【ゆず】『YUZU ARENA TOUR 2008 WO
NDERFUL WORLD』 2008年4月27日

撮影:木村篤史/取材:高木智史

 昨年、デビュー10周年という節目を越え、さらなる一歩を踏み出したゆずが、横浜アリーナに立った。 開演直後、会場にはラジオ体操第一の音楽が流れ、観客全員が体操を始める。一緒に会場に訪れた友達同士、あるいは恋人同士で話し合い、微笑みながら体操し、温かい空気が作られていく。そして体も温まり、ほぐれたところで大きな拍手が起こり、ふたりの登場となった。大歓声の中、1曲目の「行こっか」が始まる。アコースティックギターを奏でながら、美しいハーモニーを聴かせる北川悠仁と岩沢厚治。“行こう”と歌い、それにファンは手拍子を返す。ライヴはファンの気持ちも乗せてスタートしたのだった。続く「眼差し」はバンドスタイルで贈られる。バンドサウンドのダイナミズムが楽曲に加わり、一気にライトアップされるステージと共に観客の熱気も上がるのだが、ゆずの楽曲にはどんなスタイルであろうと、ある種のブランドを感じた。ふたりの織りなすハーモニー、親しみやすいメロディー、誰しもの心に通じる温かく、前に進もうという勇気が沸いてくる歌詞。それらのひとつひとつが彼らの楽曲には感じられるのだ。そして、楽曲が終わる度に深くお辞儀をするふたりの姿。恐らくこの光景は11年前から変わらずあるのだろう。路上でライヴをしてきた頃からそうしてきたであろう、聴いてくれたお客さんへの一礼。地元横浜でのこのライヴで“ただいま”と告げるゆずにファンは“おかえり”と言葉を返し、拍手を贈る。その中にはゆずの原点からずっと拍手を贈ってきた方もいるのだろう。そう思うと、この会場にいる人々の歓声や拍手の温かさの質がとても濃いものに思えてきたのだった。 当然MCでもファンとのつながりを大切にしてきた彼らであるから、大きな会場であろうと大げさなことは言わず、友達と話すような感じで日常で起こった出来事を話す。彼らの地元にある理髪店をモチーフにした洒落の効いた楽曲の「モンテ」では、その情景を歌詞と合わせてスクリーンに面白おかしく写し出し、会場を笑いであふれさせていた。 そんなアットホームな雰囲気の中、ツアータイトルでもある「ワンダフルワールド」では平和や愛、その裏側にある苦しみや悲しみの全てを受け入れて明日へ進もう、世界よ回れと会場中が歌う。ファンを愛し、愛されてきた彼らであるから、この歌が歌えるのであり、歌に意味が生まれるのだと思う。最後に“11年も経った今でもこうやって音楽を頑張れている”と語ったゆずだが、それは聴いてくれる人々を大切にし、共に歌ってくれるファンがいるからこそ言える言葉なのだと思えた瞬間だった。

セットリスト

  1. 現在ツアー中のため、セットリストの公表を控えさせて頂きます。
ゆず プロフィール

ゆず:1996年3月に結成。横浜、伊勢佐木町を中心に路上ライヴを行なう中、98年6月にリリースした1stシングル「夏色」で脚光を浴び、その後も「栄光の架橋」「虹」とヒット曲を世に送り出す。等身大の視点から投げ掛けられるリアルな歌詞、センチメンタルで清涼感のあるメロディー、それらを包み込む素朴で温もりを帯びた音色で多くのファンを魅了し続けている。ゆず オフィシャルHP
TOY'S FACTORY
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ゆず オフィシャルTwitter
ゆず オフィシャルYouTube
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