【ユニコーン】ユニコーン 日本武道
館 2009年5月20日

撮影:TEPPEI/取材:高木智史

いよいよ佳境となってきた復活したユニコーンの『蘇える勤労』ツアー、その東京公演である日本武道館。夏のような陽気の中、続々と会場へ向かうファンのワクワクした顔、ユニクロとのコラボTシャツ、ユニコーンバスなど、まだ始まってもないのに至る所に目がゆき、お祭り的な高揚感が早くも沸いてくる。 ちなみに僕自身は解散後ファンになった新参者で、初のユニコーンライヴ。それはこれまでに体験してきた数多くのバンドの武道館ライヴとはまったく違う、“これがユニコーンなんだ!”“こんなバンドいない!”と思うしかない、想像を遥かに超えたライヴだった。ファンの方も同じで、終始、茶色い歓声(手島、談)を挙げながら、曲へのレスポンスだったり、MCへのレスポンスだったり、言葉にすると平面的だが、時を超えた者同士でしか作り出せないであろう一体感があり、この武道館の中にあるもの全部がユニコーンみたいに感じてしまった。ライヴアクトはと言うと、曲によってパートが変わったりするから、メンバー5人で5人それぞれのグルーヴを生み、奥田民生が「キミトデカケタ」でドラムソロ(アテブリ)をしたり、EBIが「ボルボレロ」を甘い声で歌ったり、川西幸一が「PTA ~光のネットワーク~」でラッパーになったり、手島いさむが「オッサンマーチ」で歌を間違えたり(でもギターはやっぱりものすごい!)、阿部義晴が「人生は ~CSA~ 上々だ」でブルース・リーになったり、次には何が起こるかまったく予想がつかないマンパワー炸裂のショーが巻き起こって、あれよあれよと時間が過ぎていく。また、「WAO!」では“これが現代に蘇えったユニコーンだ!!”と言わんばかりの突き抜けたキラキラしたグルーヴを叩き出し、手島が“暴れる時間がやって参りました”と言ってからの「大迷惑」では、奥田が“トウキョーウ!”と叫び、大歓声と縦揺れが発生し、“この世は正に”→“大迷惑”のコール&レスポンスが起こる。自分にとって初目撃となる名曲は、てんてこ舞いのビート、観客の上がりっぷりに翻弄されっ放しになるしかなかった。 初めて観たユニコーンのライヴだったが、また観たいと心から思った。「HELLO」が物語るように、そういう多くの思いがつながりユニコーンはタイムマシーンに乗って復活し、全国各地のステージに舞い戻ったのだろう。もちろん、夏フェスも観に行く!!
ユニコーン プロフィール

1986年に広島で結成されたロック・バンド。バンド名はT.レックスのアルバム『ユニコーン』に由来している。87年にアルバム『BOOM』でメジャー・デビュー。89年4月発表の1stシングル「大迷惑」がブレイクし、80年代後半のバンド・ブームを代表する存在に。「大迷惑」を収録した同年6月リリースの3rdアルバム『服部』より、徐々にその音楽的才能/造詣の深さが顕在化し、90年10月の4thアルバム『ケダモノの嵐』、91年9月の5thアルバム『ヒゲとボイン』でさらにその屈強なるアーティスト性に拍車がかかっていく。後期ビートルズを意識したサウンド・プロダクツ、シリアスな中にも遊び心を忘れない詞世界、鬼才トッド・ラングレンを思わせる珠玉のメロディ・ラインなどが生きた自由奔放な楽曲で人気を呼ぶも、93年9月に解散を発表。メンバーのソロ活動が始まり、バンドの存在は伝説的なものとなっていく。そして、解散から15年後の2009年元旦。オフィシャル・サイトでまさかの再結成を宣言し、同年2月に復活のシングル「WAO!」、アルバム『シャンブル』をリリースすること、全国ツアーを行なうことを明らかにした。その後も精力的に活動を続け、2014年3月には再始動後3枚目となるフル・アルバム『イーガジャケジョロ』をリリース。ユニコーン オフィシャルサイト
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