【エレファントカシマシ】『ZEPP TO
UR 2010』2010年11月20日 at Zepp T
okyo

撮影:岡田貴之/取材:ジャガー

順風満帆な人生を送りたいけど、現実は意外に厳しい。ドラマのような壮絶な事件は起きずとも嫌なことはゴロゴロ落ちてるもので、“忙しい”やら“周りが悪い”などと適当な理由を付けてはそれなりに順応していく。あぁ大人なんて…と、感じてしまった人には特に突き刺さるものが多かったように思うエレファントカシマシのニューアルバム『悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~』。“悲観してる暇はない、ただ一歩先を見てみたいんだ”と力強く聴き手の魂に語りかける曲たちが並んだ今作にこれまで以上のエネルギーを感じただけに、今日のツアー初日にも期待が募る。開演前からソワソワと疼いていた観客を高ぶらせるように、宮本浩次(Vo&Gu)のギターが唸りをあげる。それを合図に楽器隊が炸裂し、「脱コミュニケーション」から宴は始まった。開始早々に大きく波打つ場内に、“エビバディ!”とお馴染みの声が投げられた。歴史の長いバンドだから、もっとどっしり構えていてもいいような気もするが、若手同様…いや、それ以上に感情を開放して暴れまくる。築き上げてきたものを全部ぶっ壊しては、また積み上げていく。そうやってバンドを巨大化させてきたエレカシに憧れを抱くと同時に、自分ひとりじゃどうにもできなかったことをやってくれる痛快さ! 気付けば、バンドだけでなくオーディエンスまでもが自然と感情を吐き出し、活気に満ちた空間が生まれていた。さらに強烈な存在感を醸し出す宮本に食ってかかる勢いの楽器隊も見どころで、文字通り全員が死にものぐるい。ライヴ中は観ること、感じることに必死になりすぎていたので本当にあっと言う間だったのだが、終演後、会場を後にする人々の穏やかな表情がすごく印象深く、“心に火を灯す旅”、まさにそういうツアーになることが確信できた初日であった。
エレファントカシマシ プロフィール

エレファントカシマシ:1981年結成。88年3月、EPIC SONYよりアルバム『THE ELEPHANT KASHIMASHI』、シングル「デーデ」でデビュー。17年、デビュー30周年アニバーサリーイヤーに突入。デビュー記念日の3月21日にはキャリア史上初となるオールタイムベストアルバム『30th Anniversary 「All Time Best Album THE FIGHTING MAN」』をリリースし、3月20日の大阪城ホールを皮切りに、12月まで続くバンド史上初となる47都道府県ツアーの開催を予定している。エレファントカシマシ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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