【9mm Parabellum Bullet/凛として
時雨】9mm Parabellum Bullet/凛と
して時雨 赤坂BLITZ 2008年7月1日

撮影:太田好治/取材:石田博嗣

 日本のロックシーンの次世代を担う9mm Parabellum Bulletと凛として時雨によるガチンコツアーの最終日。当然のようにチケットは瞬時にして完売となっており、それはつまり、両バンドのファンの中でもコアな連中、さらにはこの対戦カードに素早く反応した強者のロックファンが客席を埋めていることを意味している。となれば、9mmの菅原卓郎(Vo&Gu)も言っていたが、“9mm&凛&観客によるガチンコライヴ”となることは想像するに容易い。 オンタイムに客電が落ち、まずは凛として時雨がステージに立った。大音量の歓声を蹴散らすかのように、ヴォーカル&ギターのTKが「赤い誘惑」のイントロダクションをかき鳴らすと、緊張感に満ちた楽曲を怒濤の如く畳み掛ける。トリオ編成とはいえ、そのサウンドから受ける衝撃は尋常ではない。アグレッシブかつヒステリックで、豊潤な繊細さも併せ持つのだが、そこにも鋭利な刃物のような殺傷力を秘めている。誰の胸の奥にある心の闇を感情的なプレイと、静と動が交錯するエモーショナルなサウンドによる、まさに演者にとっての精神解放のための音楽。だからこそ、轟音の中にも悲哀が感じられ、聴く者の心を捕えて離さないのだろう。終演後に映画や演劇を観終わった時のような感覚が残ったのも、それだけ楽曲がドラマチックだったということであり、そこに3人の人間味が感じられたということだ。 セットチェンジが終わると、次は9mm。1曲目からフルスロットルで、場内に爆音が轟いたことは言うまでもない。オールスタンディングの1Fフロアは矢継ぎ早に放たれるハイテンションな楽曲に瞬殺され、カオス状態に陥っていた。喜怒哀楽が練り込まれたような柔と豪が混ざり合う起伏の激しいサウンドが、客席の熱気と狂気を加速度的に引き上げる。また、凛が“精神解放のための音楽”ならば、9mmは“精神破壊のための音楽”。メンバーは演奏するというよりも、個々の楽器は感情増幅装置となり、己の高揚感を際限なく上昇させていく。アンコールの頃にはフロアを占拠したカオス状態がステージにまで侵蝕し、ベースの中村和彦がヴォーカルマイクを奪い取り、絶叫を繰り返していたほど。オーラスの「Punishment」を終えた4人は完全燃焼しており、恍惚感に似た表情を浮かべていた。 9mmと凛、そして観客がエキサイティングなライヴパフォーマンスを繰り広げたガチンコツアー『ニッポニア・ニッポン』。こんなに凄まじいライヴを見せ付けられたのだから、今から次なる対戦カードを期待しているのは、僕だけではないはずである。
9mm Parabellum Bullet/凛として時雨 プロフィール

OKMusic編集部

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