【ジルバ】
取材:お髭のマツオカ
フルアルバムっていうのはジルバは初めてですよね。結成から丸4年、集大成って意味で楽しみだったのでは?
宇佐美
アルバムに入ってる曲がまさにそうですけど、集大成的な意味はあると思う。それと、バンドってアルバム出してなんぼってずっと思ってたんで、単純にうれしいって気持ちはありますね。
逸見
うれしいというのもあるんですけど、アルバムから漏れた曲もかなりあるんで…次につながるな、という気持ちも大きいです。
今回は全部で何曲くらい用意したのですか?
逸見
40~50曲かな。それをまず20曲くらいに絞って…あとはジャンケンですよね(笑)。
極端にジャンケン強い人がいたらヤバいですね、それ(笑)。
宇佐美
あとは、“動物シリーズ”とか、“名前シリーズ”とか、タイトルで不思議な並べ方して…熱くしゃべった人のテンションで決まったりね(笑)。
逸見
それ、あんまり参加しなかったな、俺。
宇佐美
もう“いっか、これは次のアルバムで…”くらいのテンションだったよ(笑)。
音の方は、今までのミニアルバムだけではジルバは語り尽くせないなっていう印象を受けました。スカのアプローチとかロカビリーのテイストとか、振り幅が大きいなという。リスナーにジルバのいろんな面を見せたいっていう気持ちの表れですか?
逸見
選曲の話し合いの時に、その話がモロに出ましたね。自分らの楽曲を冷静に見た時に、何色かに分けれたんですよ。よく海外のアーティストで1作目が“青”だったら次は“黄色”になって賛否両論で…そう思ったら次は“緑”でっていう。そういうパターンでもいけるかもっていう考えもあって。けど、今5色なら5色出せばいいじゃんっていうところに落ち着いて。結果的に全色散りばめましたね。
ヴォーカルの表情も、多彩ですよね。
逸見
まぁ、その曲のイメージの通りに歌っただけなんで。最初から“この歌だから、こう”っていうのではなかったです。
逸見さんご自身は、器用なヴォーカリストだと思いますか?
逸見
う~ん…器用貧乏だとずっと思ってたんですよ。そのせいで、どれが自分なのか分からずに音楽を続けてきたんですけど、ジルバを結成した時に初めて、自分はコレだなと見つけて。逆に言えば、そこからは不器用にはなったと思う。年々、不器用になってる。これじゃ、カラオケでお姉ちゃんにウケねぇな、と。昔はもっとスウィートな歌が歌えたのにって(笑)。
宇佐美
いやいや、今でも全然スウィートだよ!(笑)
ちなみに、(8月18日の時点で)今の資料だとアルバム名が“(仮)”になってるのですが…。
逸見
俺的には8割、9割は“JITTERBUG”でいいんですけど…。
宇佐美
じゃ、今決めましょう。それで。
おぉ! 歴史的瞬間に立ち会いましたね、僕。
逸見
1stアルバムで名刺代わりとしては、コレですよね。
前のインタビューで、ジルバのレコーディング方法は、ドラムは練習スタジオの天井マイクだって聞いたのですが。
宇佐美
…普段はそうですね。今回は環境が違ったんで、ドキドキもんでしたけどね。
あと、リハとギターがまったく違うんで、出来上がるまで誰にもどんな曲になるのか分からないというのもうかがってました。
宇佐美
そうですね。ちょっとリスナー的な気持ちでもある(笑)。“何が出てくんだろう?”って。
今回のアルバムで“産みの苦しみ”はありました?
逸見
すごくいい環境でやらせてもらえましたね。エンジニア泣かせな感じで。天井マイクが最高だって言ってるバンドですからね(笑)。デジタルの録音だと、音が鉄っぽくなるんですよ。だから、鉄パイプよりかは木刀の感じでって言って…贅沢なことにアナログのテープも回してもらってますから、今回。
周囲の状況含め、バンドのコンディションが良さそうですね。
逸見
熱い人に集まっていただいてるんでね。運がいいことだと思ってます。結果はそんなに大事じゃなくて、その過程が大事だと思ってるんで。そういう意味では、いい過程を過ごさせてもらってますよ。
ジルバの世界観って“懐かしきリズムに乗り、生きた唄を歌う”って歌詞もあるんですけど、以前にも昭和の文学、太宰 治とかの影響が濃いとおっしゃられてましたよね。ちょっと興味あるのですが、逸見さんにとって“昭和”ってどんなイメージですか?
逸見
僕的には、昭和の後期はとても悲しい時代だなと思ってて。追い付け追い越せの文化がすご過ぎて。むしろ、僕の知らない戦前の方が、人間が生きるために必死だった感じがして、今の平成とリンクする部分があるんですよ。人々の“熱”は一定になってしまったんですけど、状況は似ていると思うんですよね。だからこそ、自分が考えてることは今やっていいんだとうなずけるんです。最近、偉大な方がたくさんお亡くなりになられましたけど、みんな改めて“生きる”ってことを考えさせられたんじゃないかなと思うんですよ。俺らも、そういうことを考えさせる音楽をやってるつもりですしね。
なるほど。では、改めてアルバムのアピールをお願いします。
宇佐美
今回のアルバムは、好きな人がいるだろうとか、引っかかる人がいるだろうと思って作ったんですよ。だから、そういう人たちが知らずにいることは、もったいねぇなっていうのはあります。その人たちにまず届けばいいかな。あと、music UP'sのコラムもお願いします。ジルバって別に怖いバンドじゃないんで(笑)。
アーティスト