「受け継いでくれてありがとう」~『レ・ミゼラブル』日本初演30周年 現役キャストと初演キャスト会見レポート

    日本初演30周年記念のスペシャル・カーテンコールに続いて、歴代ジャン・バルジャンの鹿賀丈史、今井清隆、別所哲也と初演キャストの島田歌穂岩崎宏美、鳳蘭、現在のジャン・バルジャンの福井晶一、吉原光夫、ヤン・ジュンモによる囲み取材が行われ、カーテンコールの興奮さめやらない舞台上で、30周年への思いを語った。

    ──30周年を迎えたお気持ちは?
    鹿賀 あっという間の30年。これだけの大がかりなミュージカルを日本でやったのは、多分『レ・ミゼラブル』が初めてだったと思うんです。その最初を作ったときの気持ちを、30年後の今、初演の時には生まれていなかったような若い人たちが受け継いでくれて、一緒に歌うことができて、感動しました。非常にいい時間でした。ありがとうございました。
    別所 僕は2003年から参加させていただいたのですが、初演の鹿賀さんのバルジャンを観て本当に感動して、俳優になったんだからこういう舞台をやりたい、こういう舞台で時を重ねたいと思っていて、それが現実になりました。そして、お客様と一緒に初演の皆さんがつくってくれた作品を育てていこうという思いでやってきました。それを、また新たに、素晴らしい若いバルジャンたちが引き継いでくれている。お客様も三世代でご覧になっている方もいますし、私も娘にぜひこの作品を観てもらおうと思っています。
    今井 演出のジョン・ケアードさんが「この作品はスターがつくるミュージカルではなくて、スターをつくりだすミュージカルだ」と話していたように、この作品からたくさんのスターが生まれて、各方面で頑張っている。そして30年経ってもまだパワーが衰えない作品の力を感じます。今日も、この中にいられて幸せでいっぱいです。
    島田 『レ・ミゼラブル』は、私にとって人生を大きく開いてくれた作品で、生涯感謝し続ける作品なんです。初日に両親を招いて、『レ・ミゼラブル』の舞台に立っている私の姿を見せることができた時に、「ああ、初めてひとつ親孝行ができたかな」と思った時の感動は忘れられません。それが30年後にこうして、すばらしい皆さまに受け継がれている。40年、50年に向かって感動を届けていっていただきたいなと思います。
    岩崎 私は皇太子ご夫妻と浩宮さま(現在の天皇陛下ご夫妻と皇太子殿下)がご覧になられて、舞台が終わってご挨拶をさせていただいたら、とても温かい言葉をかけていただいたんです。美智子さまから「あなたの年齢で母親役を演じるということは私にとっても誇りです」というお言葉をいただいて、涙が止まらなかった。浩宮さまには「岩崎さんって本当に歌が上手いですね」と言っていだだきました。そんなことを思い出しました。
    鳳 30周年でただでさえ感動しているのに、今日はお客様が感動しているのがひしひしと伝わってきて、客席と舞台がひとつになれた。こんな舞台には滅多に出会えないので、私も出演できて本当に幸せです。
    吉原 劇団四季にいたのですが、入団したきっかけとなった作品に主演していたのが鹿賀さんでした。鹿賀さんの映像が見たくて、夜な夜な四季の映像室に入って盗み見をしていました。
    鹿賀 そうなの?
    吉原 そうなんです。『ジーザス・クライスト=スーパー・スター』をベータビデオで観ていたりしました。また、今井さんの役をずっとやってきたので、今井さんの背中を見て育ちました。2011年の『レ・ミゼラブル』では別所さんと一緒に同じ役で、手取り足取り教えていただいた。そんな方々とこの1週間、一瞬でも一緒の舞台に立てたということは、神の恵と言うか、幸せをいただいたという気持ちでいっぱいです。
    ヤン まず、この場に一緒に立たせていただくことにとても感謝しております。韓国にはこのように30年続いているミュージカルはないので、とても羨ましいです。多くのミュージカル俳優たちはこの『レ・ミゼラブル』という作品を観て夢をもらい、人生が変わったり、影響を受けてきました。個人的には自分の公演に学生たちが観に来る時には、特にそういうことを考えます。その学生たちの人生が変わるような、影響力を与えられるような作品だと思うからです。この偉大な作品の意義を多くの方に伝えられるように頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。
    福井 正直に申しますとこのスペシャル・ウィークにどなたが出演されるのか、直前まで知らなかったんです。これだけ豪華な方々に集まっていただいて、レジェンドキャストの前で演じるのはしんどかったのですけれども、それ以上に一緒の舞台に立てて、今日はこのお三方と一緒に歌うことができて本当に幸せでした。歴史を感じますし、重みを感じますし、お客様にも本当に愛されて、皆がこの作品を愛しているんだなというのを実感した1週間でした。この作品を僕たちがさらに10年、20年と引き継いでいかなくてはならないんだなと強く感じました。
    ──今日がちょうど30年前の初日だったわけですが、そのときのことは覚えておられますか?
    鹿賀 もちろん。一生懸命稽古したせいか、それほど緊張することもなく、結構伸び伸びとやった記憶がありますね。今日の方が緊張しました(笑)。
    ──30年後に自分がこの舞台に立つと思っていましたか?
    鹿賀 全然、思っていないです。僕は2011年までジャベールをやっていたんですけれども、30周年にこうして呼ばれるとは思っていなかったので、今日は感動を分かち合えることができて本当に良かったです。
    ──歌は久しぶりでしたか?
    鹿賀 久しぶりですけれど、(出演が)長かったものですから忘れることはないですね。ちゃんと覚えています。今日はスペシャル・バージョンがあったので、皆で稽古はしましたけどね。
    ──別所さんも歌は覚えていましたか?
    別所 「ブリング・ヒム・ホーム(彼を帰して)」は何度も何度もこの舞台で歌わせていただいたので、蘇ることがたくさんありました。そして今日は、ピアノをシェーンベルクさんがお弾きになって、鹿賀さんが歌い始めて、僕たちがそれに合わせてと、まさにスペシャルなこの日のために作られたものだったので、僕にとっても思い出に残るものになりました。
    今井 緊張しました。キーを転調して、いつもよりも高い声を出さなければいけなかったので、慌てて練習して、うまくいくかどうか結構ドキドキしていましたけどれど。うまくいってよかったです。
    ──女性陣にもお聞きします。改めて30年後にこの舞台に立って歌っていかがでしたか?
    島田 蘇ってきます。思い出がありすぎて。
    鳳 どの曲を聞いても思い出がね。
    岩崎 そうですね。
    ──三人とも30年間、ほとんど変わってないですね。
    鳳 ちゃんと引力に負けてますよ(笑)
    ──改めて、今出演してらっしゃる後輩の方へアドバイスなどありますか?
    3人 アドバイスなんてとんでもない。皆さん、本当にパワフル。
    岩崎 本当に素晴らしくて、心強いですね。
    ──岩崎さんは、スペシャル・カーテンコールで「実は音域が狭い」とおっしゃっていましたが。
    岩崎 実はこの作品をやる度にポリープを作っていまして、2年目の時には名古屋公演を降板させていただいたこともありました。沈黙療法ということで、その時はメスを入れずに治したのですが。ほかに、思い出に残っているのは、一回、家庭に入って、その後またこちらにお声をかけていただき、「出戻りファンテーヌ」と言われたことがあったんですけれども(笑)。その後、ちょっとお休みして、今から10年前にもう一回戻ったときに、初演の時の衣装を着ないといけないということで、スポーツジムに通い、体重を落として挑みました。結局、なんとか着ましたよ(笑)。
    ──鳳さんはなにか思い出はありますか?
    鳳 私は毎日ファンの方が減っていくので、子供をいじめる役はダメだなと思ってました(笑)。1人減り、10人減り、20人減り、1000人減りって感じでしたね(笑)。
    ──鹿賀さん、現役バルジャンにアドバイスはありますか?
    鹿賀 とんでもないです。もう素晴らしいですよ。僕らも一生懸命やっていましたけれども、このお三方は力強くて、温かくて、すごい熱いものを持っていらしゃる。
    ──初演当時はオーディション制が珍しかったそうですが、オーディションの思い出は何かありますか?
    岩崎 私はファンテーヌではなく、エポニーヌの曲が課題曲だったので、その曲で受けたのですけれども、第四審査ぐらいだったかな、最後の最後に昔の宝塚劇場に呼ばれて、先に「オン・マイ・オウン」を歌って廊下で待っていたら、次に島田歌穂ちゃんが入って「オン・マイ・オウン」を歌ったんですね。それを聞いたときに、「あ、この人の役だ」と思って、そのまま帰ろうかと思ったのです。でも、一応その場にいたらもう1回呼ばれて、「あなたの声は母親の役ができるかもしれないから」と、ファンテーヌを歌わせていただき、そちらで選んでいただけました。
    ──では、改めて鹿賀さんから皆さんにメッセージを。
    鹿賀 おかげ様でこの作品も30年目を迎えました。今日、若い連中の演じ歌っている姿を観て、逆に力をいただいたような気がします。お客様も本当に熱いお客様で、非常に感動して帰られました。非常に幸せな30周年でした。ありがとうございました。

