取材:石田博嗣

現在のLUNKHEADにはギリギリ感を感じる。まるで崖っぷちに立っているような凛とした緊張感、120%の力で全力疾走しているような爆走感…そういったものがサウンドから滲み出ているのだ。それが形になったものが、最新アルバム『孵化』だと言って過言ではない。当然、そんなアルバムを引っ提げたツアー最終日、SHIBUYA-AXのライヴからはリアルな彼らを感じることができた。 定刻を少し過ぎて客電が落ちると、ステージ後方からグリーンのレーザー光線が幻想的な空間を作っていくのだが、ステージ上には楽器とアンプ、モニターという必要最小限のものがあるだけで、セットめいたものは何もない。しかし、いざ演奏が始まるとバンドの音以外は何も要らないと納得させられた。1曲目から“不安なんだよ”と叫ぶように、ありのままの自分をさらけ出して心の声を歌う小高芳太朗。そのヴォーカルに説得力があればあるほど、バックの音もタフなサウンドを響かせる。叫んでいるのは歌だけでないのだ。だからこそ、『孵化』からのナンバーはもちろん、「僕と樹」などの過去の曲からもヒリヒリとした生々しさが感じられた。特に、小高がハンドマイクでアジるように歌う「ぐるぐる」と「僕らは生きる」。ひとつひとつの言葉が強い分、それを押し出すバンド力も尋常ではなく、瞬く間に場内をひとつにし、客席の興奮状態を頂上まで引き上げたのだった。 結成10周年でもある今年は、バンドとして“攻めの体制”にあるとのこと。となると、この日感じたような攻撃力や殺傷力はもちろん、前述のギリギリ感も研ぎ澄まされていくこと請け合いである。
LUNKHEAD プロフィール

ランクヘッド:1999年に愛媛県で結成され、04年1月にシングル「白い声」でメジャーデビュー。10年4月にオリジナルメンバーの石川 龍(Dr)が脱退するも、桜井雄一(ex.ART SCHOOL)を迎えての新体制となる。結成20周年となる19年には、4月に12枚目のアルバムとなる『plusequal』を発表。LUNKHEAD オフィシャルHP

OKMusic編集部

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