「VANILLAのリップ」収録アルバム『Viva!AMERICA』

    「VANILLAのリップ」収録アルバム『Viva!AMERICA』

    まさかiTunesにあると思いませんでし
    たベスト 〜女性アーティスト編〜

    「夏みかん酸っぱしいまさら純潔など」と詠んだのは俳人の鈴木しづ子ですが、2冊の句集を発表した後に忽然と姿を消した彼女の生死が判明する頃には、ガールポップギター、女子ガールズバンド、宅録女子、フィメールラッパー etcといったカテゴリーがもっともっと拡張されることでしょう。そういうわけで今回は、「OKMusicはなんとそのまま楽曲が試聴できるのです! そこで他媒体との差別化を図っているのです!」という弊サイトの原点に立ち帰りまして、「まさかiTunesでこんな女性アーティストの曲まで見つかるとは思いませんでした。文明の利器よ、ありがとう」という気持ちで執筆します。と思いきや、この度サイトがリニューアルされ、試聴機能もなくなってしまったそうです。でも書くもんね、ふん!
    「VANILLAのリップ」収録アルバム『Viva!AMERICA』
    「チューリップのアップリケ」収録アルバム『歌心 恋心』
    「Canary Canary」収録アルバム『ランデ・ヴー』
    「LIFE IS a SCIENCE」収録アルバム『MAJOR FORCE COMPACT』
    「さよならの秘密」収録アルバム『JOYHOIC』

    1.「VANILLAのリップ」(’96)/安達
    祐実

    「VANILLAのリップ」収録アルバム『Viva!AMERICA』

    「VANILLAのリップ」収録アルバム『Viva!AMERICA』

    『家なき子2』と『ガラスの仮面』の狭間、“天才子役から実力派女優へと変貌を遂げる最中の安達祐実”という素材を前に、ひと癖ふた癖もある大人たちがよってたかって遊んで作り上げた『Viva!AMERICA』より、直枝政広(カーネーション)が作曲、菊地成孔が編曲を手がけた「VANILLAのリップ」。軽快なファンクをベースに、遠くに鳴り響くブルースハープやハンドクラップがたどたどしい安達祐実のヴォーカルとキメラ的に融合した“アイドルポップス”ですが、奇跡的なまでに気ぜわしさを感じさせずに不思議と心地良いのは、“J-POP”という化けの皮のなせる技でしょうか。

    2.「チューリップのアップリケ」(’1
    4)/大竹しのぶ×野田洋次郎

    「チューリップのアップリケ」収録アルバム『歌心 恋心』

    「チューリップのアップリケ」収録アルバム『歌心 恋心』

    大竹しのぶのデュテット&カバーアルバム『歌心 恋心』には、あがた森魚や長谷川きよしといったレジェンドから、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)や清水依与吏(back number)といった若手まで、あらゆる年代・ジャンルの男性アーティストが参加していますが、「チューリップのアップリケ」でパートナーを務めたのは、RADWIMPSの野田洋次郎です。ギターのアコーディオンの物悲しい音色を背景に、語らうようにぽつぽつと歌われる朴訥な京都弁。凄絶な演技力をそのまま歌唱力に振り切ったような気迫は、かつて放送禁止歌とされていたこの歌のルーツをそのまま背負ったような痛切さすら感じさせます。

    3. 「Canary Canary」(’04)/ジェー
    ン・バーキン & 井上陽水

    「Canary Canary」収録アルバム『ランデ・ヴー』

    「Canary Canary」収録アルバム『ランデ・ヴー』

    Apple Musicで海外の音楽を漁り出すとポーランドのピアニストやポルトガルのヒップホップまで樹形図が拡張してきりがないので自重しているのですが、バーキンのデュエット・アルバム『ランデ・ヴー』は参加アーティストの豪華さも相まって無視できず。相手役の井上陽水の「カナリア」を英語詞でカバーしたものですが、ムーディなループフレーズに重ねられるバーキンの官能的なフランス訛りの英語に、井上陽水のポエトリーリーディングが陽を浴びて伸びる影のように淡々と侵食する様は、「きっと砂糖菓子みたいにスウィートだろう」という浅はかな期待を瞬く間に霧散させる、グレイッシュな寒色の“フレンチポップ”でした。

    4.「LIFE IS a SCIENCE」(’89)/TH
    E ORCHID

    「LIFE IS a SCIENCE」収録アルバム『MAJOR FORCE COMPACT』

    「LIFE IS a SCIENCE」収録アルバム『MAJOR FORCE COMPACT』

    オリーブ少女の憧れであった渡辺真起子と中川比佐子によるヒップホップユニット、THE ORCHID。彼女らのアルバム『Life is a science』は残念ながら見つからなかったのですが、リリース元のレーベル“Major Force”のオムニバスアルバムに数曲収録されています。「Are You Gonna Go My Way」の例のリフを思い起こさせるフレーズの上で平板なアクセントの英語が遊泳する悪戯めいたヘタウマなフロウはなんとも痛快で、膨張するディスコサウンドのディレイとサンプリングの間隙をぽんぽん飛び越えます。脱力系ガールズヒップホップ、そしてジャパニーズオールドスクールヒップホップのマスターピース!

    5.「さよならの秘密」(’96)/市井由

    「さよならの秘密」収録アルバム『JOYHOIC』

    「さよならの秘密」収録アルバム『JOYHOIC』

    「DA.YO.NE」でゆるゆるのラッブを披露していた、元東京パフォーマンスドールズにして EAST END×YURIの市井由理のソロアルバム『JOYHOIC』もiTunesにあるのです。アルバムの全体的なトーンは明度が高く、キュートでポップですが、「さよならの秘密」は作曲を ASA-CHANGと吉田智が手がけているだけあって、鋭利なホーンの不穏さ、市井由理の抑揚のない声調、ざらついたパーカッションや孤独の予感に怯える歌詞が複雑に絡み合い、重苦しくダーティな空気に満ちています。余談ですが、Apple Musicだとなぜか「優しいトーン」だけ抜けているので、お近くの中古CD屋等で見つけたら即座に購入しましょう。

    著者:町田ノイズ

    OKMusic編集部

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