【DREAMS COME TRUE】DREAMS COME T
RUE 国立代々木競技場第一体育館 20
09年6月24日

text:石田博嗣

ドリカムがデビュー20周年を迎えた。20年といえば、スカートの裾を鉄棒に巻きつけて、パンツ丸出しで逆上がりをしていた小学生が、いわゆる“アラサー”と呼ばれる大人の女性になっている。その間には当然のように、初恋に失恋、片想い、大恋愛、遠距離恋愛、夢の実現、挫折…など、いろいろなことを経験してきたはずだ。ドリカムの20年の軌跡には、まさにそのドラマを描いたような楽曲が並んでいる。本ツアーはタイトルに“20th Anniversary”を掲げていることもあり、そんな数々の楽曲…それもドリカム史上最多の曲数で、なんとオリジナルアルバム15枚から全40曲が披露されたのだった。 1万2000人の大歓声の中、登場した吉田美和(Vo)&中村正人(Ba)。会場を揺るがすような歓喜の声を、吉田のヴォーカルが瞬時に静めてしまう。やさしくて深みのある歌声が聴く者を包み込み、代々木競技場第一体育館の広い空間を自分たちのものに変えてしまった瞬間だ。そして、最新アルバム『DO YOU DREAMS COME TRUE?』の楽曲を中心に、冒頭で述べたように20年のヒストリーを彩る「決戦は金曜日」などの名曲たちが惜しみなく繰り出されていく。青春期のBGMになっているもの、思い出が詰まっているもの、カラオケの十八番…それぞれの中で捉え方があると思うが、ここにいる者全員が思い思いに、それらの楽曲を満喫していたことは想像するに容易い。 圧倒的なヴォーカリゼーションを聴かせる吉田、6弦ベースを操り安定感のあるグルーヴを生む中村、個性豊かなプレイで鉄壁なサウンドを作り出すYES OF COURSE I DO DREAMS COME TRUE(仕事ですから)ALL STARS。そして、そんなステージから受け取ったエネルギーを何倍にもして返す大合唱の代々木ベイビーズ。その攻防がクライマックスを迎えた頃、吉田が“♪私はまだ歌いたい、踊りたい、そんでもっとぶち切れたい~”と即興で今の気持ちを歌にすると、それに呼応した代々木ベイビーズとともにさらなる山場へと突入し、40曲を熱唱したライヴが大団円を迎えた。 全力で歌い、踊り、笑い、泣く…ドリカムのふたり。この日は東京公演の最終日でも、ましてやツアーファイナルでもないのだが、オーラスを飾ったナンバーで吉田は感極まって涙を見せた。もちろん、観客も一緒に歌い、踊り、笑い、泣いた。だからこそ、両者の間に一体感以上の親密な関係が生まれ、ステージ上にも、客席にも笑顔が咲き乱れたのだ。つまり、それが“ドリする”ということなのだろう。自分の感情に素直になり、胸にあるものを全て開放し、今の瞬間を全力に生きてこそ(表現してこそ)、“ドリしてます?”の問いかけに“してます!”と笑顔で答えられるのである。
DREAMS COME TRUE プロフィール

88年に結成され、翌年にはシングル「あなたに会いたくて」、アルバム『ドリームズ・カム・トゥルー』の同時リリースでメジャー・デビュー。結成当初から、彼らによって醸し出されるハーモニーは、完成度の高いものであった。彼らの音楽性はソウルやジャズ、R&Bのテイストを取り入れ、日本の音楽風土に適したポップスへと昇華させたものである。それはまた、スウィング・アウト・シスターやバーシアといったアーバンな香りが漂う作風に近いとも言えよう。
彼らが多くのリスナーに支持された理由は、「飽和状態であったJ-POPのスタイルにブラック・ミュージックのエッセンスとヒネリを効かせ、洒落っ気をもたせたこと」、そして「吉田が等身大で描く(超)リアルな歌詞」——の二点にあるだろう。常に、流行・恋愛に高感度なアンテナを張り巡らすOLやティーンエイジャーたちは、彼女の歌に親近感を抱き、それぞれの想いを重ね合わせたのだ。こうして女性のハートをわし掴みにし、さらには世代を超えた層にまで人気を波及させ、「ドリカム現象」に至った。さらに、『ドリカム・ワンダーランド』と称されたライヴ会場をテーマパークに見立てた一大恒例イベントなどに見られる、そのエンターテイナーとしての貫禄も圧巻である。DREAMS COME TRUE オフィシャルHP(レーベル)
DREAMS COME TRUE オフィシャルHP(アーティスト)
スタッフオフィシャルTwitter
DREAMS COME TRUE オフィシャルFacebook
DREAMS COME TRUE オフィシャルYouTube
Wikipedia

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着