【凛として時雨】凛として時雨 新木
場STUDIO COAST 2008年5月31日

撮影:YOSHIHARU OTA/取材:高木智史

 体の細胞の奥底まで忍び込まれ、最終的には全てを破壊粉砕されるような感覚。インテリジェントなサディストとでも言えようか、凛として時雨の楽曲にはそんな緻密で繊細なところと暴力的な要素が感じられた。美しいアルペジオから入ったかと思うといきなりハードコアだったり、メタルだったり、ファンクだったり。緩急と言うには緩すぎるサウンドの起伏、転調を際限なく繰り返し、ライヴが続く間中、モンスター級のジェットコースターに搭乗している感覚だった。変幻自在なアレンジが次々と顔を出し、そんな楽曲を聴いていると奏でる3人の音楽性だけでなく、どんな思考回路をしているのかと人間性までもが気になってくる。また、ヴォーカルはTKと345の男女ふたりによるハイトーンヴォイスで、TKは声高らかに歌い、シャウトが会場を一閃。一方の345の声は狂気と可憐さをはらんでいて、それが楽曲の世界観の奥行きを創り出しているのだろう。そのヴォーカルとサウンドが共に押し寄せてくると聴く者は一瞬でトランス状態に陥ったかのように跳ね踊り、超満員に膨れ上がったフロアはグツグツと煮えたぎる湯のように沸き立つ。その後も細かいMCを挟むのみで、間断なく楽曲が放たれ、終盤の時雨最強の激しいナンバーの「nakano kill you」では、先述の沸騰度がさらに高まり、カオスと化していた。今回のツアーは全9ヶ所となっていたのだが、この日さらなるツアーが告知され、それは全23ヶ所に及ぶという。地方各地でのこのカオスが再び見られることは言うまでもないだろう。
凛として時雨 プロフィール

要注目の轟音ツイン・ヴォーカル・トリオ。
02年にTK(gt&vo)、345(ba&vo)、ピエール中野(dr)が埼玉でバンドを結成。05年に自主レーベル<中野レコーズ>を立ち上げ、1stアルバム『♯4』をリリースした頃からじわじわと人気が広がり、<COUNTDOWN JAPAN 06/07>に出演したことでその人気は全国区に。さらに、08年<FUJI ROCK FESTIVAL 08>に出演し朝のホワイトステージで轟音をぶちかまし、洋楽ファンの度肝を抜いて評判となった。3人とは思えないほど重厚なサウンドの美しさはもちろんだが、ハイトーンでシャウトする男女の掛け合いも実にスリリング。パンク、プログレ、ハードコア、ミクスチャーなど様々なスタイルを混合し轟音として吐き出す激しさは、爆音好きの老若男女に広く愛されている。凛として時雨 オフィシャルHP(アーティスト)
凛として時雨 オフィシャルTwitter
凛として時雨 オフィシャルFacebook
凛として時雨 オフィシャルYouTube
凛として時雨 オフィシャルブログ
Wikipedia

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着