L→R 許田信介(Ba)、仲宗根 泉(Vo&Key&Cho)、新里英之(Vo&Rap&Gu)、名嘉 俊(Dr&Rap&Cho)、宮里悠平(Gu&Cho)

L→R 許田信介(Ba)、仲宗根 泉(Vo&Key&Cho)、新里英之(Vo&Rap&Gu)、名嘉 俊(Dr&Rap&Cho)、宮里悠平(Gu&Cho)

【HY】音にこだわり、歌にこだわった
ニューアルバム

ニューアルバム『Whistle』は前作アルバムでうかがえた、全世界規模の“マクロな愛”からさらに奥深く進み、自分の身近で、一対一感の漂う“ミクロな愛”にフォーカスが当てられた全12曲。またもや聴く者の心に響き、ともに歩きたくなる作品に仕上がった。
取材:池田スカオ和宏

まずは、今作を完成させた今の感想からひとりずつお願いします。

許田
無意識でしたが聴き返すと、キチンとこの10年を詰め込めた作品になったかなと。これから何かを始めようと思っている人にはぜひ聴いてもらいたいですね。
宮里
ハードな曲、ポップな曲、バラードとバランス良く入ってますから。今回は制作する時間が十分あった分、アレンジも念入りに練れたのでより今の自分ができる全てを入れ込めました。
仲宗根
みんなのスキルも確実に上がり、やりたい音楽性や新たに挑戦した要素もふんだんに織り込めてますね。
名嘉
自分が身近に感じたことを表現できた1枚かな。前アルバムの『HeartY』が大きく地球のことを歌っていたのに対し、今作は逆にそこからもっと突き詰め、自分の夢や沖縄の歴史など、自分たちの身の回りに寄り添った、日々の出来事や思っていることを曲にしたものばかりですから。
新里
歌詞は今まで以上にリアルさが増しています。経験が言葉の重さにつながってますね。だけど不思議なのは、それぞれ口に出さずとも、各曲がつながっていたり、楽曲のテーマが近かったことで。何かを切り開いていく曲、何かを始める曲、これからの自分たちを彷彿させる曲が各々から出ましたからね。

その要因はどの辺りから?

仲宗根
メンバーとは普段からよく集まって遊んだり、語ったりしています。その中での会話や思っていることが、共通の想いを描かせたのかも。

さらに、今回は“語りたい”“伝えたい”といった要素も増えているように思いました。

新里
それは大きいかな。やはり、ここまで来れたのもファンのみなさんのおかげだし。それらを常に心に持って曲を書いてますから。意識的にも“一緒に行こうよ”って感じだし。

サウンドも、全体的にやわらかくデリケートな面とダイナミックでスケール感の大きな面の両極が同居してますね。

名嘉
初期の面やここまで成長した部分、このアルバムならではの新しい要素が合わさって今作ができたと自分では思っていて。特にアッパーな曲は、1~2枚目の荒々しさやフレッシュさを思い出しましたよ。
許田
今回は時間があった分、いろいろと試せましたからね。妥協したくなかったんで、全体的にかなり丁寧に作っていきました。
宮里
それこそ今まで以上に自分たちが求める音に貪欲でしたから。

あと、“これでもか!!”ってぐらいストリングスも入ってますね。

名嘉
今回もストリングスのおかげで、歌詞の世界観もより一層深みが増したし、光景も浮かびやすくなりました。ストリングスが入ることで、どの曲もより感動的になったし。

「うけんビーチ」は、かなり風通しの良いナンバーですね。

名嘉
ドラムの代わりにカホンを使ったアコースティックタッチの曲なんですが、シンプルな分、難しかったところもありました。

「ビタミンI」は好きだからゆえの疑いのやりとりを歌った歌詞も秀逸で。

仲宗根
この曲は、普通に起こり得るケンカやすれ違いを描きつつ、ミュージカルっぽい要素を取り入れてみました。ライヴでは、男子も女子も自分の立場になってそれぞれの気持ちをぶつけてほしい。

「君のいない世界」では、間に男女の寸劇も入ってますね。

新里
今回はそこも含め、“こういうことしたら面白いんじゃ?”の発想を具現化したものが多いんです。例えば、この曲でのラテンからジャジーに移っていく部分も会話やノリから生まれたし。

「すてがらHOLLY」は歌謡的な要素もあるような。

宮里
ハードでノリの良い曲を意識し、ワイルドなんだけど、細かい遊びを各所に入れることで、アクセントを付けてみました。ラストには遊びでメタル風のギターリフを入れてます(笑)。

「Answer」はゴスペルも入っており、最後は壮大な光に包まれる印象を持ちました。

仲宗根
この曲は本格的な黒人のゴスペルの方のコーラスも交え、壮大感を意識し、感情に任せソウルフルに歌ってみました。

ラストの「時をこえ」もゴスペルテイストですが、こちらは聴く者の心に何か訴えかけたり、伝える要素が強いですね。

仲宗根
この曲がアルバム収録曲の中で最後にできた曲なんです。沖縄についての歌を作りたいと常々思ってましたが、今回ようやく叶いました。歌いたかったのは、戦争のことはもちろん、家族や命の尊さなんです。この曲は沖縄民謡にゴスペルがブレンドされていますが、そこにもある種の葛藤があって。

それは?

仲宗根
沖縄民謡にゴスペルをブレンドしたことで、“これは冒涜だ”と捉える人も現れるんじゃないかなと。過去の戦争のこともあり、沖縄の人には海外の音楽を受け入れられない人もいるし、ましてや沖縄民謡と言えば自分たちのアイデンティティですから。だけど、今回は覚悟を決めてブレンドしてみたんです。やはり、本当の平和を唱えるのなら、絶対に今回のようなブレンドは避けて通れない道ですから。なので、この曲をプレイする前には、あえてMC等で“なぜこうなのか?”を説明しています。この前の沖縄でのストリートライヴで初めて歌った際には、観に来てくれた私のおばあちゃんからも理解され、絶賛してくれたんで、その時は“やった! 理解してもらえた!!”って気持ちでいっぱいでした。

アルバムタイトルには、どういう思いが込められているのでしょうか?

名嘉
結成10周年ということもあり、自分たちとしてもリスタートの気持ちでいっぱいだったんで、スタート前の合図や船出の汽笛をイメージして名付けました。今作には「レール」を始め、それぞれ違ったスタートを切る曲も多かったんで、開始の合図や自分の心が危ない時や考えなくちゃならない時の警笛の意味も含まれてます。

まもなく全都道府県ツアーで160本以上を回りますが、その意気込みを!

新里
今までみんなから受けた感謝の気持ちを届けに、今度はこちらからみんなに会いに行きます。ライヴハウスという原点回帰も含め、僕たちの10年目をぜひみなさん楽しんでください。
HY プロフィール

エイチワイ:2000年結成。沖縄県うるま市出身。グループ名の“HY”は彼らの地元・東屋慶名(Higashi Yakena)の地名が由来。03年に発表した2ndアルバム『Street Story』がインディーズとしては史上初のオリコンチャート初登場&4週連続1位という偉業を達成し、ミリオンセラーに。現在も沖縄に在住し、全国・世界へと音楽を発信している。HY オフィシャルHP

OKMusic編集部

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