【school food punishment】
取材:高木智史
今作は映画『東のエデン 劇場版 I The King of Eden』の主題歌ということで脚本を読んで書き下した楽曲だそうですが。
内村
そうですね。脚本があって、作品のイメージもある上で、歌詞もメロディーもイチから作るというのは初めての経験でしたね。だから、何がぴったりハマるのか探り探りでやっていったのですごく試行錯誤しました。この曲を作っている時は他の曲なども並走してやっていたので、私と他の3人という感じで、別行動をすることもあった時期なんです。でも、この曲の原型は3人でセッションしてできたんですけど。
蓮尾
僕の中でコードとキメのアイディアがあったので、Aメロ、Bメロ、サビまでの展開を一気に作りました。で、一旦録音したものを自宅に持って帰って、デモを仕上げて内村に渡したんです。“こんなデモができたんだけど、これに歌を乗せれないかな”という感じで。で、歌詞の希望としては切ない感じのものをお願いしてたんですけど、すごく怒ってる歌詞が上がってきたという。
内村
“よっしゃ! 切ないの書くわ”って言って持って帰って自分の中のものをバーって出して“はい!”って渡したら、“怒ってんじゃん!”って(笑)。その時の私の心を占めていたのが怒りモード一色だったんです。いろいろ理不尽だと感じることが多くて、“くそー!”とか“絶対どうにかしてやる!”みたいな。でも、その“絶対!”というところから“切ない”に行けると思ったんだけどな。強すぎました(笑)。
サウンドとしてはバンドの音がメインに感じられたのですが、電子音とのバランスは?
内村
その楽曲のメッセージが一番伝わるものとして音は作っていますね。どういう音だとリアルに感じられるかどうかって。今回の曲は電子音が多すぎると曲が嘘臭くなってしまうと思っていたんです。地に足を着いたことを書いているから、もっと人間っぽくするために生楽器をメインに使いました。
蓮尾
内村から始めに出た“怒り”をヒントに、攻撃的に生楽器と電子音のバランスをブラッシュアップしていきました。
やはりこの曲は“怒り”を発端としてるのですね。そこから結果的には冷静な視点で描かれている歌詞が印象的です。
内村
時間が経つと怒りも静まるじゃないですか。だから、時間が経つうちにだんだん何か違うなと思うようになったんですよね。そして、一番のサビに“きっと 冷たくて暗い雨だって 誰か救っているから”というのがあるんですけど、それを最初に書いた時にこの方向かと思ったんです。優しい強さというか…凛とした感じ。“冷たくて暗い雨”というものは自分にとって、良くないもの…影だったり闇であって、そこを抜け出すということが光だっていうのが自分の定義だったんです。でも、影も誰かを救っていたり、誰かのためになっていたりするだろうから、一概には言えないなと思って。これまでは光に行くためには闇なんて蹴散らしていこうよっていう考え方だったんですけど、闇の部分に意味があると思ったことは今までなかったので、広く受け止めることができたというか、それを書けて自分自身の成長をすごく感じました。自分のマインドとしても、こういう考え方で生きていくのもいいなって思いましたね。