【ザ50回転ズ】ザ50回転ズ ebisu LI
QUIDROOM 2008年2月26日

取材:

1曲目からフルスロットル! 助走なしでのいきなり爆走は、気持ちが前のめりになっている分、鬼気迫るものを感じてしまう。おそろいのスーツにおかっぱ頭というトリッキーな出で立ちで、エキサイティングなロケンローをぶちまける3人。そのサウンドはガレージロックやオールドパンクを血肉化し、ブルースとお笑いが文化として根付く関西で鍛え上げられた、強靭かつポップでコミカルなものである。言うまでもなく、ステージ前に詰め寄るロックの亡者たちは満面の笑顔で踊り狂い、その喧騒は曲が進むにつれ、加速度的にすさまじさを増していく。そんな序盤の極めつけは、なんと彼らが主題歌を担当することになったという「ゲゲゲの鬼太郎」。痛快なパンクバージョンで披露されるおなじみのナンバーと、鬼太郎とねずみ男の着ぐるみの登場に、客席は大いに沸いたのだった。中盤はアコースティックタイム。普通ならここでクールダウンするはずなのだが、ダニーのさりげなくも華麗なギターテクやドリーのアップライトベースでのグルーブ、ボギーのブラシを使用したドラミングが、観客を熱くさせていたのも彼らのライヴらしいところ。そうなると終盤はさらなる盛り上がりを見せること請け合いだ。エネルギッシュに燃え盛るオーディエンスたちに、ロック、パンク、ブルース、歌謡曲などがブレンドされた痛快なナンバーが矢継ぎ早に注がれ、場内には尋常ではないほどの熱気が立ち込めていた。予定外のアンコールも行なわれ、メンバーも観客も高揚感に包まれる中、大団円を迎えたライヴ。まさにリミッターを振り切ってこそ到達する至福の“ロックンロール地獄!”が、そこにあったと言えるだろう。
ザ50回転ズ プロフィール

奇怪かつエキサイティングなステージングで観るもの全てに強烈なインパクトを与える大阪発のガレージ・ロック・トリオ、ザ50回転ズ。メンバーは「徳島の酔いどれ」ダニー(vo&g)、「出雲の妖怪」ドリー(vo&b)、「浪速のドラ息子」ボギー(vo&dr)で、04年に結成された。彼らのバイオグラフィはまだ長文で記すまでに至らないけど(なんせ彼らは「これからの」逸材なのだ)、ともあれ06年初頭にリリースしたデビュー・アルバム『50回転ズのギャー!!』が素晴らしい出来映え。サンフランシスコにてアルバム・レコーディングしたことも奏功してか、ルーキー傑作と呼ぶに相応しい作品と思う。(そのコスチュームを含め)ちょっと時代遅れだけども、それ以上に輝かしい斬新さとウィットネスを彼らのサウンドからはザックリと汲み取れる。公式サイト(アーティスト)
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OKMusic編集部

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