取材:フジジュン

“働いたら負けです!”って(笑)[ら
っぷびと]デビューしなかったら、怪し
いニートだよ[大槻]

おふたりの関係はらっぷびとさんがネットの動画サイトに、大槻さんの「人として軸がぶれている」のラップバージョンを投稿して、話題を呼んだことから始まるんですよね?

大槻
そう、勝手にやったんですよ!
らっぷびと
はい、そこは謝るしかないです(笑)。
大槻
最初、「人として軸がぶれている」の作曲者である、ナッキー(特撮ギタリスト・NARASAKI)に、“こんなのがあって、俺らより売れてるんだよ”って教えてもらって(笑)。で、聴いてみたらクオリティも高いしビックリして。“版権どうなるんだろう?”とか思ったんだけど、僕もナゴムレコードでは「高木ブー伝説」とか、むちゃくちゃやってたし。

あまり人のことは言えないですよね(笑)。

大槻
ヒドいよね。高木ブーさんの名前を連呼して、ジャケットにもブーさんの写真を使ってたら、それがTHE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」くらい売れちゃって(笑)。若気の至りとは言え、ヒドいでしょ?
らっぷびと
すごいですね!(笑)
大槻
でも、その時にブーさんが“若い人が面白がってやってることだから、それは許してあげようよ”って粋な采配をしてくださったから、今の僕があるわけで。俺も若い人がそういうことをした時は、逆に面白がってあげたいって気持ちがあったんです。そしたら、らっぷびとが出てきたので、これは押し上げてあげようって。単純にカッコ良いと思ったしね。
らっぷびと
ありがとうございます! あの曲はアニメ『さよなら絶望先生』のオープニングで初めて聴いたんですけど、すごく衝撃を受けて。それでインストにラップを乗せて、動画を付けてアップして。

そしたら、その動画が40万ページビューです!

らっぷびと
もともと『さよなら絶望先生』もそうだし、楽曲自体の人気もあったので。完全に僕が乗っかった形で。ヒドいことした上に乗っかってるという、本当にヒドい話です。
大槻
先に相談してくれれば課金制にしたのに(笑)。デビューしたばっかりだけど、何か環境とかは変わった?
らっぷびと
変わらないですね。今でも自宅で音源制作をしているっていうのは変わらずで。
大槻
自宅か、いいなぁ! 家出ようよ、家。でも、俺も売れてから実家出たからね。実家、楽でいいよね(笑)。
らっぷびと
はい。昼間は母親が仕事で出てるので、基本、家でひとりで歌ってます。
大槻
危なかったね、デビューしないで30歳超えてたら、ただの怪しいニートだよ。6時のニュースに出てきてね、“俺はまだ本気を出していない”って。
らっぷびと
“働いたら負けです!”って(笑)。

「人として軸がぶれている」で歌ってる主人公って、昔の大槻さんだったり、せこせこと宅録しているらっぷびとさんだったりするわけですよね?

らっぷびと
そうですよね。だから、歌詞に共感する部分が多くて、今の自分の感じがすさまじく表現されている曲だなって。それで歌詞も書きやすかったってところは大きくて。

今度リリースするアルバム『ミッドナイト・プラグレス・カフェ』は聴かれました?

らっぷびと
聴きました! めちゃくちゃ良かったですね。
大槻
ありがとう。アレにも「人として軸がぶれている」が入っているんだよ。
らっぷびと
はい。全然違う印象で、それがまた良かったです。
大槻
女の子の歌声を自分で歌ってて、虚しくていいなと思ったんだけど(笑)。僕は絶叫型ボヴォーカルなんですけど、アコースティック形式もずっとやってて。今作は、それの名刺代わりになればいいなと思って作ったんだけど。アコースティックだと機動性があって、いろんな場面でいろんな人と一緒にできて。今までも佐野史郎さん、ダイヤモンド☆ユカイさん、かまやつひろしさん、亡くなった中島らもさんと、さまざまな人とライヴをやって、いろんな世界があることを知れて、それが面白いんですよ。今度、機会があったら、らっぷびとくんも、今のヤングがやってる、フォークがあって途中でラップが入る…みたいなのを一緒にやってくださいよ。
らっぷびと
いやぁ、こちらこそぜひ!

大槻さんはラップには興味はあるんですか?

大槻
真面目な話をすると、ラップでよく歌われるテーマってあるじゃないですか。だから、ラップのセオリーをまったく無視した、怪奇幻想なことしか言ってないラップをやったら面白いんじゃないかと思ったことはありますね。

見たいですね、MCケンヂ!(笑) しかし、大槻さんは筋肉少女帯とソロワークを同時にやって、ラップにも興味を示して。どんどんフットワークが軽くなってますよね。

大槻
40代になったら人生のモチベーションが見出せなくなって。若い頃は女の子のことばっかり考えていて(笑)、それがモチベーションにもなったんだけど、今は全然。あと、お酒も健康上の理由で止めていて。そしたら、やることがないんですよ(笑)。それで、“作品を作ること自体をモチベーションにすればいいんだ!”って思うようになって。らっぷびとくんもこれからね、女の子にキャーキャー言われるようになったら、“アイドルとも付き合えるんじゃないか?”とか思うようになるよ。
らっぷびと
そうですかね?(笑) でも、モテないですよ。僕は特に内気なんでクラブに行っても声掛けないですし。
大槻
そうか、ラッパーやってもモテないかぁ(笑)。
大槻ケンヂ プロフィール

オオツキケンヂ:1982年に筋肉少女帯を結成、88年メジャーデビューを果たす。同バンドの作詞をほぼ手がけており、独自の幻想的かつ自虐的な世界観が高く支持された。また、2000年に特撮を結成。現在はロックミュージシャン、作家として幅広い活動をみせる。オフィシャルHP

らっぷびと プロフィール

1987年9月16日生まれ、東京都世田谷区出身のらっぷアーティスト、らっぷびと。都内出身にも関わらず渋谷ではよく道に迷い、自宅から自転車で20分程度の距離しか離れていないスタジオに何故か片道2時間かかってしまうほど極度の方向音痴。アーティスト人生初めての取材を自宅で寝過ごすほどの鉄の心臓の持ち主。

07年9月、アニメ『さよなら絶望先生』オープニング・テーマに起用された大槻ケンヂと絶望少女達「人として軸がぶれている」に、ラップを乗せた動画が<ニコニコ動画>内のランキングで連日2位を獲得。アマチュア・アーティストでありながら、信じられないほど完成度の高い楽曲と原作の世界観をフューチャーした絶妙なリリックがクチコミで話題を呼び、<YouTube>などのその他動画投稿サイトにも人気が飛び火。当時の動画は既に削除されてしまったものの、アクセス数は累計で40万PVを突破した。

06年夏には“ネットRAP”出身者のみが出演するライヴ・イベント『World Wide Words』が発足。以降、毎年継続的に開催されているが、その勢いは年々大きな広がりを見せている。らっぷびともそういった環境の中で楽曲製作を行い、08年8月発売のミニ・アルバム『RAP BEAT』に参加しているトラック・メイカーの多くが、ネット上で知り合った仲間達だった。
09年2月に<EMIミュージックジャパン>より、1stシングル「All Day,All Night」でメジャー・デビュー。そして、現在ネット出身である新世代のラッパーやトラック・メイカーが力を付け、インターネットの垣根を越えた音楽のシーンで頭角を現し始めている。その中の一人として最も話題を集めているアーティストがらっぷびとなのだ。らっぷびと オフィシャルサイト
公式サイト(レーベル)
公式サイト(アーティスト)

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。