取材:石田博嗣

他にこんなことをやってるバンドはいな

前作『THE 卍』のレコーディングの時から、“卍、ラスベガスへ行く”というタイトルにしようかと話をしていた2ndアルバムが完成しましたね。

言ってましたね(笑)。今回はコーラスに一番時間をかけました。卍を結成した理由が、ハイエースに乗ってライヴハウスを細かく回って、地元のバンドと演奏するっていう音楽家冥利に尽きるようなことをしたかったからなんですね。だから、前作を出した後は17カ所ぐらい細かく回りまして…道中とかもいろんなことがあってバンドの団結力が強くなり、ライヴを重ねていくうちにコーラスにおける3人の役割分担が明確になったので…前作は初めてのアルバムだったので、3人のコーラスというものが活かされてなかったんですけど、今回は各人の声の個性が分かるように3人でハモってます。バンドってツアーをやると声が似てくるんですよ。どうすれば美味しいところで三位一体になれるかが分かってくるというか。だから、レコーディングが終わった頃には、みんな同じ声になってました(笑)

楽曲制作はどんな感じで?

最初は“卍、ラスベガスへ行く”っていうタイトルにしようと考えてたんだけど、なかなか“こういうものを作ろう!”と思って楽曲はできないもんだね(笑)。昨年の10月かな? ファンクラブ旅行も兼ねて沖縄でライヴをやったんですね。そこで2ndアルバム用の新曲を聴いてもらって、みんなにアドバイスやアイデアをアンケートで求めるっていうことやったんですよ。でも、沖縄に行く前にあったのは2曲ぐらいだったんで、これはマズいなと。で、仕事が終わって、夜の9時ぐらいに家に帰ってから…その時は1、2曲できればいいかなと思ってたんですけど、作り始めるとどんどんアイデアが出てきて、次の日のお昼には5曲入りのデモテープができてました(笑)

今回も3人一緒に一発で録って、間違えたら頭からやり直すっていうレコーディングだったのですか?

前作は10日間で全ての作業を行なったんですけど、今回はより一層の苦行でしたね。なんと、トラックダウンも含めて7日間しかなかったんですよ。なので、ギターソロも含めてほとんどダビングもしてないし、一気に全員でやってますね。だいたいのアウトラインを作っておいて、あとはその瞬間のインスピレーションで弾くって感じでした。でも、事前のバンドリハーサルを細かくやってたんで、だいたい2テイクでOKでしたね。中には、作詞をしながら歌入れをして、それを1回で録ってしまったものもあったり(笑)。最初は7日間でできるのかなと思ってたんですけど、間に合っただけではなくて、アルバム未収録の曲を2曲録って、さらにスタジオライヴ盤を作りましたからね。しかも、アコースティックで。アルバムの楽曲の数曲をチェロとガットギターとパーカッションだけでスタジオライヴをして…だから、今までで一番スタジオ作業が早かったかもしれない。

その尋常でないテンションはアルバムから感じれますよ(笑)。あと、熟年プレイヤーが本気で遊んでいる音楽だなって。

よくぞ、これぐらいの年齢の人たちが集まって、こんなにアホなことばかり延々とやってるなって。ほんと、ロック好きなおじさんが好き放題にやってる音楽ですね。自分たちは最高だと思ってるし、他にこんなことをやってるバンドはいないっていう自負はあるんですけど、果たしてどんな人がこれを好きなんだろうかって思ったりします(笑)
THE卍 プロフィール

ザ・マンジ:すかんちのROLLY、元マルコシアスバンプの佐藤研二、元X-RAY/RESISTANCEの高橋“ロジャー”和久というロック30年選手たちが集結し、熱きパッションを注ぎ込んだロックバンド。THE卍Official Website

OKMusic編集部

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