取材:フジジュン

まずは再始動に至るまでの経緯から訊かせてください。

“また、氣志團をやろう”って話になったのは1年半くらい前ですかね。その時も6人で顔を合わせたのは久しぶりって感じではなかったんですけど、昨日もメンバーと呑んでいたのに“こんなテンションではなかったなぁ”というのは感じていて。

再始動前と比べたメンバーとの関係性が?

はい。メンバーとは12年くらい一緒にいて、デビューしてからは仕事として365日中、350日くらい一緒。それってやっぱり異常なんですよね。俺は全然そう感じないんですけど、みんなプライベートの時間を欲しがっていたし、プロとして友達だけではいられなくなっていくし。俺もその分、厳しくもしたと思うんですよ。そこで少しずつメンバーとの関係性が開いてきた部分はあったんでしょうね。

お互いの気持ちにズレが生じてきたということですよね。

よくあるんです。仕事が終わって別れたけど、実はその後みんなで呑んでたとか。そこで“俺、ちょっと違う場所に行き始めてるのかな?”と思うこともあったんですが、“関係ねぇや!”って。“仕事では楽しくやればいいや!”と思ってたんですけど、みんなが少しずつ変わっていくことを徐々に感じ始めるんです。許せない事件もいくつかあって…忘れもしない2003年8月の『氣志團万博』後、“みんなにお礼がしたいから、温泉行こう”って。予約してバスを取ったら、当日誰も来なかったという。

アハハハ。いや、笑っちゃダメですね(笑)。

ま、それでも氣志團やってられることが幸せだと思っていたんですが、作品の出来栄えにも納得いかないことも多かったみたいで。彼らがテレビや取材が好きではないこともあるんですが、“もう少し時間があれば、もっと良い曲ができた”と言い始めて。

“音楽以外に費やす時間をスタジオに使いたい”と。

そうです。それも俺に言わせれば甘いんですけど、“こんなのやってられない!”って悲鳴を上げてくる人も出てきて。それが05年くらいかな? 素直に音楽がやりたい、音楽を信じてるのにって部分だったと思うんですけどね。氣志團にいると訳の分からないことをたくさんやらされますから(笑)。ただ、俺は逆でスケジュールが緩くなったら終わりだと思っていて。それはみんなにも繰り返し言ったけど、“俺たちは完全な偽者だから、本当のミュージシャンと勝負できるのは気力と根性、体力だけしかねぇだろ? 走るのを止めたら、俺たちなんてあっと言う間にいなくなっちゃうぜ”って。でも、みんながステージでどんどん音ばかりにストイックになっていくのも分かって、“これは俺たちの目指してる場所じゃない”と。そこで起死回生の一発として“10周年はみんなで底抜けにバカやろうぜ!”って言ったら、ブチ切れられて。それで一旦休んでもコイツらを食わせてあげられて、周りも納得して、なおかつ俺の気持ちも伝えられる方法がないかと考えて生まれたのが、DJ OZMAだったんです。みんなは首を傾げてたけど、俺にはすごい自信があった。

それもこれも氣志團のためだったわけですしね。

もちろん。俺はこれからもいろんなことをやっていくと思いますが、それも全部氣志團のためですから。“何でOZMA辞めたんだ?”って一部の人にはすごく言われるし、“氣志團にどれだけの伸びしろがあるんだ?”って思う人もいっぱいいると思うんですけど、俺は氣志團以上のコンテンツは作れないと思っているんです。俺、15万~20万枚くらいのプチヒットするものだったら、今すぐにでも作れる自信はあって。ただ、それはたまにやればよくって、一番可能性を感じているのは、やっぱり氣志團なんです。

