【ひいらぎ】些細なことでも幸せに感
じられる
テレビ東京系アニメ『夏目友人帳 肆』オープニングテーマでもある「今、このとき。」は、マインドを明るい方向へと導いてくれる爽快な一曲だ。
取材：ジャガー
2012年第一弾シングル「今、このとき。」は、明るいナンバーですね。バンドサウンドが印象的に響いてきました。
千晶
ふたりだけで演奏していた時とはアレンジや構成も変わっていて。冒頭部分、最後の入り組んだ感じのハモリとかは最初なかったんですよ。恵梨香の書いた歌詞もポジティブで、元気になれる曲になったんじゃないかなって思います。最後のハモリ部分だけで言えば、どっちが主メロなんだろうってぐらいお互いが主張し合っているので、じっくり聴いて探っていただければいいんじゃないかと。
恵梨香
歌詞は…自分が中学校2年の時に学校に行けなくなって、ずっと部屋に閉じこもっていた時期があって。家族からも、お客さんが来たら“部屋に行ってなさい”と言われて隠されているような…本当に自分はいけない子なんだぁって思い込んで余計辛くて。ある時、誰もいない時に茶の間に行ってみたら、お母さんから“戦う時のために今は休んでもいいよ。十分休んで学校に行けるようになったらいいね”って内容の手紙があったんです。学校に行けないことがすごい罪悪感だったんですけど、無理しなくてもいいのかなって少し自分を許すことができました。お母さんからのその言葉が本当に嬉しくて、ちょっとずつ自分のことを否定せずに受け入れることができたし、そういう今までの経験は無駄じゃなかったんだなと思えて。こうやって今を楽しく過ごせたり、周りの人に優しくできたりする自分の気持ちをギュギュっと詰め込みました。
人柄でしょうね、すごく優しさにあふれた歌詞でした。
恵梨香
ありがとうございます。昔を思い出して落ち込むこともあるんですけど、今は明るく笑っていられる。まぁ…結果オーライですかね。些細なことでも幸せに感じられます。
しかし、2曲目「人魚姫」ではずどーんと暗い感じで…（笑）。
千晶
（笑）。これは恵梨香がピアノを弾いてるんですよ。
恵梨香
ライヴで弾けたらいいねってぐらいで、レコーディングは自分で弾く予定ではなかったんですがチャレンジしてみました。物語を題材にした曲をずっと書きたいとは思っていて、人魚姫の物悲しい世界観がひいらぎに合ってるかなと。ギターもシンプルで、バイオリン、ピアノという構成も初めてでした。
そして3曲目、恒例の“一発録れたて編”も何やら面白い試みをしたとかで？
千晶
今回「錆びついた自転車」ということで、プロデューサーの浅田信一さんがチェーンの音を入れたいねって話から、自転車をスタジオに持ってきてくれたんです。それをマネージャーさんに乗ってもらって。
恵梨香
だから、スタジオ内を自転車がぐるぐる回っている中、自分たちが歌うという不思議な光景でした（笑）。
息使いまで聴こえてくる日常のリアルな描写がいいですね。
恵梨香
地元を離れてみて、当たり前だった生活が特別だったんだなって気付かされることが多くて。振り返ってみると贅沢な生活をしてたんだなって思いますね。
日々起こるその瞬間瞬間を愛おしむという意味では、「今、このとき。」に通ずる部分がありますね。
恵梨香
そう考えると、3曲ともに“その瞬間”に対してどれも一生懸命な曲だと言えるかもしれません。いろんな視点からひいらぎを見てもらえるのでいいんじゃないかなって思います。
千晶
今年はライヴもバンド形態でもやりたいなとかいろいろ考えているので、攻めの年で頑張ります！
アーティスト
