【松下優也】自由じゃないから
自分の力で飛び立ちたい
6月に1stアルバムをリリースしたばかりの松下優也が、タイプの違う3曲を揃えたシングルをリリース。20歳になった彼にとって“bird=自由”とは、どういうものなのだろうか。
取材:大庭利恵
表題曲の「bird」は、自由をテーマにした大人っぽい世界観ですよね。
僕も大人っぽいなと思ってるんですけど、実はデビュー前からある曲で、歌も2年前のテイクを使ってるんです。
ということは、18歳のときに?
はい。自由って人間にとって永遠のテーマだと思うので、18歳のころの僕と今の僕では解釈は多少違うけど、当時の淡々とした歌声が、この曲にはぴったりだと思ったんで、そのまま使おうと思って。
18歳の自由と、20歳になった現在の松下くんの自由には、どういう違いがある?
20歳という年齢って、いろんなことが自由になるじゃないですか。僕、お酒に興味がなかったんで、20歳の誕生日にいいお酒を飲ませてほしいってお願いしたいんですよ。僕が最初に飲んだ酒はドンペリだって言いたくて(笑)。それ以来、飲んでないんですけど、そういうふうに世間からの規制が解かれるってことは、逆に責任を持たなきゃいけないんだなって思いましたね。ただ、それは現実的な部分で、気持ち的なところでは15歳のときから同じです。
15歳といえば、N.Y.に留学したころですよね。
そう。N.Y.に行ったとき、自分ってなんてちっぽけなんだと思ったんです。それと似たような意味で、空を見上げると、自分は地球というちっぽけな惑星の中に閉じ込められてるような気がするんですね。自分の足ではこの場所から飛び立つことはできないんだなって。
普通は、そこから飛び立ちたくて空を見るものだけど、逆に自分の無力さを感じてしまうの?
冒頭に“花も木も僕らも悲しい”っていう歌詞がありますけど、全部一緒なんだなって思うんです。結局、地面に繋がれている。かと言って、それに悲観するわけじゃなく、だからこそ自分の力でポジティブになろうとするってところがいちばん伝えたい部分です。
カップリングの「4Seasons」は、アップテンポなダンスチューン、「L.o.L」はR&Bという、まったく違うタイプの楽曲が収録されてますよね。
そうですね。『4Seasons』は、最初に聴いたときから早くライヴで歌いたいって思った曲でした。振りがついたら、すごく楽しいだろうと思ったし、実際、盛り上がる曲になってるんですね。『L.o.L』は、これまで僕がやってきたR&Bの流れを感じてもらえる1曲になってると思います。
ジャケットも白バージョン、黒バージョンとありますが、ひとつの枠に収まらず、いろんな自分を見せていきたいということで?
6月に1stアルバムもリリースして、『黒執事』という人気のあるミュージカルに出演させてもらったり、いろんなイベントやライヴで経験を積んだからこそできた3曲だとは思うんですけど、いろんな面を見せようと、自分から作り込んでいるというよりは、自然とそうなってきてる気がしますね。どんな曲を歌っていてもR&Bの“匂い”を感じさせられるのが本当のR&Bシンガーだと思っているので、僕自身が成長していく中で必要だから、こうやって形になってるんじゃないかなって思います。たくさんの人の記憶に残るような一枚になればいいなと思ってます。
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