再始動後は気持ちがひとつになっているのを、GIGからも感じました。状態の良さは新曲にもしっかり反映されていると思います。

セルフプロデュースは初めてなので、つまづく部分もあるし、これまでサウンドプロデュースをお願いしていた阿部義晴さんのすごさも改めて実感しているんですが、俺はそういう面でもOZMAの経験や小さな自信が生きているなと。まだ1年生で分からないことだらけだけど、本当に楽しいし、わずかな手がかりも掴めていて。これが新生・氣志團なのかは分からないけど、我々の人生の中でまた面白い場所には来ているなとは思いますね。

サウンド面も、シンプルながら隙がないんですよね。これだけ聴くたびに発見のある楽曲って、これまでなかったなと。

これだけシンプルなことをやったのも初めてでしたしね。80~90年代の子なので、“シングルバージョンというのはギラギラしてるもんだ”みたいなところがあるんです。“アンジーの『銀の腕時計』のシングル盤は、アルバムバージョンと比べてなぜこんなに派手なんだろう?”みたいな。だから、正直怖い部分もあるんですけど、みんなも後押ししてくれるからいいのかなって。ヴォーカルも今年になってやっと吹っ切れたんです。今まで自分の声質が嫌いだし、歌唱力もないんで、やってていいのか不安もあったんですが“それもしょうがない。俺しかいないんだから”って。みんなも言ってくれるんです、“俺たちはやっぱりオマエの声が好きなんだ”って。だったら、俺も男の子だし、頑張ろうかなって。

今作はリスナーにどんな聴き方をしてほしいですか?

俺らの音楽って絶対にBGMには成り得ないし、ドライブの時に流れてたらウザいと思うんですけど、それでいいかな。聴きたくないことは聴こえないフリすればいいし、見てないフリすればいいんですけど、音楽と女の子は本当にヤバイ奴ってどんなに耳や目を塞いでも入り込むんですよ。俺もそういう音楽を作りたいなって思うんですよね。考えてみると、昔付き合って“良い女だったな”って思ったのって、大体そういう女で(笑)。氣志團はそういうふうになりたいな。わずらわしいけど、気になってしょうがない。そんな存在になれたら良いですね。
氣志團 プロフィール

「大胆かつハレンチに、Vのベルトはヴァレンチノ!!」——を合い言葉に、"カラスの街"千葉県・木更津から飛び出した6人組。ルックス・楽曲共々、古き良き男気を存分に感じさせる"いなたさ"全開の一方で、過剰にして厄介なセンチメンタリズムにも少女漫画並に精通。世界初の"ヤンク・ロック(ヤンク=ヤンキー+パンクの造語)"を宣言する、リーダーにしてメイン・パフォーマーの綾小路"セロニアス"翔は、地元の不良界ではすでにカリスマとして君臨しているとか。
全員ボンタンとリーゼントを基調としつつ、一見セレモニー風なライヴで応援団的精神論を感じさせながらも、アクションにはどこか80年代原宿竹の子族的なオチャメさも潜んでおり、「ウナギと梅干し」どころではない芸風の過剰なゴタ混ぜぶり(サービス精神、とも言う)がまず尋常ではない。楽曲もロック・バンド的ギター・サウンドを軸に、いまどきのレア・グルーヴな息吹も十分に感じさせながら、しかし歌メロは完全に往年の歌謡曲直伝の哀愁フレーズ大噴出状態。聴く者の涙腺をムリヤリこじ開けてでも感動させる脅迫に近い泣きメロ攻勢には、時代は21世紀に変われどやはりコレやられたら日本人なら抗えぬ——という歴史的史実を否応無しに実感させられることとなる。
ついでに言っとくと"ウケる/ウケない""笑える/こっ恥ずかしい"のギリギリ線上をタイトロープで彷徨う「ちょっとダメな、俺」チックなMCも、その危うさゆえに放っておけないハラハラ感が見守る者すべてを保護者気分に誘致してしまう"やきもきマジック"全開で、要するに一時たりとも目が離せないわけなんである。重度中毒患者急増中。  (小池清彦)氣志團 オフィシャルHP(アーティスト)
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