撮影:深港まゆみ/取材:土内 昇

47都道府県を回ったツアーの最終公演に選ばれたのは、過去にBOOWYが4時間にも及ぶ伝説的なライヴを行なった場所として知られる横浜文化体育館。歴史のある建物ということで、昭和っぽい雰囲気なのだが、そこがメリーらしくもある。しかも、会場に入るとBGMにJ-PUNKのクラシックが流れていて、開演前から日常とは違った世界が広がっていたことも付け加えておきたい。 開演予定の時刻を少し過ぎて、ステージを隠していた幕に過去のPVのダイジェストが映し出され、円陣を組むメンバーの姿が映されると、場内に歓声とハンドクラップが響き渡った。そして、にわかに幕が落ち、この日会場限定で販売された「Midnight Shangrila」でライヴがスタートする。先制攻撃のようなパンキッシュなサウンドにヘッドバンギングし、拳を振り上げ、ジャンプする観客。その後もメンバ?全員で総攻撃をかけるがごとくスリリングなナンバーが続き、4曲目の「Charlie」の頃にはクライマックスを迎えたような激しい盛り上がりを見せていた。 ガラのアカペラから始まった「さよなら雨(レイン)」、ホーン隊が加わった「ブルージーナイト」、“ネロがメガネをはずしたのは表情をよく見せるためである!?”といった◯×式の質問を織り交ぜたドラムソロなどの“魅せた”中盤から、“横浜文化体育館をぶっ壊せ!”とオーディエンスを煽ったネロのMCをはさみ、否が応でもヒートアップする曲が控える後半戦に突入する。そして、矢継ぎ早に繰り出されるアグレッシブなナンバーが客席を狂喜乱舞させ、本編ラストをニューシングルの「閉ざされた楽園」が飾った。まだ発展途中とはいえ、ツアーによって確実に曲が成長していることがうかがえ、キャッチーなサビで目の前が開けるように弾けるところなど、ライヴでの中心的な曲になっていくことを予感させる。 この日、特に印象的だったのが三度目のアンコール。普段のライヴでは習字で筆談し、喋ることのないガラがメンバー紹介をし、“この5人でどんどん上に昇り詰めようと思います。信じてついて来てください”と話した。この時、ステージと客席の間にあった何かがなくなったことを感じたのは僕だけではないはずだ。さらにガラが渾身の声で“心からありがとー”と叫び、最後の曲「空っぽな歌」がプレイされる。前号の本誌のインタビューで語っていたように、バンドにとって思い入れのある曲だったわけだが、観客も歌で演奏に参加し、大合唱を繰り返した場面は感動すら覚えた。この曲でライヴを締めくくれたことで、彼らはひとつ上に昇れたことだろう。横浜文化体育館の歴史に新たな伝説が加えられたことを実感するライヴだった。
MERRY プロフィール

メリー:2001年10月、現メンバーによって結成される。哀愁とヘヴィネスの融合による唯一無二の“レトロック”を掲げ、進化&深化を繰り返しながら、独自のスタンスで活動。昭和歌謡的な叙情旋律や欧米発のロックなどをさまざまに融合させた個性的な世界観で、結成時よりメインストリームとアンダーグラウンド双方の特性を活かしながら規格外のロックバンドであり続けている。MERRY オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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