変則的なリズムを多様したり緩急付けた動と静を使い分けた楽曲など、パンクやハードコアの域を超え、オルタナティブロックらしい音楽性に満ちていますが、その後盛り上がるエモコアの元祖的なバンドでもあります。また、FUGAZIの功績は、ワシントンDCを中心としたシーンを盛り上げてきたことも大きいです。

The Script – The Script

The Scriptはアイルランド出身であの有名なU2と同じ国のアーティストです。何となくですが曲調が似ていような気がします。ロックなのにどこか静かで落ち着く雰囲気の曲が多く、少しテンポが速めの曲でも耳障りにならないところが非常に聴きやすいです。3ピースバンドはこのような系統の曲が多い気がします。
このアルバムの中でもまずおすすめしたいのは4曲目「The Who Can’t Be Moved」。最初にギターのイントロから始まるのですが、その音色が素敵です。この曲はアメリカのドラマ「ゴースト」で使われているので、特に女性は聴いたことがあるかもしれません。
もう1曲おすすめしたい曲は5曲目「Breakeven」。サビ部分のボーカルの高音の歌い方がよく、ハスキーボイスがこの曲にマッチしています。The Scriptは今回紹介したアーティストの中では比較的新しいグループですが、オルタナティブロックとして好まれる方もいるのではないでしょうか。

Where’s My Potato? – [Alexandros]

「Where’s My Potato?」は、[Alexandros](当時の[Champagne])のデビューアルバムです。今でこそ多くのライブを成功させ多数のメディアにも取り上げられるようになった[Alexandros]ですが、このアルバムの発売当初はまだほとんど無名のバンドでした。
「Where’s My Potato?」に収録されている楽曲は、全てボーカル川上洋平の実体験をもとに作られています。メンバーたちがUKロック好きなことも相まって、どこかUKの雰囲気を感じられる、英語の歌詞が目立つ、などといった特徴が挙げられます。ボーカルの川上とベース・コーラスの磯部が帰国子女なこともあり、英詞にもネイティブでよりリアリティのある表現を感じられます。邦ロックバンドが英詞を歌うことを好まない方がしばしば見受けられますが、[Alexandros]なら違和感なく聴くことができるでしょう。初期の[Alexandros]を知りたければ、ぜひ聴いてほしいアルバムです。
そしてこのアルバムでも特におすすめの曲、何よりライブで一番盛り上がる曲といえば「Don’t Fuck With Yoohei Kawakami」。
タイトルでもう既に怒っていますが、これは彼がバンド活動に専念するために会社員を退職するときの話。退職金168万貰えるはずだったのに、一銭も口座に振り込まれない怒りが歌詞に溢れるほどに込められています。思いだすのも腹が立つはずなのに、あえてこの事件を曲に(ものすごく汚い表現で)昇華してしまった川上さんに驚かせられる、そんな一曲です。

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