【きのこ帝国、くるり】『怪獣と猫の
    ツーマンツアー』2015年12月9日 at
    Zepp DiverCity Tokyo

    撮影:上飯坂一/取材:山口智男

     序盤のMCで“光栄かつ、なんで俺たちが呼ばれたのか分からないままきてる(笑)”とくるりの岸田繁(Vo&Gu)は言っていたけど、やっている音楽は違っても、オルタナティブな感性とともに歌心を追求しているという共通点を考えれば、これほど観応えあるカップリングはなかったはず。もっとも“きのこ帝国では「海と花束」がダントツで好き”とも言っていたことを考えれば、前掲の発言は照れ隠しだったんじゃないか。11月11日にメジャー1stアルバム『猫とアレルギー』をリリースしたきのこ帝国がくるりをはじめ、多彩な対バン相手を迎え、全国7カ所を回ったツーマンツアー。そのファイナルとなる東京公演。

     後輩に胸を貸すかたちで露払いを務めたくるりはこの夜、新曲を含め、ブルージーだったり、パワーポップだったり、ビートルズ風だったりするストレートなロックナンバーをテンポ良く並べ、エレキギターが大音量で鳴る心地良さと、ほのぼのとした歌心で客席を魅了した。唯一の例外は民謡と昭和歌謡と行進曲がひとつに溶け合ったファンクナンバーの「Liberty&Gravity」。プログレ風の演奏が作る熱気とともに彼らが持つエキセントリックな魅力を大いにアピールしたのだった。

     一方、きのこ帝国は1曲目の「足首」から「YOUTHFUL ANGER」「海と花束」と立て続けにギターの爆音を轟かせ、観客の度肝を抜いた。そして、そこから一転、あーちゃん(Gu)がピアノを弾いた「怪獣の腕のなか」他、新作からの3曲では、たおやかな佐藤千亜妃(Vo&Gu)の歌と佐藤、あーちゃん、谷口滋昭(Ba)、西村“コン”(Dr)の4人が必要最小限の音数の中で織りなすアンサンブルの妙をじっくりと聴かせ、新作における変化をアピール。序盤、轟音に度肝を抜かれた観客が、今度はうっとりと新曲に聴き入っている光景はなかなか壮観だったが、何と言っても圧巻はインディーズ時代の「夜が明けたら」。和んだ空気をピーンと張り詰めた緊張に変えた、痛いほど胸に染みる切なさと佐藤の絶唱にそこにいる誰もが心を奪われたはず。

     『猫とアレルギー』を引っ提げてのツアーを来春に控え、この日のセットリストは新作も含めたバンドの集大成を意識していたのかもしれない。「東京」他の2曲で作り出した躍動の延長でアンコールを締め括った新作からの「ありふれた言葉」――眩い光の中で演奏した、きのこ帝国の新たな所信表明は、さらなる前進を大いに期待させるものだった。

    セットリスト

    1. 【くるり】
    2. 1.ワンダーフォーゲル
    3. 2.シャツを洗えば
    4. 3.Morning Paper
    5. 4.新曲
    6. 5.ばらの花
    7. 6.everybody feels the same
    8. 7.Liberty&Gravity
    9. 8.ロックンロール
    10. 9.虹
    11. 【きのこ帝国】
    12. 1.足首
    13. 2.YOUTHFUL ANGER
    14. 3.海と花束
    15. 4.怪獣の腕のなか
    16. 5.猫とアレルギー
    17. 6.桜が咲く前に
    18. 7.ミュージシャン
    19. 8.夜が明けたら
    20. 9.東京
    21. 10.Donut
    22. <ENCORE>
    23. 1.クロノスタシス
    24. 2.ありふれた言葉
    くるり プロフィール

    1996年9月頃、立命館大学(京都市北区)の音楽サークル『ロック・コミューン』にて結成。98年10月にシングル「東京」でメジャー・デビューし、99年4月にメジャー1stアルバム『さよならストレンジャー』をリリース。以降、コンスタントに作品リリースを続け、03年には映画『ジョゼと虎と魚たち』の全編に渡る音楽監修を務め、10月にテーマ曲「ハイウェイ」を収録したオリジナル・サウンドトラック『ジョゼと虎と魚たち』を発表。05年9月、京浜急行電鉄テーマソングとしてTVCMで使用された16thシングル「赤い電車」を発売。また、同し年には岸田繁(Vo)、佐藤征史(Ba)がCocco、堀江博久、臺太郎とともにSINGER SONGERを結成。デビューシングル「初花凛々」やアルバム『ばらいろポップ』を発売するなど話題を集めた。06年7月、初のベストアルバム『ベスト オブ くるり/TOWER OF MUSIC LOVER』を発表。さらに07年6月には、邦楽ロックバンドとしては史上初の試みとなったウィーンレコーディングを敢行し、パリでMix作業を行なった7thアルバム『ワルツを踊れ Tanz Walzer』を発表。同年より、くるり主催の野外フェス『京都音楽博覧会』をスタートさせる。翌年には第2回目が開催され、今や夏に欠かせない人気の野外イベントとなっている。09年2月リリースのシングル「三日月」が初のドラマ主題歌に起用され、6月にアルバム『魂のゆくえ』を発表。10年5月にキャリア初となる歌詞集『くるり詩集』を上梓し、9月に全曲国内レコーディングで制作されたアルバム『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』をリリース。11年には映画『まほろ駅前多田便利軒』や『奇跡』に楽曲を提供し、6月に自身2作目となるベストアルバム『ベスト オブ くるり -TOWER OF MUSIC LOVER 2-』を発表した。12年3月に石川さゆりのオファーを受け、「石巻復興節」を制作。同年7月にはアルバム『坩堝の電圧』(12年9月発売)の先行シングル「everybody feels the same」(12年8月発売)のリリースを記念し、8年ぶりとなるフリーライヴ『QURULI FREE LIVE at YOYOGI 2012~everybody feels the same~』を行なった。13年10月に「Remember me」、12月に「最後のメリークリスマス」とシングルを発表。そして、デビュー15周年となる14年は、全47都道府県のライヴハウスを巡るツアー『DISCOVERY Q』を実施。また、同年10月公開の映画『まほろ駅前狂騒曲』の主題歌に新曲「There is (always light)」が起用されることが発表し、同曲も収録したアルバム『THE PIER』を9月にリリース。くるり オフィシャルHP
    くるり オフィシャルTwitter
    くるり オフィシャルFacebook
    くるり オフィシャルYouTube
    くるり オフィシャルブログ
    Wikipedia

    OKMusic編集部

    全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

    0コメント