【ポエム】スポンジ

おニューの僕なら、

握りしめても弾けるように、
手からふわっと飛び出すけれど、
毎日毎日働いて、
いつまでたっても買い換えないから、
僕は弾力も失って、
しっとりのペラペラ。

食器を洗い終わったら、
汚れた僕を何度も洗って、
泡を染み出して欲しいのに、
そのまま放置するもんだから、
菌が繁殖して傷みも早い。

キュキュッと音もしなくなって、
僕の自慢のザラザラ肌も、
この頃なめらかになりつつある。

カレーやミートソースを洗ったら、
僕はペイントされたみたいに着色しちゃって、
息苦しくなる始末。

それでも大量の食器を前にして、
僕に洗剤つけたなら、
今日もやるか、とやる気を絞り、
全力で泡を立たせてやるだけさ。

たまには僕を洗って太陽に、
かざして菌を打ちのめし、
芯から乾かしてくれたなら、
弾力戻ってフワフワと、
もう一ふんばり頑張れるかな。
[執筆者:むろはな江]
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