    取材・文=田窪桜子

    公演情報
    ミュージカル『レ・ミゼラブル』

    ■作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
    ■原作:ヴィクトル・ユゴー
    ■作詞:ハーバート・クレッツマー
    ■オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
    ■演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
    ■翻訳:酒井洋子
    ■訳詞:岩谷時子
    ■プロデューサー:田口豪孝/坂本義和
    ■製作:東宝
    ■公式サイト:http://www.tohostage.com/lesmiserables/
    ■配役:
    ジャン・バルジャン:福井晶一/ヤン・ジュンモ/吉原光夫
    ジャベール:川口竜也/吉原光夫/岸祐二
    ファンテーヌ:知念里奈/和音美桜/二宮愛
    エポニーヌ:昆夏美/唯月ふうか/松原凜子
    コゼット:生田絵梨花/清水彩花/小南満佑子
    マリウス:海宝直人/内藤大希/田村良太
    テナルディエ:駒田一/橋本じゅん/KENTARO
    マダム・テナルディエ:森公美子鈴木ほのか/谷口ゆうな
    アンジョルラス:上原理生/上山竜治/相葉裕樹
    ほか
    <東京公演>
    ■会場:帝国劇場
    ■日程:2017年5月25日(木)初日~7月17日(月・祝)千穐楽
    *プレビュー公演 5月21日(日)~5月24日(水)

    <福岡公演>
    ■会場:博多座
    ■日程:2017年8月1日(火)初日~8月26日(土)千穐楽

    <大阪公演>
    ■会場:フェスティバルホール
    ■日程:2017年9月2日(土)初日~9月15日(金)千穐楽

    <名古屋公演>
    ■会場:中日劇場
    ■日程:2017年9月25日(土)初日~10月16日(月)千穐楽
    ■『レ・ミゼラブル』日本公式サイト http://www.tohostage.com/lesmiserables/

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