【伊藤祥平】目標は“人の心が震える
ような音楽”

若干22歳とは思えないハイテクニックなギタープレイ。そして、清涼感漂う雄々しい音色と歌声。J-POPシーンに新風を吹き込みそうな期待を感じさせる、注目のニューカマー! 記念すべきデビュー曲「Dream of Life」の制作秘話を語ってもらった。
取材:道明利友

今回のデビュー曲はどんな思いを込めた作品なのですか?

この曲は、『バクマン。』というアニメのオープニングテーマとして書き下ろしをさせていただいて。僕は東京に出てきて1年半ぐらいになるんですけど…その中でもやっぱり、いろいろな壁が出てくるというか。音楽をやっていく中でも、楽曲を作ることひとつにしても、いろいろな壁が。それを“現実”っていうワードで歌詞には入れてるんですけど、いろいろな“現実”の中でつまづいても立ち上がって、自分の音楽のスタイルを貫き通していくんだっていう思いをこの曲には込めました。あと、『バクマン。』のストーリーを読ませていただいた時にも、自分とリンクする部分があったんです。音楽とマンガと世界は違うけど、胸の奥から込み上がってくるものというか。情熱だったり、自分を信じる大切さって人間みんな同じように持ってるんだなっていうことを僕自身が再認識させてもらって。

《夢叶えるまで 挑戦は続く》っていう冒頭の歌詞から、今の話はまさに投影されてますね。壁にぶつかっても諦めずに夢に向かっていくっていう、前向きな思いが込められていて。

そうですね。だから、そういう意味では自分自身への応援歌でもあるし。情熱があればきっと何かを変えていけるっていう思いを込めて作った曲です。

その前向きな思いを乗せた歌詞とすごくマッチしているさわやかなサウンドは、どんなイメージを基に作ったのですか?

僕が今まで作ってきた自分の曲のスタイルとはちょっと違う感じで、ロックテイストのバンドサウンドに挑戦したのが今回はすごく大きいです。今までバンドで音楽をやったことがなくて、ずっとアコースティックでひとりでやってきたから、こういうテンションがガーッと上がる曲はギター一本ではなかなか作れなかったんです。僕はブラックミュージックが好きで、中学時代から影響を受けてきたんですけど、当時の周りの友達と話がなかなか合わなかったり(笑)。その後に音楽仲間ができても、“ちょっとやりたいことが違うな…”って感じることが多くて。だったら自分ひとりのアコースティックでやれることはないかなっていうのを突き詰めてきた感じなので、そういう意味ではこの曲は自分の未開拓な部分が出せたんじゃないかなと思います。

資料の中の影響を受けたアーティストには、ルーサー・ヴァンドロスやレイ・チャールズ、ラウル・ミドンなどのブラックミュージックの新旧の名アーティストの名前が並んでいますね。

はい。もともとは中学生の頃にエリック・クラプトンに夢中になって、クラプトンが当時の僕と同じ14歳のころにどんな音楽を聴いてたんだろう?って興味を持って、あの人のルーツに遡っていったらそういうブラックミュージックに辿り着いたというか。で、その基になったクラプトンのアンプラグド・ライヴを全部コピーしたり…セリフから何から、ライヴ全部を(笑)。クラプトンになりたかったんですよ(笑)

(笑)。確かに「Dream of Life」は、バンドサウンドとシンセなども使って彩り豊かな音色とともに、今話してもらったルーツが垣間見えるギタープレイがすごく印象的です。

ありがとうございます。自分的にはこの曲は新境地でもありつつ…例えば、僕の好きなデヴィッド・T・ウォーカーのようなフレーズを随所に入れてみたり。歌いながらギターでテクニカルな奏法をするアーティストってあまりいないと思いますし、そういう自分のスタイルをさらに確立していきたいっていうのが今の目標なので。J-POPに消化しつつ、コアな音楽通の方も“おっ!”って楽しんでもらえるような楽曲を作りたいっていう思いもあります。

「Dream of Life」は今の伊藤くんのリアルな気持ちが込められているっていう話をさっきしてもらいましたけど、伊藤くんが書く曲はどれも実体験が基になっている感じなのですか?

はい、基本は実体験ですね。『My Friend』は福岡時代に作った曲で、故郷にいた時に感じた友達への思いを歌った曲なんです。上京する日に友達がみんな空港に駆けつけてくれて、今までの思い出の写真をアルバムにしてくれて、それが《アルバムめくるたびいつも 君は笑って僕を叱ってくれた》っていう歌詞になったんですよ。そういう思い出とか、故郷から離れて改めて感じた友達の大切さに、今の気持ちを重ねて書き直した部分もありますね。

「Music on my mind」も、タイトルからして音楽への熱い思いを感じます。すごくリアルな思いをアコースティックギターの弾き語りの一発録りで封じ込めていますね。

Music、Music、Musicって何回歌うんだ、みたいな(笑)。この曲を作った時は、『Ray』っていうレイ・チャールズのドキュメンタリー映画にものすごく感動して、レイ・チャールズで有名な『Georgia on my mind』を『Music on my mind』にして一気に作ったんです(笑)

そんな3曲でデビューを果たした今の目標を最後に聞かせてください!

例えば、アコギでものすごく“黒い”ことをやってるとか、新しいスタイルを見せていきたいっていうのはあって。僕が通ってきた音楽ルーツを曲にどう入れるのかとか、J-POPとしてのまとまりを意識するのかとか、いろんなことを今も模索している途中なんですけど…僕が本当に好きなブラックミュージック、ソウルミュージックで感じてきた感動を、今度は自分が作った曲を通して聴いてる人にも伝えたいです。ブラックミュージック、ソウルミュージックから僕が感じた、“人の心が震えるような音楽”っていう感覚を自分なりに吸収して、J-POPと融合させたいっていうのは目標のひとつではありますね。
伊藤祥平 プロフィール

イトウショウへイ:知人の影響で10歳からギターを弾き始める。エリック・クラプトンをこよなく愛し、クラプトンのルーツを探求していくうち、R&B、ソウル、ジャズや黒人ブルースに魅せられ、ギターテクニックを独学で学んでいく。14歳で、地元久留米を中心にライヴ活動を開始。09年からは、活動の場を福岡市内や北九州などに広げ、各地のライヴハウスやイベントなどに精力的に出演していく。上京直前にはワンマンライヴも開催。彼のソウルフルなヴォーカルと独特なギターテクニックは、多くの観客を魅了している。オフィシャルHP
公式サイト(アーティスト)
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OKMusic編集部

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