【DIR EN GREY】『DUM SPIRO SPERO』
2014年3月8日 at 日本武道館

撮影:尾形隆夫/取材:金澤隆志

 3年前のちょうど今頃、バンドはアルバム『DUM SPIRO SPERO』制作の真っ只中だった。同年夏にリリースされたアルバムを起点とした周期は、そのタイトルが冠された武道館2デイズをもって節目を迎えようとしている。

 コンサートの構成は『DUM SPIRO SPERO』の流れを汲みつつも、随所に息を飲む演出が仕掛けられている。「LOTUS」と「AMON」の2曲は“シンフォニック・バージョン”として、通常のバンドアンサンブルとはひと味違った深淵な世界観を提示。ステージ上のスクリーン映像と演奏が重なり合うことで観る者を異次元の空間へと誘うのがDIR EN GREYのライヴの魅力のひとつだが、ステージ後方の白い布を覆い被せた2階席をスクリーンにして映像を映写するという、武道館の構造を最大限に活かした演出にも度肝を抜かれた。

 アンコールでは、最新曲「SUSTAIN THE UNTRUTH」で強靭なグルーブを効かせたかと思えば、一変、インディーズ時代の「蒼い月」が11年振りにプレイされ、場内は騒然。その流れを引き継ぎ、ラストは「残」でラウド&カオティックに終幕の時を迎えた。唖然とするオーディエンスを前に、スクリーンに映し出された“道はこれからも続く。未来に何が待ち構えているかなど誰も知らない”という意味の英文。バンドの過去と現在が絶妙に溶け合った公演は、まだ見ぬ未来への希望を鮮明に映し出した。それはまさに彼らが3年前にアルバムを“DUM SPIRO SPERO”(=息をする限り、希望を捨てない)と命名した時に想像していた風景だろう。

セットリスト

  1. SE.狂骨の鳴り
  2. THE BLOSSOMING BEELZEBUB
  3. DIFFERENT SENSE
  4. OBSCURE
  5. LOTUS(Symphonic Ver.)
  6. Unknown.Despair.Lost
  7. AMON(Symphonic Ver.)
  8. 蜜と唾
  9. 滴る朦朧
  10. dead tree
  11. VINUSHKA
  12. 霧と繭
  13. THE FINAL
  14. <ENCORE>
  15. VANITAS
  16. SUSTAIN THE UNTRUTH
  17. 蒼い月
  18. THE ⅢD EMPIRE
  19. C
DIR EN GREY プロフィール

ディル・アン・グレイ:カテゴライズ不能かつ不要なロックバンド。1997年の結成当時から全米デビューを果たした現在に至るまでの間、音楽的にも視覚的にも変化を重ねてきた一方で、徹底的に自分たちのロックを追求しようとする姿勢は変わっていない。いくつものトレンドが生まれては消え、消費されるだけの音楽が存在理由を失っていく中、彼らの創造するものがジャンルや国境の壁を超えながら共鳴を集めている理由は、まさにそこにある。DIR EN GREY オフィシャルHP

OKMusic編集部

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